梅雨どきに美しさを増すアジサイ。大輪の豪華なアジサイも素敵ですが、小さく可憐な花姿のヤマアジサイなら、ベランダや玄関先など限られたスペースで栽培でき、寄せ植えでも楽しめます。寄せ植え名人M&Bフローラの難波良憲さんがお気に入りのヤマアジサイを使って、梅雨も庭をかわいく美しく彩るアジサイの寄せ植えを作ります。
小ささが魅力のヤマアジサイ
‘藍姫’。ヤマアジサイらしいガク咲きの花姿で、濃密な藍色の花が印象的。
ヤマアジサイは一般的なアジサイより株姿が小さく、茎が華奢で葉も細く、楚々とした風情で咲きます。元々、半日陰の林や沢沿いなどに自生する植物で、日本の気候に合い、丈夫で初心者にもおすすめ。生育がゆっくりなので、コンパクトな株姿のまま育てられるのも魅力。小さな庭やコンテナガーデン、寄せ植えなどでも活躍します。
‘伊予獅子てまり(いよししてまり)’。淡いピンクの小ぶりの花がたくさん咲く。
そんなヤマアジサイのなかでも、近年人気急上昇中なのが埼玉県の生産者吉岡麗子さんの手まり状に咲くヤマアジサイです。私も吉岡さんのヤマアジサイが大好きで、自宅の庭でもいくつか育てていますが、ころんと愛らしい花と草花のような繊細な株姿で寄せ植えでも活躍してくれます。
‘伊予獅子てまり’。土が酸性に傾くと花色が淡い水色になる。
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ヤマアジサイとバーベナの寄せ植え
ヤマアジサイ‘てててまり’を主役にした寄せ植えです。一般的なアジサイは枝の先端にしか花が咲かないのに対し、ヤマアジサイは枝の途中から伸びた側枝にも花が咲くため、株の下のほうにも花数があり、他の草花との馴染みが良い点も寄せ植えにおすすめのポイントです。
‘てててまり’は吉岡さんの妹、真美子さんの作出品種。
淡いブルーとライムグリーンのグラデーションが美しいヤマアジサイに合わせて、淡いライムグリーンの花色のバーベナ‘バネッサコンパクト ライム’を組み合わせました。ちょうど花の大きさが‘てててまり’と同じくらいで、草丈20cm程度でヤマアジサイの下におさまります。
バーベナ‘バネッサコンパクト ホワイト’。
バーベナ‘バネッサコンパクト’もアジサイと同じように小さな花が集まって、まり状に咲き、多花性で秋まで連続して開花するので、この季節の寄せ植え花材としておすすめです。
リーフ類には葉がシルバーがかった黒葉のヒューケラと斑入りのコデマリ‘ピンクアイス’、ライムイエローのリシマキアを鉢縁に入れました。ヒューケラのような存在感のあるカラーリーフは、花と花の間に入れると、それぞれの花の魅力を引き立ててくれる緩衝材のような役目を果たしてくれます。
カラーリーフの代表選手、ヒューケラは美しい葉色のものがいくつもあります。一年中彩りを提供してくれる常緑の宿根草なので、寄せ植えでも庭植えでも名脇役として活躍します。一般的には日陰に向くシェードプランツですが、上の写真のヒューケラ‘カーニバル’シリーズのように日陰はもちろん、直射日光下でも葉焼けしない品種は、より使い勝手がよくおすすめです。