ダイエットと聞いて最初に食事制限が浮かぶ人も多いと思いますが、更年期世代にとっては体調不良の原因になるなどリスクが高いものです。この世代には、特に必要な栄養素をしっかりとる質の良い食事や食べ方でダイエット効果を引き出すのが大切。産婦人科医の善方裕美先生にダイエット成功へ導く食事の方法を聞きました。
監修/善方 裕美 先生(よしかた産婦人科院長)
横浜市立大学産婦人科 客員准教授。日本産婦人科学会専門医。女性ヘルスケア専門医。日本骨粗しょう症学会認定医・評議員。約30年にわたって多くの悩める更年期女性と向き合い、更年期障害についてカウンセリング、HRT(ホルモン補充療法)、漢方薬、食事、運動、代替医療など多方面のアプローチで治療をおこなう。著書『最新版 だって更年期なんだもーん 治療編』(主婦の友社)。
糖質を少し減らし、たんぱく質をじょうずに摂取
極端にカロリーや糖質を制限するダイエットは、更年期世代にとって体調悪化につながり、体の機能や免疫力を低下させる原因に。この世代は特にダイエットの食事の基本は3食をバランスよく食べることを心がけてほしいと思います。ただ、以前と比べ必要なカロリーは変わってきていますので、糖質の量を減らし、筋肉のもととなるたんぱく質をじょうずに摂取することで体重のコントロールをしていきましょう。
糖質量を減らすには白米を雑穀米に、うどんをそばに、菓子パンを全粒粉パンに変えることでも有効です。たんぱく質は肉や魚、大豆製品や卵、乳製品などからとります。特に大豆製品は、減少している女性ホルモンに似た働きをするフィトエストロゲン(エストロゲン様物質)が含まれるので更年期のおすすめの食材です。
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体の酸化を食い止める抗酸化栄養素をとろう
また、40代以降から心配なのが体の酸化。呼吸によって取り込まれた酸素の一部がさまざまな成分と反応し活性酸素に変わり、活性酸素が必要以上に増えてしまい体の細胞に入り込むとたんぱく質、脂質が酸化(錆びる)し、細胞の動きが低下し老化や肥満が進むことがあります。
もともと体には活性酸素を毒性の低い物質に変え消去してくれる抗酸化酵素(SOD=スーパーオキシドディスムターゼ)を持っていますが、40代からその酵素も減っていきます。そのため意識的に抗酸化栄養素をとるようにするのが大切です。抗酸化栄養素とはベータカロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、アスタキサンチンなどをいいます。