今回訪れたのは奈良県橿原市の今井町。今井町には今でも多くの古民家が現存していて、平成5年には「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けています。
そんな町に残る歴史ある長屋を改修した食の複合施設が2024年6月1日に誕生。早速、その詳細をチェックしてきました!
食のプロフェッショナル×奈良の古民家=新しい価値創造を目指すプロジェクト
東西約600メートル、南北は約310メートルにも広がる今井町。このエリアに全建物戸数約760戸あるそうですが、その内なんと約500件が伝統的建造物。また、国の重要文化財が9件、県指定文化財が3件、市指定文化財が5件と、町内には多数の文化財が存在しています。
今回、築約150年の長屋を改修してオープンするのは、食の複合施設「narawashi nagaya」です。奈良の古民家で新しい価値創造とまちづくり事業を行う「株式会社narrative」が手掛けるプロジェクトの一環で、生産者と消費者が直接つながる“共利共生の場”をテーマにしているのだとか。
主役はシェフ・パティシエ・ソムリエなど食のプロフェッショナル。技術に長けている職人を企画・開発・設計・経営管理・ファイナンス・マーケティングの側面から支援し、職人が職人として活躍できる舞台を整えていくとのことです。
施設には大きく4つの機能があり、入り口も4つあります。まずは奈良の地酒を中心に県産の柿の葉や醤油を使った焼き菓子などが購入できるローカルショップ「narawashi store(ならわし ストア)」からチェック!
その隣には奈良の果実を使ったデザートとティーペアリングを提供するデザートコースレストラン「dulce communico(ドゥルケ コムニコ)」があります。
「奈良にはたくさんの素材があるのに、京都・兵庫・大阪ほどガストロノミーは発達していない。奈良県出身として、食を通じて奈良の魅力を知ってもらうところにしたいんです」と話すのは、シェフの堀田大樹さん。奈良県の東生駒でミシュラン一つ星を獲得したリストランテ「communico(コムニコ)」のシェフでもあります。
堀田大樹シェフと株式会社narrative代表取締役の大久保泰佑さん
さらに国内外の料理人と奈良食材のコラボレーションポップアップができる「chef in nagaya(シェフ イン ナガヤ)」、イベントやワークショップができるレンタルスペース「narawashi kitchen(ならわし キッチン)」が続きます。
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知られざる奈良の魅力的な食材を使ったデザートコース
今回お披露目されたのは「dulce communico(ドゥルケ コムニコ)」のデザートコース。3品のコースと5品のフルコースがあり、どのお皿にも奈良産の食材が使われています。
一品目は、素材の旨みを凝縮したスロージュースから。
「食欲を刺激することはもちろんですが、このあと続くデザートへの罪悪感を和らげてもらおうかと(笑)」と堀田シェフ。
この日は奈良県のブランド苺「古都華」とセロリのスロージュース。もちろん季節によって素材は様々に変化する予定だそう。続いて、コースで言うところの前菜として、3種のデザートが乗せられたプレートが登場します。
コンテチーズを混ぜた塩気のあるシュー生地に、鮮やかなグリーンのクリーム。ピスタチオ?抹茶?と思いきや、なんとそら豆!奈良県のそら豆クリームとコンポートをサンドしたプチシュークリーム。ガストロノミーならではの発想で、この後のメニューにも期待も膨らみます。
アールグレイのクッキーサンド?ではなく、奈良の名産品として有名な柿の葉寿司にちなんで、柿の葉の茶葉を練り込んだクッキー。噛むほどに渋い味わいと香りが広がるクッキーにサンドされているのは、生姜の奈良漬を入れたバタークリームです。柿の葉に奈良漬とは、まさに和洋の食材が融合した一品。
こちらはパッと見はチーズのムース?なんと、カマンベールチーズに衣をつけて揚げたチーズの天ぷらです。サクサクと軽い食感に、ミルク感たっぷりのフレッシュなチーズ。ハーブと岩塩をトッピングし、塩気のあるデザートになっています。
3皿目は奈良市にある「植村牧場」のフレッシュな牛乳にカモミールの香りを移して作ったアイスクリーム。カモミールから抽出したオイルを敷いています。※フルコースのみ
4皿目は奈良のブランドいちごである「古都華」のコンポートと数種類のスパイスを混ぜたクリームに、アマゾンカカオのホットソースをかけていただく温かいデザート。アマゾンカカオのチュイルも添えられていて、ザクザクパリパリの食感もポイントです。※フルコースのみ
最後はメインディッシュの位置付けとして、季節のフルーツを使ったパフェ。奈良県では様々な柑橘類が収穫されるとのことで、この日は甘夏・八朔・大和橘を使用しています。柑橘類と相性の良い実山椒、ローズマリーのアイスなどを合わせていて、フルーツが変われば組み合わせも変わるそう。
このプロジェクトをきっかけに、国内外の若きシェフたちが挑戦を求めて奈良の地へ集まることがあるかもしれません。奈良・今井町に誕生した食の複合施設「narawashi nagaya」に今後も注目したいと思います。
About Shop
narawashi nagaya(ならわし ながや)
奈良県橿原市今井町3丁目6-51
営業時間:
dulce communico(ドゥルケ コムニコ)
昼:12:00~14:00&14:30~16:30の2部制
※金・土のみ夜営業あり(18:00~21:30)
narawashi store
10:00〜18:00
定休日:月曜日、火曜日
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
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関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。