キャリアコンサルタントの森田昇氏は、就活のはじめでは、自己分析はサラッと60分で切り上げ、自分が今興味のある商品・サービスに関わっている会社を30社リストアップするようにアドバイスします。ただし、ここで「いい仕事」や「いい会社」を無理に探そうとしてはいけないとのこと。一体なぜなのか? 森田氏の著書『生涯収入を最大化する「就活の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、“ありがちな就活”に潜む「罠」を紹介します。

「いい会社」や「いい仕事」は探さない

「興味・関心」を最低30社に、と目標数字を掲げているのは、それだけ挙げれば企業の属する業界がバラけるからです。自然と職種や仕事の種類、企業規模もバラけますし、様々な業界や企業の特徴も目に入るようになるでしょう。

業界や職種、仕事を絞るのは先の話、決してこの段階で「志望動機が書きやすいから」、といった観点でリストを絞らないでください。得てしてそういった今の自分と接点があると思ってしまう企業は「いい会社」や「いい仕事」に見えてしまうのですが、業界研究や企業分析も録に行っていない段階では、まだどちらも疑いの目で見てください。

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就活序盤で「いい会社」を探すと、まんまとブラック企業に引っかかる可能性

就活生の皆さんは、「いい会社」と言われると、どんな会社を想像するでしょうか? 厚生労働省は「ホワイト企業」について明確に定義していませんが、一般的な特徴として、①従業員への待遇や福利厚生が充実している、②社員の健康や労務管理等を重視している、③労働安全衛生に関して積極的に取り組んでいる、④イキイキと長く働くための環境が整っている、のが「いい会社」だと一般的に言われています。

端的に言ってしまうと、

・労働時間が短い

・休暇が取りやすい

・福利厚生が充実

・給与が平均より高い

・何よりも安定している

が挙げられます。

これらの条件は、リスト化した30社のほとんどが満たしているはずです。就活のはじめで「普通の就活生」が知っている企業は有名どころの大企業ばかりなので、漏れなく「いい会社」のはずです。大企業は見せかけのホワイト企業にならないように、従業員の負荷を減らす対策や処遇の改善に力を入れています。そこに差はほとんどつきません。とはいえ、2021年6月時点で日本には企業が約337万社あり、そのうち大企業は約1万社もあります。比率としては0.3%に過ぎませんが、あまりにも多い数字です(図表)。

【図表】日本の企業数の内訳

そのため、残念ながら、大企業の中にもブラック企業は潜んでいます。「取り敢えず大企業」、「給料のいい会社からピックアップ」、「年間休日125日以上が絶対条件」といった「就活の軸」だけでピックアップしてしまうと、私みたいにハズレくじを引く可能性が高ります。この条件を満たしていたんですよ、ITブラック四天王(*編注:就職氷河期世代だった当時、筆者が50社以上応募して苦労に苦労を重ねてやっと得られた唯一の正社員待遇の内定が、当時のITブラック四天王からのものだった)。

ホワイト企業と同じようにブラック企業にも明確な定義はなく、企業同士で比較するしかありません。一見すると「いい会社」だと思えたのに、他の会社と比較すると「ブラック風味」だった。そう気付けるタイミングは業界研究や企業分析をじっくり行えば必ずあります。最初から無理に「いい会社」を探そうとしないで、たくさんの業界や企業を知ることで、比較できるようにしてください。