9月1日を基準日に1年毎に行われる「在職定時改訂」
年金額と給与を合わせて50万円を超えなかった場合、年金の支給停止はありません。ただし、その間も厚生年金の被保険者として働くと、毎月の厚生年金の保険料を払うことになります。つまり、「年金をもらいながら働く」ことに加えて「同時に厚生年金の保険料も払う」という側面もあります。
2階建ての厚生年金は「保険料を払った分だけ年金額が増える」となっていますので、ここで払った保険料はいつ反映されるのでしょうか?
以前は退職時または70歳に到達した際に年金額が見直されていました。つまり65歳以降、年金をもらいながら働いている間に払っている保険料分は、しばらく年金の受取額に反映されなかったのです。
ただし、2022年4月から「在職定時改訂」という仕組みが導入されたため、毎月9月1日時点で、年金額が見直されるようになりました。つまり、「働きながら払っている保険料分」が年に1回見直され、反映されるようになったのです。
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まとめ~損をしない・得をする働き方は?~
笑顔のシニアの女性
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在職老齢年金は50万円が1つの基準となりますが、この額は毎年の年金額の改訂が影響します。よって、年金を受け取るタイミングになった際は、まずこの基準となる金額がいくらなのか、自分は在職老齢年金の対象になるのかを確認してください。基準以下であれば全額年金は受け取れますので、損をすることはありませんよ。
また、一つ覚えておきたいのが、「在職老齢年金は厚生年金の被保険者」が対象となることです。厚生年金保険の被保険者ではなくなる70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務する場合は在職老齢年金の対象となります。
つまり、自営業であれば一切在職老齢年金のことを考える必要はありません。年金は全額もらえます。
例えば、近年増えていますが、会社を辞めてフリーランスとしてそれまで勤務していた会社と業務委託契約を結び、業務を受注して働くことになれば、在職老齢年金は気にせず年金は全額もらえることになります。これは「得をする働き方」になるかもしれません。もちろん、会社員ではなくなることにより、税金や健康保険なども大きく変わるため、必ず有利というわけではありませんので、その点ご注意ください。
今回のご相談者様は50代でまだしばらく年金受給までには時間があると思います。こういった制度を理解することはもちろん、年金受給後も生き生きと仕事や趣味などを満喫できるよう、ぜひ今のうちからできる準備をしておきたいですね。