沈みゆく夕日も好きですが、沈んだあとにその名残がまだ空に残っているこの景色も好きです。夕日はどこでも見られるのに、旅先では特別に感じてしまいます。
松江に行ったら絶対に見てほしい、宍道湖の夕日。
島根県松江市はいつ訪れても、ゆったりとした時間が流れている、いい町です。それはきっと歩いていると、必ず視界に水が入るから。宍道湖もそのひとつで、最新号の取材で出張に行った2泊3日、毎日宍道湖の夕日を見ていました。湖沿いに芝生が広がっていて、日の入りの時間が近づくと、だんだんと人が集まってきます。仕事帰りの会社員がぼーっと空を見つめていたり、学生さんたちが笑い転げながら寝転んでいたり、全速力で追いかけっこする親子がいたり。それぞれの声は聞こえないけど、夕日に照らされた彼らを目で追っているだけで、ちょっと松江市民の仲間入りをしたような、誇らしい気分になるのです。湖沿いにある島根県立美術館は、日の入りの30分後に閉館するというなんとも粋な計らいをしていて、そのくらい宍道湖の夕日は松江にとって大切な風景なのでしょう。
さて、最新号は国内の旅特集。私たち編集部が体験してきた旅がぎゅっと凝縮されて載っています。でもそれはほんの一部。泣く泣く載せられなかった写真もたくさんあります。(松江のガイドもあるので、ぜひ!) だから、この夏、本誌を持って、日本の美しい町を実際にその目で見に行かれることをおすすめします。そして、もし松江を訪れたら、沈みゆく夕日を眺めて、松江市民の仲間入りをしてみてくださいね。Have a nice trip!
(本誌編集部/H)
&Premium No. 128 TO A BEAUTIFUL TOWN / 日本の美しい町を旅する。
旅することの喜びや醍醐味はさまざまですが、そのひとつに、暮らしに彩りを添えてくれることがあるように思います。地元の人々の心の拠り所となっている美しい景色を眺め、アートや伝統工芸などに触れ、ライフスタイルを刺激するセンスのよいショップ、文化を感じる喫茶店や書店、おいしいものに出合える店を巡る……。ひととき日常を離れ、知らない土地の暮らしが感じられる旅に出てみると、その旅を終え、いつもの生活に戻った私たちの毎日までが、いきいきと輝いてくれるから不思議です。今号は、日本各地のカルチャーの息づく美しい暮らしのある町を巡る旅案内。札幌、山形、富山、高松、松江、奄美をはじめ、何度も訪ねたくなる町や、旅先にしたくなる日本全国の素敵な店の数々を紹介します。
もっと読む