ROSETTE Face Wash Pasta Sulfur Series
温泉成分の”イオウ”に着目したクリーム洗顔料、ロゼット洗顔パスタ イオウシリーズより。右から、「普通肌【医薬部外品】販売名:ロゼット」「荒性肌【医薬部外品】販売名:ロゼット(荒性用)」各90g ¥715、「ブラックパール」「ホワイトダイヤ」各90g ¥770(ロゼット 0120−00−4618)
色鮮やかなパッケージが印象的な「ロゼット洗顔パスタ」。この製品、今年でなんと95周年を迎える、日本初のクリーム洗顔料ということをご存じだろうか。陶器の壺に入った「レオン洗顔クリーム」として、1929年に発売をスタートした。肌になめらかさと透明感を与えるという、温泉成分のイオウを主軸に処方を組み立てた。当時は、洗顔といえば固形石鹸が主流で、汚れを落とせればいいと考えられていた。そんな時代に数多くの女性が悩んでいたニキビを"予防する"という発想で、肌に優しいクリーム状の洗顔を開発したのは画期的だった。その後、戦後に似たような粗悪品が市場に出回るようになったため、1951年に「ロゼット洗顔パスタ」という名前に生まれ変わる。「ロゼット」は優雅な薔薇の花飾りを意識し、「パスタ」は粉を練り込み、ペースト状にしていることからのネーミングだ。
そして普通肌、次に荒性肌の2品から「イオウシリーズ」がスタート。時代によって少しずつ原料を変え、配合成分や洗い上がりも変化させているが、令和になった今でも、イオウを軸とした洗顔料の処方骨格を大きく変えていない、というから驚く。さらに、製造方法も手間と時間が必要な「ケン化法」を発売当初より引き継いでいる。
2000年代以降は、肌悩みも多様化し、シリーズに新たなラインナップが追加。まず、2016年に透明感ニーズに応えた「ホワイトダイヤ」。2021年にはザラつきや、毛穴が気になる人に向けた「ブラックパール」が誕生。コロナ禍で肌と向き合う時間が増え、「毛穴」への関心度が高まったことはブラックパールの人気に拍車をかけた。
数々のラインナップを展開する傍ら、クレイを配合したチューブタイプも発売するなど、「洗う」ということに、並々ならぬ思いを込めるロゼット。それはブランドとして、スキンケアはファーストステップとなる洗顔が基本だ、と考えていることが大きい。土台を整え、美容成分の受け入れ態勢をつくることを重要視する。「ロゼット洗顔パスタ」の愛用者は三世代にわたり、リピーターには80代、90代の方もいる。創業時からの「洗うことで肌悩みにアプローチしていく」という思いを受け継いでいるからこそ、これほど長い間、幅広い年代にわたるファンを魅了し続けているのだろう。
文/久保直子
くぼ・なおこ/ウェルネス&ビューティジャーナリスト。植物療法(フィトテラピー)をツールに、ココロカラダハダケアについて独自発信。
※この記事は、No. 128 2024年8月号「&Beauty」に掲載されたものです。