コエビソウの育て方のポイント


funnyangel/Shutterstock.com

用土

【地植え】

苗を植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施して土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

花木の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり


Ivanko80/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。

真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。開花期や乾燥しやすい真夏は水を欲しがるので、水切れには注意しましょう。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料


Sarycheva Olesia/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付けの際に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。また、4〜9月の開花期間中は、月に2回を目安に、液肥を与えて株の充実を図ります。

注意する病害虫


Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

コエビソウの栽培では、病気が発生する心配はほとんどありません。

【害虫】

コエビソウに発生しやすい害虫は、ハダニ、カイガラムシなどです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

(広告の後にも続きます)

コエビソウの詳しい育て方

苗の選び方


Omi Works/Shutterstock.com

コエビソウの苗を選ぶポイントは、まず添えられているラベルを見て、花色や花の形、樹高などを確認すること。節間が短く茎ががっしりと締まって、丈夫で勢いがあるものを選びます。枝葉がひょろひょろと伸びて間伸びしているものや、水切れでしんなりしているもの、葉に虫食いの跡があるものは避けましょう。

植え付け・植え替え


OlegDoroshin/Shutterstock.com

コエビソウの植え付け適期は、5月中旬〜6月です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に苗木よりもひと回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。複数の苗木を植え付ける場合は、30〜40cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

寒さに弱いので、秋に気温が下がってきたら鉢に植え替えて室内や温室に取り込みます。

【鉢植え】

入手した苗よりも1〜2回り大きいサイズの鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。コエビソウの苗木を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢をあまりくずさずに植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えの場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。

日常のお手入れ


Opas Chotiphantawanon/Shutterstock.com

【摘心】

春の生育期に入って新芽が出始めたら、枝の先端を切る摘心を行うと、下から脇芽が出て、枝数の多いこんもりとした姿に仕立てることができます。枝数が多くなる分、花もたくさん咲くので、開花期にはより華やかな株姿を楽しめます。

【花がら摘み】

コエビソウは開花期が長く、多数の花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【整枝】

コエビソウの枝葉が伸びすぎて、株姿が乱れてきたら、適した長さで切り取ります。4〜10月の生育期であればいつでもよく、どこで切ってもかまいません。バランスのよい株姿を保ちましょう。

冬越し


Vipul1989/Shutterstock.com

コエビソウの冬の耐寒温度の目安は3℃ほどで、寒さに弱く、霜にあたると枯れてしまいます。

鉢植えや寄せ植え、ハンギングバスケットを庭やベランダに飾っている場合は、秋になったら霜の当たらない軒下や日当たりのよい室内などに移動して冬越しさせましょう。

地植えにしている場合は、鉢に植え替えて霜の当たらない軒下や日当たりのよい室内などに置いて冬越しさせます(鉢への植え付け方法は、「植え付け」の項目を参照してください)。越年して十分に気温が上がる5〜6月に、再び地植えに戻すとよいでしょう。

増やし方


Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

コエビソウの増やし方は挿し木です。

挿し木とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、コエビソウは挿し木で増やせます。

コエビソウの挿し木の適期は、5〜6月か9〜10月です。新しく伸びた枝を10cmほど、切り口が斜めになるように切り取ります(挿し穂)。水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために挿し穂の下葉を半分くらい取りましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理し、発根して十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

コエビソウと同じキツネノマゴ属の品種

コエビソウが属するキツネノマゴ属には、約900種があります。そのうちのサンゴバナとキツネノマゴをご紹介しましょう。

サンゴバナ


Rosamar/Shutterstock.com

学名はJusticia carnea(ジャスティシア・カルネア)。ブラジル原産の常緑低木で、エキゾチックな花姿が魅力的です。開花期は6〜10月頃で、花色は名前の由来になったサンゴ色。一つひとつの花は小さいのですが、花茎を伸ばした頂部に密集して放射状に伸ばし、一斉に咲くので大輪の花のように見えます。自然樹高は2mほどですが、剪定でコントロールでき、1m以内とコンパクトにして鉢栽培できます。

キツネノマゴ


tamu1500/Shutterstock.com

学名はJusticia procumbens(ジャスティシア・プロカンベンス)。原産地は日本、朝鮮半島、中国などで、日本では本州、四国、九州に自生。開花期は8〜10月です。花色は淡い紫色で、中央に白い斑紋が入ります。7mm前後の小さな花で、花穂を上げて2〜3輪ずつ咲きます。

(広告の後にも続きます)

コエビソウで庭にアクセントをつけよう


demamiel62/Shutterstock.com

開花期間が長く、個性的な花姿を楽しめるコエビソウは、冬越しさえうまく乗り切れば、ビギナーでも気楽に育てられる植物です。カラフルでユニークな花姿が楽しめるコエビソウを、庭やベランダに取り入れてはいかがでしょうか。

Credit

文 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。