7月は陰暦で文月とも呼びます。7月7日頃の小暑からは、暑中見舞いを送る季節。ご機嫌伺いの手紙にお気に入りの香りを添えて、なかなか会えない人に届けてみませんか。手紙に香りを添える伝統的な文香(ふみこう)は、お香を和紙で包んだものですが、お香の代わりにアロマテラピーのエッセンシャルオイルを使って、手軽に作ってみましょう。癒やしの香りが心をつなぐ、アロマ文香&しおりのブレンドレシピをご紹介します。
香りに親しんだ、古の暮らし
平安時代の昔から、香りは暮らしの中で愛されてきました。平安貴族は、空薫物(そらだきもの)といって、来客のために隠れたところで香をたいて、どこからともなく薫らせたといいますし、また、衣装には人それぞれの感性による香がたきこめられて、その香りによって、姿が見えなくとも誰がいるのかを知ったといいます。かの時代、貴族たちは香りをクリエイティブに楽しんでいたのですね。
その頃に生まれた、端午の節句の薬玉(くすだま)は、よもぎや菖蒲を編んだもので、不浄邪気を祓うために、すだれや柱に掛けられました。また、訶梨勒(かりろく)は、南方から伝わった薬効のあるカリロクの果実を魔除けに飾ったことに始まったもので、後に、この実をかたどったものを袋に入れて、邪気祓いとして柱に飾るようになりました。
これらは、現代に伝わる掛香(かけこう)の原形で、他にも、置き香や匂い袋など、加熱して楽しむ香とはまた違った魅力を持つ、香の形があります。香りの袋を飾ったり、身に付けたり、贈ったり。その楽しみは、今も暮らしの中に息づいています。今回は、そんなお香の文化から生まれた文香を、アロマテラピーにアレンジしてみましょう。
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香り遊びを楽しんで
香りとの触れ合いは癒やしの時間。ぜひ、アロマ文香&しおり作りを楽しんでください。
文香やしおりに使う精油は、香りの留まりやすさを考えて、サンダルウッドやフランキンセンス、パチュリといった、木や樹脂などの重めの香りに多いベースノートと、イランイランやネロリといった、花の香りに多いミドルノートを中心に使うと、作りやすくなります。
柑橘や草、葉などのトップノートは、最初に香りが立ちますが、揮発が早いため、時間が経つと香りのよさがなくなってしまいます。トップノートは自分用に、例えば、しおりに使って、清々しい香りに包まれながら、読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介するアロマ文香やしおりは、精油を垂らすだけの簡単なクラフトです。遊べる試香紙(ムエット)としても使ってほしいと思います。ここにご紹介する4種のブレンドレシピは、どれも心身のリラックスを促すもので、そのまま芳香浴レシピとしても使えます。自分が気に入った香りをあの人に贈ってもよし、あの人のイメージで香りを選んでもよし。いろいろと香りで遊んで、慣れてきたら、精油の1種類を変えたり、滴数を変えたりして、アレンジに挑戦してください。
大まかに覚えておくと便利な香りの使い方はありますが、あまりこだわらず、手持ちの精油を使って自由に香りをブレンドし、楽しんでみてください。使う人、一人ひとりにあった香りをブレンドできるところが、アロマテラピーの魅力です。