アロマしおりの作り方

洋封筒の絵柄部分を切り取り、しおりに。透ける和紙を重ねました。

〈用意するもの〉

洋封筒くらいの厚さの紙(ケント紙、画用紙など)、お好みで和紙、化粧用コットン、各ブレンドの精油

〈作り方〉

適度な厚みのある紙を、しおりに適当な、好みの幅と長さの長方形で用意し、縦半分に折る(例えば、横4x縦11cmのしおりを作る場合、原紙サイズは横8x縦11cm)。袋状になるよう、脇と底の部分を紙用ボンドなどでのり付けし、しっかり乾かす。絵柄のある紙を使って、薄く透ける和紙をかけてもよい。 化粧用コットンを縦に1/3に切って、1枚の上に各ブレンドの精油を垂らす。この時、1滴、1滴、しずくの位置をずらすとよい(1カ所に重なると精油が染み出し、本に染みが付くことがあるのでご注意を)。 まっさらなコットン1枚を上に重ね、それを①の袋に差し入れる(コットンの大きさや枚数は、適宜、調整してください)。 上部に穴をあけて、リボンや紐を通す。

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うっとりする花の甘さ リンデンブレンド

芳しい房状の小さな花、リンデンフラワー。Peter Turner Photography/Shutterstock.com

精油:

リンデン(Tilia x europaea)…2滴 真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)…1滴 フランキンセンス(Boswellia carterii)…1滴

甘いリンデンと静かなフランキンセンスを、ラベンダーが繋げるブレンドです。だんだんと香りが溶け合い、手紙が届く頃には、舶来ものの石鹸のような印象に。あどけない明るさと繊細な優しさがミックスされた、柔らかい香りです。洋風な香りなので、しおりに仕立ててもよいでしょう。

リンデンの並木。PJ photography/Shutterstock.com

リンデン(和名、セイヨウボダイジュ)は欧州では街路樹として親しまれている樹木で、シューベルトの歌曲にも歌われています。

花から抽出されるリンデン精油には、あまり馴染みがないかもしれませんが、その香りにはジャスミンやローズにも負けない濃厚な甘さがあって、古きよき英国の、淑女のクローゼットを思わせます。印象深いノートは時間がたつと、ノスタルジックな気分を誘う、パウダリーな香りに変わっていきます。

リンデンのハーブティーは、リラックス効果があって眠りを誘うものとして、古くから愛されています。リンデン精油にも、血圧降下や抑うつ、鎮静などの作用があって、不眠の改善を助けます。日中の忙しさに影響され、興奮して眠れない夜に、このリンデンブレンドを枕元に置いてもよいでしょう。

爽やかで穏やか ネロリブレンド

Olga Larionova/Shutterstock.com

精油:

ネロリ(Citrus aurantium)…1滴 真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)…1滴 サンダルウッド(Santalum album)…2滴

ほろ苦く、柑橘の爽やかさもありながら、華やかさを持つネロリ。ビターオレンジの花から抽出されるこの香りは、サンダルウッドとの相性も良好です。鬱々と落ち込んだ気持ちが穏やかに引き上げられて、安心できるような、男性にも好まれるユニセックスな香り。白い花をつけたビターオレンジの木が、風にそよぎつつ、すっくと立っているような、爽やかであり、穏やかでもある印象です。

●ネロリについて、詳しくはこちらをご覧ください。

*『おうちでアロマテラピー』シリーズ、その他のブレンドはこちらからどうぞ。

*精油は信頼できるアロマテラピー専門店で、実際に手に取り、購入しましょう。肌に合わない、気分が優れない、などと感じた時は使用を止め、医師にご相談ください。

*精油はアロマテラピー専門店での購入が安心です。下記に取り扱い時の注意をまとめましたので、ぜひご一読ください。

〈精油を使用する際の注意〉

・原液を皮膚につけない。ついたらすぐ石鹸で洗い流す。
・飲用しない。目に入れない。
・火気に注意する。
・医師による治療や投薬を受けている場合は、必ず当該医療機関に相談する。
・3歳未満の乳幼児には芳香浴以外は行わない。また3歳以上であっても使用量を半分以下にし、十分注意を払う。
・高齢者、既往症のある方は半分以下の量を目安に。妊娠中は体調を考慮し、芳香浴以外のアロマテラピーを楽しむ場合は十分注意する。

〈精油の保管・保存について〉

・直射日光と湿気を避け、火気のない冷暗所に保管する。
・子どもやペットの手の届かないところへ保管し、誤飲に注意する。
・開封後1年以内を保存期間とし、柑橘系の精油は半年以下を目安にする。
・香りに異変を感じたら使わない。

〈精油の品質について〉

・次の内容を箱やラベル、使用説明書で確認できるものを選ぶ。ブランド名、品名、学名、抽出部分(位)、抽出方法、生産国(地)または原産国(地)、内容量、発売元または輸入元。

アドバイス/髙畠美穂
公益社団法人 日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター。特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター。香りとクラシック音楽が大好き。

参考文献:
松榮堂(監修)、コロナ・ブックス編集部(編者)(2005)『日本の香り』平凡社
和田文緒(2008)『アロマテラピーの教科書』新星出版社
大槻真一郎 尾﨑由紀子(2009)『ハーブ学名語源辞典』東京堂出版
バーグ文子(2013)『アロマティック・アルケミー エッセンシャルオイルのブレンド教本』フレグランスジャーナル社
木田順子(2014)『あたらしいアロマテラピー事典』高橋書店
バーグ文子(2016)『アロマテラピー精油事典』成美堂出版
石川眞理子(2017)『暮らしの小さな紙雑貨 実用おりがみ』メイツ出版
山田眞裕(2019)『香木三昧-大自然の叡智にあそぶ』淡交社
山田松香木店(2019)『和の香りを楽しむ「お香」入門』東京美術

Credit 写真&文 / 萩尾昌美

はぎお・まさみ/ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。20代の頃、ロンドンで働き、暮らすうちに、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するように。早稲田大学第一文学部卒。神奈川生まれ、2児の母。