退去の立ち合いでチェックされるポイント

引っ越しは頻繁にするものではないので、退去にあたって不安がある方も多いでしょう。
ここでは、退去の際に行う「立ち合い」についてチェックされるポイントや立ち合いに必要な情報を紹介します。

退去する時に立ち合いは必要?立ち合いの流れや所要時間は?

賃貸物件を退去する際に行われる「立ち合い」とは、借主・貸主が退去する部屋の状態を一緒に確認することを指します。
担当者と共に、部屋の汚れや傷みを確認し、修繕費がかかる場合、負担割合などを話し合います。
退去立ち合いには、法的な義務がありません。
そのため、立ち合いに応じなくても罰則が与えられることはないです。
しかし、立ち合いをしなかったために、不当な請求や余分な修繕費を請求される可能性があるため基本的には立ち合いに参加することをおすすめします。
立ち合いの流れは以下のとおりです。

1.引っ越し会社による荷物の運び出し
2.部屋の掃除
3.立ち会いの担当者訪問
4.室内のキズや設備機器などの破損状態、現況を一緒に確認する
5.修繕内容を確認し、納得できれば契約書にサインをする
6.部屋の鍵を返却する

以下、立ち合いに関する情報なので参考にしてください。

・立ち合いの所要時間:約20~40分程度
・立ち合いする相手:不動産会社または管理会社の担当者、ケースによっては大家さんやリフォーム業者も加わる
・立ち合いに必要なもの:部屋の鍵、印鑑、筆記用具、キャッシュカード、賃貸借契約書など

【要確認!!】退去立ち合いでチェックされるポイントとは?

続いて、退去の立ち合いでチェックされるポイントについて紹介しましょう。
修繕費を抑えるためにも、事前に必ず見ておくことをおすすめします。

①壁紙・クロス:汚れやキズがないか
②網戸・障子・襖:破損や汚れなどはないか
③床:汚れやキズがないか
④畳:シミ、カビ、大きなキズがないか
⑤キッチンや洗面所などの水回り:水垢や汚れ、カビがないか
⑥扉、エアコン、換気扇などの設備:破損はないか、問題なく動作するか
⑦におい:たばこなどの臭いが染みついていないか
⑧鍵:紛失していないか

①壁紙、クロスの汚れやキズ
たばこなどで、壁紙が黄ばんでいたり、棚や絵を飾るために大きな穴が開いてしまったりしてないでしょうか。
また、引っ越し時に家具の移動ででてきたキズの損害は入居者側の負担になるので注意しましょう。

②網戸、障子、襖などの破損、キズ
破損やキズが故意によるものなのか、自然損耗であるのかをチェックされます。
故意による張替えの場合、網戸では1枚約3,000円程度請求されます。

③床のキズや凹み/④畳のシミやカビなど
家具の移動によるキズや凹みや、畳のシミやカビなどもチェックされます。
壁紙同様、引っ越し時にできたキズは、引っ越し業者がつけたとしても賠償するのは入居者になるので注意しましょう。

⑤キッチンや洗面所などの水回り
水の流れ具合を確認し、詰まりがあるかを確認します。
また、水垢やカビが発生していないかもチェックされるでしょう。
日頃から洗面所や浴室の排水溝、蓋などを清潔にしておきましょう。

⑥ウォシュレット、エアコン、換気扇などは問題なく動くか
まずは、設備として、始めから設置されているものが正常に動くかどうかの確認が入ります。
また、キズや破損がないかも見られるので確認しておきましょう。
設備としてついていた照明を自分が用意したものと付け替えていた場合は元に戻しておきましょう。
誤って持っていくことのないようにします。

⑦たばこの臭い、汚れや黄ばみはないか
退去立ち合いですぐにチェックされる項目として、お部屋の臭いが挙げられます。
喫煙者かどうかは、部屋に入室すればすぐに気付かれてしまうでしょう。
ニコチンは、時間とともに壁紙に染み込み、独特な臭気を発します。
掃除だけでは除ききれないので張替えの作業が必要になります。

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賃貸物件の退去にかかる費用

古い荷物を処分したり、新居の家具を買い替えたりと引っ越し費用は大きくかかります。
そのため、退去時にどれくらいの費用がかかるのか心配な方もいるでしょう。
賃貸物件の退去や解約でかかる費用は、主に退去までの家賃、修繕にかかる費用(原状回復費)やクリーニング代です。
ここでは、賃貸物件の退去にかかる費用について紹介しましょう。

原状回復費とは?退去費用の考え方

賃貸物件を退去する際に必ず出てくる「原状回復」とは、借りた部屋を「本来あるべき状態」「入居時の状態」にして返すことを指します。
しかし、入居者が賃貸期間中につけたキズや汚れのすべてを自己負担するというものではありません。
退去費用の説明をする前に、原状回復と退去費用の関係について基本的な情報を押さえておきましょう。

退去費用は、貸主が負担する費用を差し引いたもの

退去費用は、退去までの家賃と原状回復費などを合わせたものです。
原状回復費は、借主が責任をもって負担しなければならないものと、貸主が負担する費用があります。
退去費用は、この原状回復費から貸主が負担する分を引いた額が請求されます。
また、契約時に交わした「特約」によっても支払額が変わる可能性があります。
入居者負担になるケースや貸主の負担割合について確認しましょう。

原状回復義務がある費用とは?

入居者が原因となるキズや損傷は、責任を持って修繕、補償しなければなりません。
費用負担の範囲について判断がつかない場合は、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にすると良いでしょう。
参照:国土交通省/原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf)
参考として以下の様な項目が、入居者側の負担になります。

・ものを落とした際にできた床のキズ
・飲み物やたべものをこぼした際にできたシミ
・ペットによってついた汚れや傷つけられた壁紙
・子どもの落書きによる汚れ
・タバコによる壁紙の黄ばみや悪臭
・鍵を紛失した場合にかかる交換費用

これらにかかる修繕費用は、入居者側の負担になるとされます。
しかし、費用のすべてが入居者負担にはなりません。
後述する貸主が負担する費用や特約分を差し引いた費用が退去費用になります。
また、原状回復費には負担割合という考え方があります。
耐用年数と経過年数を考慮して貸主・借主の負担割合が決まるのです。
例えば、壁紙の耐用年数は6年とされています。
もし、新築の入居から、3年間住んでいた場合、退去時の修繕費用で負担する割合は50%になるという考え方です。

契約時交わした特約についても注意が必要!

賃貸借契約時に、その契約のみに適用される特約が含まれている場合があります。
通常では、貸主が負担する費用項目が、特約で入居者負担になるケースです。
例えば、部屋の設備が入居した時点で、耐用年数を超えていたとしても、入居者が壊してしまった場合、その費用を請求される場合があるということです。
退去時にトラブルがないように契約時には特約の確認をしっかり行いましょう。
また、耐用年数に関係なく、部屋に設置された備品は大切に扱うことも重要です。

経年劣化や通常損耗による損傷にかかる費用は貸主負担!

壁や床などは、時間の経過によって品質が下がります。
直射日光によってできた色褪せや床の劣化、湿気や雨風によって窓枠のゴムが劣化した場合などは、経年劣化によるものです。
また、通常損耗とは、日常生活の中で自然とできてしまった損傷や消耗を指します。
長期間家具を置いたことによる設置跡、テレビ裏にできる電気跡などが該当します。
これらにかかる回復費用は、入居者ではなく貸主側の負担です。
入居者が負担する退去費用は、原状回復費から上記の「経年劣化・通常損耗」分を引いたものになります。