プラスチックとの闘い:地球を救うために私たちができること

ナイジェリア連邦共和国は、2025年にはアフリカ大陸において廃棄プラスチックの最大の排出国になると予想されているそうだ。その状況を受けて現在、政府はプラスチックのリサイクル体制の強化やプラスチックごみの削減に向けて取り組んでいるという。マリ・クレール インターナショナルのナイジェリア版デジタル記事よりお届け。

プラスチックの危険性

モノマーはプラスチックの耐久性や成形性を格段に向上させる、有毒な化学物質だ。その毒性が人間や動物の生殖機能や健康全般の問題を引き起こすことが証明されている。英サイト『The Human Journey』によると、メーカーはプラスチックの耐久性を向上させるために、フタル酸エステル、ビスフェノールA(BPA)、ダイオキシン、ポリ塩化ビニル(PVC)を使用している。実にこれらの化学物質は、がんや先天性欠損症、その他多くの健康問題の主要な原因として浮上している。

プラスチックをより柔軟にする化学物質であるフタル酸エステル類は、多くの日用品に含まれており、人体、特に子どもの健康を害する疑いがある。これらの化学物質は体内に入る可能性があり、生殖能力の低下、先天性欠損症、脳の発達の問題との関連が指摘されている。使用を制限する規制もいくつかあるが、フタル酸エステルはいまだに信じられないほど広範囲に存在し、ほとんどの人から検出される。

プラスチックの強度を上げるのに使われる化学物質BPAは、哺乳瓶から溶け出し始めたことで警鐘を鳴らされた。多くの国が哺乳瓶へのBPAの使用を禁止しているが、食品缶詰の内面塗装にはいまだに使用されており、大気中にも微量に存在している。専門家の間でもそのリスクについては意見が分かれており、私たちの体内ではBPAはすぐに排出されるため、一般的にさらされる分には安全だとする意見もある。しかし、幼い子どものBPA濃度が高いことや、長期的かつ低用量のBPAにさらされることへの潜在的な影響についてはまだ十分には解明されておらず、懸念を示す専門家もいる。

PVCとして知られるポリ塩化ビニルは、パイプや建材などによく使われる丈夫で耐久性のある素材である。しかし、健康面や環境面では大きな問題がある。PVCはリサイクルがほとんどできないだけでなく、加熱したり燃やしたりすると危険なダイオキシンを発生する。このダイオキシンは人体に何年も留まり、特に子どもたちの健康問題の原因になる可能性がある。さらされることで先天性欠損症、発達の遅れ、行動上の問題を引き起こすかもしれない。PVCのダイオキシン類に少しでもさらされた場合の長期的な影響はまだ不明だが、重大なリスクをもたらす。これらのダイオキシン類が母乳から検出される可能性があることを考えると、これは特に厄介である。

これらの毒素に関する知識があれば、インドネシアや東南アジアのさまざまな地域、そして世界の低所得国のように、プラスチックを大量に使用する人口密集地は、魚介類、水、空気など、さまざまな形でプラスチックを大量に摂取する危険性がある。例えば、1600万人以上の住民を抱えるラゴス州(ナイジェリアの旧首都 ※)では、1日あたり2250トン、1カ月あたり6万7000トンのプラスチック廃棄物が排出されていると推定される。このため、ラゴスの人々は間接的なプラスチックの摂取に翻弄(ほんろう)されている。最近の使い捨てプラスチックの禁止以外に、プラスチックごみを減らすサステイナブルかつ効果的な方法はない。

※日本の外務省のウェブサイトによると、ナイジェリアのラゴス州政府はプラスチックなどのリサイクル可能な資源ごみの廃棄量の削減、リサイクル促進、関連雇用の創出を図る「ラゴス・リサイクル・イニシアティブ」を実施しているとのこと。

人体や環境へのプラスチックのダメージについての意識が、これまで以上に高まっている今、リサイクルを支持する地域社会との関連性はかつてないほど拡大している。

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プラスチックのリサイクルを推進する地域社会

問題の解決策を見出すために地域社会が一丸となれば、私たちは集団として成功を収めることができる。ご存じのように、環境におけるプラスチックの使用は一人だけの責任ではない。私たちみんなの責任だ。したがって、これらの問題を解決するために力を合わせることが、プラスチックとの闘いを始める最善の方法なのだ。そこで、私たちは環境開発とプラスチックのリサイクルを支持するコミュニティとして機能している組織のリストを作成した。

SustyVibes(サスティ・バイブス)

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サスティ・バイブスは特に、持続可能な活動に従事する若者の取り組みに焦点を当てている。SustyVibesは、若者たちにサステナビリティを楽しく実践してもらうと同時に、人々を教育し、地球を癒やすために持続可能な行動をとることを目的としている。彼らの「サスティ・スクール・プログラム」では、インタラクティブな学習、体験学習、地域に根ざしたカリキュラムなど、その他多くを通じて、あらゆるレベルで若い世代に持続可能性を教えようとしている。5000人以上の生徒を教育しながら、SustyVibesは、サステナビリティな活動を一から作り上げているのだ。

彼らの使命は、「若者たちが自分たちの能力を信じて、世界を変革できるようなプラットフォームを構築すること。ジェンダー平等と環境正義(人種、国籍などにかかわらず、すべての人々が安全で健康的な環境で暮らせるように主張する社会運動のこと ※編集部注)の原則に従って、繁栄する地球の中で、持続可能な未来を共同創造するために努力しています」。

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Chanja Datti(チャンジャ・ダッティ)

ナイジェリアの首都アブジャにあるチャンジャ・ダッティは、リサイクルを支持し、「廃棄物を価値あるものに変える」ことに取り組んでいる。私たちの環境から生物分解性のない廃棄物をなくしたいという要求が高まる中、彼らは主にプラスチック(ペットボトル、水が入った袋状の容器、ナイロン袋など)、アルミ缶、紙類(古新聞、古い教科書、段ボール、紙パックなど)、ガラス瓶、タイヤのような、その他の廃棄物の収集に焦点を当てている。

主にナイジェリア北部で活動しているため(※)、コカ・コーラ社およびWASTEナイジェリアと提携し、女性リサイクル業者エンパワーメント・イニシアチブ(WREI)のために、リサイクル協同組合から資金を得た小売ビジネス・イニシアチブで、地元の女性リサイクル業者を支援している。

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※ナイジェリア連邦首都圏区(特に首都アブジャ)及びラゴス州において、プラスチック資源循環体制の強化やプラスチックごみの削減を図るための取り組みが行われているとのこと。

F.A.B.Eナイジェリア財団

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環境保護団体、F.A.B.Eナイジェリア財団は、「体験的な意見表明活動、教育、温暖化防止に貢献する創造的なイノベーションを通じて、ナイジェリアとアフリカにおける生物多様性の環境と健康に影響するような、気候変動や汚染によって引き起こされる問題に関する、持続可能なエコソリューションの特定、探求、簡易化を促進し、改善することを目的としています。それを若い人たち、特に女性を参加させて行うことを目指しているのです」。

彼らは「タイディ・ナイジェリア・イニシアチブ」を運営し、気候変動の影響について地域社会を教育し、情報提供を行うことに注力している。タイディ・ナイジェリアはまた、アップサイクル、リサイクル、ガーデニング、裁縫、その他多くのスキルを教える技術習得プログラムを実施しており、それらは埋め立て地を増やす代わりに、廃棄物を再利用するのに役立つものである。