この世界に溢れる自然、または超自然的な美しさ、内なる記憶。
「人生は永遠につづく饗宴ではない。人生は涙の谷でもあり、バラの谷でもある。 涙を語るならバラを忘れてはならないし、バラを語るなら涙を忘れてはならない。」ジャン・ドルメッソン
東京都渋谷区『Vacant/Centre』にて、アーティストでありながら、タレントとしても活動する白涍園(ベック・ヒョワン)さんの個展「美しき影」が開催される。
白涍園『アドニス/Adōnis』2024
白涍園『修道院/Convent』2024
白涍園『手術室/Operating Room』2024
白涍園『柘榴/Pomegranate』2024
白涍園『柘榴のためのスケッチ/Study for Pomegranate』2024
韓国に生まれ、現在は日本と韓国を拠点に制作を行う白さん。4年ぶりとなる本展では、この世界に溢れる自然、または超自然的な美しさと、自身の内なる記憶をテーマに描かれた新作が展示される。
書画の筆先に、文字という記号を越えた風月が込められるように、彼女の引く線の交わりから生まれる、抽象と具象が混成する絵画からは、幾重もの風景の輪郭が浮かび上がる。その筆致は、美しさと切り離すことのできない「影」と向き合い、万物が両義的であることを顕そうとする試みでもあるという。
抽象と具象のはざまを往来するようなイメージは、そこに付されたタイトルに注目すると、より想像力を喚起される。
たとえば『アドニス』は、ギリシア神話に登場する、美と愛の女神アフロディーテに愛された美少年アドニスの名。そうした情報を得ても、なお定まらない像はたゆたい、重なり合い、観る人に様々な景色を見せてくれそうだ。
©2024 Hyoweon Baek
白涍園(ベック・ヒョワン) / Hyoweon Baekアーティスト、タレント
1991年韓国・ソウル生まれ。2011年に来日し、武蔵野美術大学大学院造形研究科を卒業。現在は東京と韓国を拠点に活動。これまでの個展「BAROQUE」AL(東京, 2019)、「dialogue」AL(東京, 2017)。グループ展「Silent Resonance」Galerie Lulla(LA, 2023)、「The Organic Society of Lines and Colors Chapter 1」UNDER the PALMO(神奈川, 2020)など。
Event Information”美しき影 / Tangible Shades” 白涍園 / Hyoweon Baek
会期:2024年6月29日(土)〜2024年7月21日(日) ※金土日のみオープン
時間:13:00〜18:00
会場:Vacant/Centre
住所:東京都渋谷区元代々木町 27-6
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text : Yu Miyakoshi