次第に体調不良が進み、退職に…

こうした状況が続くうちに、Aさんは次第に体調を崩しがちになりました。

Aさんの休みが重なるようになると、さすがに人事部も気に掛けるようになりました。

上司に対し「あまり無理をさせないように」との注意指示が出ると、上司も表面だって厳しい言葉は控えるようになりました。

「申し訳ありませんが…今日も微熱があって、体に力が入りません。お休みさせて頂けますでしょうか」(Aさん)

「それなら、無理する必要はないよ。つらい時や、できない仕事は、早めに言ってくれれば引き取るから大丈夫だよ」(上司)

Aさんは、上司のこうした当たらず触らずの言葉や態度に、かえって冷ややかなものを感じ、疎外感を深めていきました。

そして、次第にメンタル不調が進行し、入社から半年たらずで退職せざるを得なくなったのです。

※明日公開の記事に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)


【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。