コンテチーズ、リンゴ、トマトの組み合わせ、いかに。
ハムとくるみクリームの変化球ですっかり開眼した私は、コンテチーズ入りも次に試した。コンテとリンゴを一緒に食べることは、秋から春先のリンゴの季節にはしょっちゅうだし、パルメザンチーズを使う代わりに、トマトソースにコンテをふりかけたり、バジルペーストに加えることもあるけれど、リンゴとトマトとバジルとコンテが混在する味がやっぱり想像できなかったのだ。
1cmほどの厚みにスライスされたコンテが存在感を示すサンドイッチは、見た目通り、具それぞれを口の中でコンテが繋ぐ感じで、リンゴとトマトの酸味が交互にやってくるのがとても楽しい。トマトとバジルというよく知る味のコンビに、リンゴの果汁が出現すると、途端に爽やかさが増す。面白いなぁと感心した。こんなにも日常的な素材で、ほんの少しメンツを変えるだけで、ここまで味の変化を生み出せるのだ。シンプルな合わせ方ゆえに、より、素材ひとつの持ち味が生きるのだろうとも思った。
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続いて、シェーヴルと洋梨サンドを。
シェーヴル(チーズ)と、洋梨、リーフレタス、バルサミコクリームのサンドイッチ。これくらいシンプルなサンドイッチは作り置きされて売られていることが多いが、作り立てだからこそのおいしさが、ここにはある。
シェーヴルのサンドイッチは、チーズとリーフレタスだけだと少し喉が渇いてしまいそうな印象なのを、洋梨が解消していた。どのサンドイッチも、自分の家でも定番のおかずを誰かの家で食べたときに、加えたことのない素材が入っていて、「あ〜これを入れるとこんなおいしさになるんだ〜!」と真似をしたくなるような、そんなおいしさだった。
『スクープ』は姉妹で切り盛りしている。取材の日、約束の時間に行くと、バゲットのたくさん詰まった大袋を抱えて妹さんが外から戻ってきた。できる限り焼き上がりから時間の経過していないバゲットでサンドイッチを提供したくて、だから、朝に配達してもらうのではなく、11時に自分で買いに行くようにしているのだそうだ。なんてことのないおいしさの最大のポイントは、これだ、この心持ちだ!と思った。