車の引き渡しと代金受け取りは、同時が原則だ

――昨年3月のリポートでは、「非常に強引な態度で居座られて、契約するまでは帰らない様子だった」とか「解約するなら店に来てもらい、免許証を出してもらうと、20回も電話があった」とか、荒っぽい手口がありましたが、そういう乱暴な事業者は減ったということですか。

担当者 減ったと断定できませんが、さすがに居座り続ける例は少なくなっています。今回は、現在目立つ代表的な手口3つに絞りました。

――被害に遭わない大事なポイントは何でしょうか。

担当者 【事例3】のように、車を渡したのに、いろいろと理由を付けてお金を支払わないケースが増えています。普通、お店で物を買う時は、商品の引き渡しと代金支払いは同時ですよね。

中古車の売却も同じです。相手が「あとから支払う」と言った時、そのことが契約書のどこに明記されているか、契約をする前にちゃんと確認することが大切です。

買い取り代金の支払いがなされるまで、車および移転登録書類などの引き渡しを延期することも一法です。

――なるほど。【事例1】のように、あとから「事故車だったから減額する」と言いがかりをつけられたら、どうしたらよいでしょうか。

担当者 買い取り業者は査定のプロとしての注意を払って買い取り金額を算出しています。その査定額で契約した後に、修復歴や事故歴を見落としたなどとして、買い取り業者から減額や解約を求められた場合でも応じる必要はまったくありません。

ただし、売却する車に修復歴や事故歴があると知っていた場合には、必ず査定時に買い取り業者に申告しましょう。それが、のちのちのトラブルを避けるうえで重要です。

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業界団体の契約書ガイドラインで、事前にチェック

――こちらも「正直であれ」ということですね。

担当者 中古車売買は、クーリング・オフができないので、何より事前に契約書をしっかり確認することが大切。特に、【事例2】のように断ったらキャンセル料を要求されるケースが増えています。

キャンセル料に関しては、金額とともに、どの時点から発生するのかについても、しっかり理解したうえで契約しましょう。契約書にないキャンセル料を請求された場合や、契約書に定められた金額を上回るキャンセル料を請求された場合に、契約内容に従った対応を要求することができます。

――ほかに注意点はありますか。

担当者 信頼できる業者かどうか、しっかりした契約書かどうか、よく調べることが重要です。

車買い取りの事業者の団体である一般社団法人日本自動車購入協会では、「売却する車を事業者へ引き渡した翌日まではキャンセル料を払うことなく解約できる」といった内容を含む契約書のガイドライン(モデル約款)を作成しています。

これを参考に契約書を吟味するといいでしょう。また、日本自動車購入協会のウェブサイトでは、協会に加入している業者も載っています。そちらも参考にするといいと思います。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)