凛とした佇まいの透明ボトルが映し出す黄金色の液体。キャップを開けると広がるウッディーな香りに思わず呼吸も深くなる。心にゆとりをもたらすシームレスセルフケアブランド「ヨベク」の第1弾であるボディソープとハンドソープだ。生みの親の、アパレルブランド「TODAYFUL」吉田怜香さんとスキンケアブランド「FATUITE」藤井明子さんにその軌跡をたずねた。
異業種同士。DMが繋いだふたりの出会いと始まり
SMOOTH BODY CLEANSER 400mL ¥5,720/ヨベク
──吉田さんはデザイナーとしてファッションの世界に身を置いていらっしゃいますよね。スキンケアブランドを手がける藤井さんとは異業種になります。違う分野で活躍するお二人が手を組むようになったいきさつを教えていただけますか。
吉田(敬称略):私が藤子ちゃん(藤井さんのニックネーム)を展示会へお誘いしたのが出会いのきっかけです。インスタで存在を知って、「TODAYFUL」も似合いそうだったので。
藤井:実は私は世の中のいろんなものに疎くて、連絡をもらうまでは存在を知りませんでした。洋服のコレクションをチェックするとすごくかわいかったので、展示会に行ったんです。そこでレイチェル(吉田さんのニックネーム)を初めて見かけて。どえらい美人すぎて、これは話しかけてはならぬ人だと思ったことをよく覚えています。
──お互いが一目置いてたんですね。そこからどうやって距離が縮まったのでしょう。
吉田:気づくとこうなっていたかも。私も誘う割には人見知りなので積極的に話しかけるタイプではなく(笑)。ただ、藤子ちゃんのやわらかな感じと人柄に惹かれました。年齢も近いわけではないけれど、仕事や日常生活のことで共通点も多く、話が尽きなかったんです。そのうちにプライベートでも会うようになっていましたね。
藤井:そうそう。あっという間に友達になってた。私は「FATUITE」を2021年にローンチしました。でも、立ち上げる前は不安しかなかったんです。そこで、すでにブランドディレクターとして活躍していたレイチェルに話を聞くことに。そしたら「決めたら腹を括れるよ」と。力強い一言に背中を押されました。実際に動いてみて、あの時に掛けてくれた言葉の意味がとてもよく分かる。人としてもディレクターとしての在り方も尊敬しています。そうして走るうちに、新しくパーソナルケアブランドを作りたいという思いが芽生えてきました。すると、レイチェルも構想をしているということが耳に入って、すかさず声をかけたんです。
吉田:定期的に仕事、プライベート関係なく近況報告してたもんね。出産を経て、子ども用のボディソープを手にする機会ができたけど、そのなかで大人向けのデザインで新生児も使えるものに全く出会えなかった。だからこそ、作ってみたくなったんです。
藤井:私は成分については分かっても、デザインは素人です。新ブランドは独自の世界観があるものにしたかった。この人が本気で作る世界観を見てみたいと思ったのがレイチェルでした。
ラベルはできるだけ小さくし、デザイン性を追求
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お互いの得意分野を最大限に発揮
──藤井さんからのオファーは即決されたんですか?
吉田:正直少し迷いました。直感的に、おもしろそう!って思った半面、仕事と育児の両立で既に忙しくしていたので。携わるなら本気でやりたいぶん時間がとれるかな、と。ただ、藤子ちゃんとのタッグに魅力も感じたし、やらないと後悔すると思って。
藤井:そんなふうに思ってもらえてとてもありがたい。コンセプトを練った後は役割分担が明確なので、自由度も高かったよね。
吉田:うん。お互いの仕事への姿勢に信頼もあったしね。
──そのコンセプトが知りたいです。
藤井:慌ただしい日々を送っていると余裕が欲しくなりますが、余裕って後からついてくるもで、自分でつくるのは難しい。一瞬でもそれが得られるものを作りたかった。
吉田:「余白」を求めるのは性別も世代も同じでしょうし。ちなみに「ヨベク」は韓国語で、余白と言う意味。読みやすいようにオリジナルの綴りで「YOBEK」としています。
──プロダクトが生まれるまでの期間は?
藤井:1年半くらいです。製造元とも密にコミュニケーションが取れたので、話の展開は早かったです。ただ、私は中身を、レイチェルはデザインに関して、納得するまでブラッシュアップをしていたので、当初の想定よりも延びてはしまいました。
吉田:デザインはあらゆる空間に馴染みつつ、飽きがこないものにしたくて、潔くシンプルに。ボトルのシルエットや質感にもこだわり、「ヨベク」オリジナルで容器をつくりました。
藤井:デビューしたてのブランドがオリジナルの容器を開発するのはすごく難しいんです。それを聞き入れてくださったメーカーさんには感謝しかありません。
吉田:本当に。香りと泡の質感もテストを重ねたよね。
藤井:新生児から敏感肌の大人まで安心して使えることをベースに、デリケートゾーンにも使えるとか泡立ちが良いとかボディークリームがいらないくらいの保湿感とか、数えきれないこだわりがありすぎて、工場のみなさんを困らせていました。また、香りってすごく抽象的なので、ヨベクらしいアロマ感を出してもらうために調香師さんにイメージを伝えることがすごく難しかったです。
吉田:私の元に届くテスターのラベルにはどのプロダクトもすでに試作10回と書いてあったりするんです。藤子ちゃんのこだわりや努力がつまってるんだなと感じました。
藤井:いま開発中のシャンプー&トリートメントも決めきれずにいる……。頑張ります。
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