他人の財布の中身は、とても気になるもの。
毎年社会人の「お小遣い白書」を発表しているSBI新生銀行の「2024年会社員のお小遣い調査」(2024年6月28日付)によると、男性会社員の毎月のお小遣いの平均額は3万9081円、女性会社員は3万4921円となった。
それぞれ前年より減るトホホホな結果となったが、20、30代では女性のほうが男性よりも多い。最新お小遣い事情を調査担当者に聞いた。
「歴史的賃上げ」どこに? 男女とも昨年よりダウン
SBI新生銀行の調査(2024年4月12日~15日)は、全国の20代~50代の会社員(正社員・契約社員・派遣社員、パート・アルバイト含む)の合計2718人(男性1564人、女性1254人)が対象だ。
まず、お小遣い額(毎月の平均額)を聞くと、男性会社員は3万9081円(前年比1477円減)と、昨年は調査開始の2010年以降で2度目の4万円台になったのに、上昇トレンドとはならなかった。「歴史的な賃上げ」はお小遣いには反映されなかったかたちだ。
年代別では、20代・40代で大幅に減少し、一方50代で大幅に増加するなど、世代間で差が出る結果となった【図表1】。
一方、女性会社員は3万4921円(前年比80円減)で、男性よりも減少幅が少なく、ほぼ昨年と同水準となった。年代別では20代が最も高く4万578円と、男性20代の平均より少し多いくらいだ。女性は、30代でも男性30代の平均より3248円も上回っている【図表1】。
男性の1日の昼食代は、物価高騰を反映して前年の624円から85円増加し、709円となり、調査開始の2010年以降初めて700円台を超えた。一方、女性の1日の昼食代は、前年の696円から2円減少し、694円となり、前年とほぼ同水準【図表2】。
そのため、男女ともに持参弁当の割合が最も高くなり、男性で36.7%、女性で53.5%を占める結果となった。
1か月の外での飲み代をみると、男性は1万3533円(前年比317円減)、女性は9791円(同217円増)と、男女ともに前年とほぼ同水準ながら、やや女性のほうがパワーアップしたかたちだ【図表3】。
さて、今年(2024年)1月からお小遣い額アップの決め手として、新NISA(少額投資非課税制度)が始まったが、どのくらい広がっているだろうか。
新NISAを知っているかを聞くと、男性員は「知っている」が76.5%、女性は75.1%とほぼ同水準。
新NISAを知っているが、投資をしていない人に、「今後、新NISA口座での投資を検討しているか」と聞くと、男性では39.7%、女性では42.0%が投資の意向を持っていた。特に女性20代では52.6%と半数を超えるほど熱心だ。ここでも、女性のパワフルさが際立つ結果となった【図表4】。
(広告の後にも続きます)
ランチ代が「ワンコイン」だったのは3、4年前まで
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったSBI新生銀行サステナビリティ&コミュニケーション統括部の担当者の話を聞いた。
――男性のお小遣いが、昨年は2度目の4万円台となったものの上昇トレンドにならず、再び下がって4万円を割りました。昨年、今年は「歴史的な賃上げ」が続いたはずなのに、なぜお小遣いが上昇しないのでしょうか? この調子だと、来年以降も見通しは暗いのでしょうか?
担当者 今年6月の厚生労働省の発表によると、物価変動を考慮した実質賃金が過去最長の25か月連続でマイナスです。給与が上がっても物価高に追い付いておらず、給与上昇がお小遣いに反映されていないのです。
男性、女性ともに物価高の影響を感じている人が8割を超えており、年代が高い人ほど危機感を抱いています。物価高で支出を減らす費用のトップが「食費」です。
――食費といえば、男性の昼食代が初めて700円を突破したという結果も衝撃的です。この数字は「購入弁当」や「外食」の金額ですか? ワンコイン(500円)がランチ代の目安と言われたものですが、とっくに500円を突破しているということですね。
担当者 そのとおりです。昼食代は、持参弁当や在宅勤務でお昼を作る場合を除く「購入弁当」や「外食」になっていますから、物価上昇の影響を受けやすい出費になります。
なお、男性の昼食代が500円台だったのは2020年(585円)までで、女性では2021年(590円)まででした。それ以降は600円台になっています。