ドレス選び放題、著名な写真家のフォトウェディングサービスも
――なるほど。リポートでは、「結婚式場は固定客やリピーター客が見込めないので、新規客獲得の戦略が重要になる。多様なプランや戦略の工夫が必要だ」と指摘していますが、具体的には各社、どんな工夫をしているのですか。
櫻井浩樹さん たとえば、業界トップの(株)ツカダ・グローバルホールディングは、インターナショナルウェディングが好調で挙行、受注ともに拡大しています。(株)テイクアンドギヴ・ニーズは、受注件数の増加、婚礼単価の向上を目指し、施設のリニューアルなどを実施しています。
(株)エスクリは、ドレスを選び放題で、著名なフォトグラファー監修のフォトウェディングのサービスもリリースしています。大規模な結婚式だけでなく、フォトウェディングや海外ウェディング、カジュアルウェディングなど、多様なニーズに対応しています。
――最近、少子化が著しい東京都が自ら始めた、AIによるマッチングアプリ「TOKYOふたりSTORY」が賛否両論の話題になるなど、結婚支援のマッチングアプリ事業に着手する自治体も出ています。
こうしたマッチングアプリの興隆は、結婚式場のビジネスにプラスになるでしょうか、マイナスになるでしょうか。
櫻井浩樹さん マッチングアプリによる結婚式が増えることは、式場にはプラスになります。ただ、自治体の結婚支援マッチングアプリについては、コストとマッチング率が見合うかどうかを検証する時期がくると考えます。
結婚式場とは少し違いますが、東京都江戸川区ではマッチングアプリを運営する(株)タップルと連携協定を締結しています。自治体も域内人口の増加、住民の定着が大きな課題になっており、ある程度の結果が出るまでは取り組みを進めていくと思います。
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挙式に使うお金を、別のことに使う発想が自然になった
――少子化が進み、入籍しても挙式・披露宴をしない「ナシ婚」を選択するカップルが増加しています。今後の結婚式場業界はどうなるでしょうか。
櫻井浩樹さん 今後の結婚式場業界は、全体の婚姻件数が減少するなかで次第に淘汰が進むと思います。価値観も多様化しており、入籍=挙式をあげない感覚は、現代の若者には抵抗がなく増えると思います。
挙式に使うお金を、別のことに使う発想は自然なことになりつつあると思います。また、経済的な理由、準備の煩雑さなどの理由で、ナシ婚を選択するカップルも少なくないと思います。
こうした層に対し、慶事以外でも施設を利用してもらう施策、結婚後も接点を持つようなアプローチは必要と考えます。
――今回の調査で特に指摘しておきたいことがありますか。
櫻井浩樹さん 個人的な話で恐縮ですが、私自身も今年2月に入籍し、フォトウェディングを行なう予定です。肌感覚ですが、同年代の友人たちと会話していると、大規模な結婚式をあげるよりも、フォトウェディングなどで簡素に済ませ、その分を新婚旅行や新生活に充てたいと考える人も多いのではないかと思います。
コロナ過を経て、従来のパッケージ化された結婚式だけでなく、フォトウェディングや海外ウェディングなどの多様化するニーズに合わせた各企業の戦略が試されていくのではないでしょうか。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)