コーヒーの2050年問題とは?
コーヒー豆を手ですくう
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現在のコーヒー豆価格の高騰の主な理由が不作にあると聞くと、多くの方が「天候が安定してたくさん作れるようになれば価格も下落するのでは」と思うのではないでしょうか。それに、遠因の一つである円安もある程度のところで落ち着くかもしれません。しかし、他の農作物とは違い、コーヒー豆の生産には特有の大きな問題があることが指摘されています。
皆さんは、コーヒー豆がどのようなところで作られているかご存じでしょうか。コーヒー豆の生産量が多い国は、ブラジル、ベトナム、コロンビア、エチオピア、インドネシア。この5カ国で全世界の生産量の70%を占めています。
これらの国を眺めていると、「コーヒー豆は熱帯気候の中で育つの?」と思う方もいるでしょう。しかし、そうではありません。コーヒー豆の生産に適しているのは、年平均20℃ほどの地域。イメージとしては、夏の避暑地のような場所です。具体的には、北緯25度から南緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる地域に限られます。
現在のペースで地球温暖化が続いた場合、今は年平均20℃ほどの地域でも気温は大きく上昇するでしょう。その結果、「2050年にはアラビカ種の生産地が現在の50%にまで減少する」と、コーヒーに関する国際研究機関「World coffee Research(WCR)」は警鐘を鳴らしています。
生産できる地域が減少すれば「コーヒー豆の生産量と品質が低下」→「品質の低下と出荷量の減少で収入が減ったコーヒー農家が離農」→「需要と供給のバランスが大きく崩れ、コーヒー豆価格がさらに高騰」という負のスパイラルが起きることが考えられます。この「コーヒーの2050年問題」を放置すると、コーヒーはいずれ一般人が気軽に口にできるものではなくなってしまうかもしれません。
この問題を根本的に解決するためには、地球温暖化を止める必要があります。そのために一人ひとりにできることは少ないのかもしれません。しかし、少なくとも筆者は、エアコンの設定温度を見直す、できるだけ公共交通機関を使う、エコバッグを利用するなど、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出量を少しでも抑えられる生活を心がけたいと思います。