お支払額は?
「本日はお食事ありがとうございます。提供価格1万6,000円のところ、原価で1万8,500円です!」
「はぁ? 表示価格より原価の方が高いはずがない! 4,000円のコースなら、人件費や光熱費、税金を抜いて、原価は800円が妥当よね。さぁ、原価を言いなさい」と憤慨する彼女に、私は営業スマイルで説明してあげたのです。
「計算が早くてさすがね。ただ、原価を下回る値段で商品が提供されるケースもあるんですよ? 実は今日のコースは、営業10周年記念のスペシャル料理。利益度外視で、高級食材の和牛や果物を使っているの。それに、兄が発注ミスをして松茸を仕入れちゃって。もちろん提供額は据え置きだったんだけど……。原価でお支払いくださるということで助かります!」
それでもゴネたママ友でしたが、それなら警察を呼ぶと言うと、最終的には観念。おとなしく「原価」を支払ってスゴスゴと帰っていったのでした。
それ以来、彼女があちこちで値切ることもなくなったのだとか。原価攻撃のせいで仕事に支障が出ていた人たちも、近場のスーパーや飲食店などに戻れると大喜びしてくれました。
私たちのレストランといえば……。彼女をやり込めたという話が広まり、知名度がうなぎ上りに。発注ミスをしてもお客様に負担させない営業方針も評価され、兄の料理のおいしさに、ますますファンが増えています。
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原価に人件費や光熱費、税金が乗って提供価格になるのは当然です。しかし今回は、利益度外視のスペシャル料理だったため、ぎゃふんと言わせることができました。値切ろうとするあまり、提供価格を上回る原価を支払うことになったママ友は、これに懲りてドケチな言動を改めたようですね。
著者/ウーマンカレンダー編集室/スカッと
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