入居者が支払わなければいけない費用

賃貸物件を退去する際、入居者はどのような費用を支払わなければならないのでしょうか?
退去時に入居者が支払わなければならない費用をご紹介します。

家具・家電を置いてできた傷

家具を長時間置いてできてしまったへこみではなく、移動や設置時に大型家具や家電などで壁や床などに傷を付けてしまった場合には、入居者がその費用を支払わなければなりません。
例えば、椅子を引きずったことによる床のひっかき傷や階段で家具を擦ってしまった跡などが対象です。
ペットによる壁紙や床へのひっかき傷やシミ、匂いがある場合にも修繕費用が必要となります。

掃除を怠ったことによる油汚れやシミ、匂いやカビなど

定期的に掃除をしていれば汚れを防げるような油汚れやシミ、カビなどが残っている場合にも、退去時に入居者が費用を支払わなければなりません。
天井や壁にタバコに汚れや匂いが付着して取れなくなっていたり、頑固な油汚れが付着していたりするなどです。
また、飲み物や食べ物をこぼしてできてしまったシミも対象となります。
賃貸物件は結露しやすい物件が多く、カビが繫殖しやすいです。
そのため、カビが繁殖しないように気を付けて生活をしたり、カビを見つけたらすぐに掃除をしたりする必要があるでしょう。

ふすま・畳・障子の破れなど

ふすまや障子を破ってしまった場合には、入居者がその修繕・交換費用を支払う必要があります。
また、畳がカビてしまったり酷く汚してしまったり、穴があいてしまったりなどした場合にも、畳の交換費用を支払わなければなりません。
日常生活における経年劣化による損耗なら、支払いは不要です。

水漏れ

設備の破損で水漏れし、その水漏れを報告せずに放置していた場合には、修繕費用を請求される可能性があります。
水漏れを長時間放置してしまうと、カビてしまったり腐食してしまったり、床に水が入り込んでしまったりなどといった事態に陥るからです。
高額請求を避けるためにも、水漏れしたらすぐに報告をして、放置しないようにしましょう。

DIYをして原状回復ができない壁や床

原状回復できるようにDIYするのなら問題はありませんが、壁の色を直接塗装で変えたり、フローリングを張り替えたりするなどして原状回復できない場合があります。
こうした場合には、壁や床の修繕費用を払わなければいけなくなります。
入居者は、部屋を原状回復させる義務があるので、部屋を元の状態に戻せないとなると原状回復費としてお金を請求されるのです。
そのため、部屋をDIYしたい場合には、跡が残らずキレイに剥がせる壁紙やクッションフロアなどを使用すると良いでしょう。
跡が残ってしまう場合には、マスキングテープや下地などの上から壁紙やクッションフロアなどを貼ることで、原状回復させることができます。

特約に定められているもの

入居者が「わざと」もしくは「うっかり」で壁や床、設備などを汚したり壊してしまったりした場合には、その修繕費用を支払わなければなりません。
しかし、その他にも退去費用を支払わなければならない場合があります。
それは特約に定められているものです。
契約書に特約がある場合には、国土交通省のガイドラインよりもその契約内容が優先されることとなります。
「退去時のクリーニング費用○万円」「敷金○ヶ月分をクリーニング費用として請求する」などという特約事項が該当します。
こうした特約がある場合には、記載されている費用を支払う必要があるので注意しましょう。
契約時に特約があるかないか、ある場合にはその内容をしっかり確認しておくと退去時に安心です。
また、この特約に記載されている費用が相場よりも高額になっていないか、相場を確認しておくことも大切です。

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入居者が支払わなくても問題ない費用

次に、入居者が支払わなくても問題ない費用をご紹介します。
入居者が退去時に支払う必要がない費用は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定義されています。

画鋲で壁にあいた穴

画鋲を壁に刺して壁に穴があいてしまっても、その費用は支払う必要ありません。
画鋲やピン程度の穴であれば、日常生活で自然に付く傷と同等と見なされるからです。
この程度であれば、下地のボードを張り替える必要がないので、お金を請求されることはないでしょう。
しかし、釘やボルトなどを使って下地のボードを張り替えなくてはいけなくなると、話は別です。
入居者がお金を支払わなければならなくなります。

家具・家電を置いてできた床のへこみ

大型の家具や家電を床に置くと、へこんでしまうことがあります。
長年置き続けていると尚更のことです。
こうした大型の家具や家電による床のへこみは、日常生活において仕方のないことです。
そのため、家具や家電を床に置いて設置跡が残ってしまったとしても、お金を請求されることはありません。
日常生活の範囲内の使い方なら問題ないでしょう。

家電による電気焼け

テレビや冷蔵庫などの家電を長時間置いておくと、壁紙が電気焼けしてしまうことがあります。
しかし、こうした家電による電気焼けも故意ではないので、入居者は電気焼けによる壁紙の修繕費用を払う必要はありません。

壁や床の日焼け・色褪せ

日照による壁や床の日焼けや色褪せといった変色は、故意によるものではありません。
自然現象と経年劣化によるものなので、入居者はその修繕費用を支払う必要はないです。
また、壁にポスターやカレンダーなどを張ったことによる壁紙の変色も、基本的には大家さん負担となります。

エアコン内部の掃除

賃貸物件には、始めからエアコンが設置されている部屋も多いです。
始めからエアコンが設置されている部屋の場合でも、エアコン内部の掃除はしなくても問題ありません。
エアコン内部の掃除は、退去後に大家さんがしてくれます。

部屋全体のハウスクリーニング

部屋全体のクリーニング費用は、入居者が退去時に支払わなくても良い場合が多いです。
これは、物件を借りる際にどのような契約をしたかによって異なります。
賃貸契約時にクリーニング代を支払っている場合には、退去時に追加でハウスクリーニング代を支払うということはないでしょう。
しかし、退去時にクリーニング費用を支払う契約を結んでいる場合には、退去時にこの費用を支払わなければなりません。