不老不死を招くスパイス「コリアンダー」
今回の主役はコリアンダーシード。こりゃなんだー︎ みたいな響きのスパイス。じつはこれ、パクチーなの。パクチーの花が咲き、結実して種ができたら、ハイ! コリアンダーシード。ハーブ(フレッシュという意味)とスパイス(乾燥という意味)の両方で活躍する植物です。
全国のアンチパクチーファンの方、ご安心あれ。カメムシのような独特の香りがするのは葉の部分。種の部分は全く別の香りです。甘く木のようなフレグランスでオレンジピールのような温かみのある香りを持つ、コリアンダーシード。独特な香りではなく、主張も弱めなので、さまざまな料理に使うことができます。
古来より薬草として使われてきたコリアンダーシード。消化を助ける作用や強壮作用にもすぐれているので、体力を消耗する夏にもおすすめしたいスパイスです。
これがパクチーの花、緑の丸いのが種。これを乾燥させればコリアンダーシードに。種はフレッシュのまま、サラダやおにぎりに混ぜれば、プチっとした食感と爽やかな風味でごちそう感アップ。
日本では色んな呼び方があるのもパクチーの特徴。
英語ではパクチーのことを「コリアンダー」と呼び、タイ語では「パクチー」、中国語では「シャンツァイ」と、世界各地で広く食用されています。
メキシコでは「シラントロ」と呼ばれています。
このコリアンダーシード。日本料理では馴染みのないスパイスですが、一歩世界に出ればポピュラーな存在なのです。例えば、ヨーロッパやアメリカではピクルス作りに欠かせないし、インドではカレーを作る際には欠かすことはできない風味を持ち、最近スーパーでも見かけるハリッサ(北アフリカ生まれの辛いペースト状の調味料)にもコリアンダーが含まれています。イギリスでは料理だけではなく、お菓子用のスパイスミックスにも入っていたり、ケーキやビスケットにも使われています。オールマイティ!
コリアンダーシードの歴史は古く、サンスクリット聖句、アラビアンナイトの物語、そして聖書の中にも名前が登場するスパイスです。
中国ではコリアンダーシードを食べれば不老不死になるという伝説もあったとか。数千年前、エジプトでは葬儀の際には、冥土への旅のお守りとして、亡骸とコリアンダーの枝を一緒に葬る習慣があったのだとか。うーん。なんともミステリアスなスパイス。
今回はそんなコリアンダーとクミン、カルダモンを使って、インドムード満載のボンベイ(現在のムンバイ、インドの都市)風ジンジャーエールを作りましょう。今年の夏も元気モリモリ夏バテ知らずだわよ!
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ルーシー流!コリアンダー香る、新生姜の「ボンベイ」ジンジャーエール
今回は夏にピッタリなインド風ジンジャーエールを作ります。
カレーを連想させる香りのスパイス達は、喉越しもよく爽やかな風味。ソーダとスパイスの意外な組み合わせがクセになっちゃう! 新生姜もスーパーで見かける季節、爽やかな辛みがピリッと心地よい滋養強壮ドリンク。さぁて!ファイトーッ!いっぱーつっ!!
■ 材料 ※約5〜6杯分
新生姜 100g
a)カルダモン 5個
a)クミン 小さじ1/2
a)コリアンダー 小さじ2
シナモン 1本
赤唐辛子 少々
レモン汁 60cc
黒糖 120g
水 120cc
炭酸水 適量
飾りのレモンやミント 適量
■ 作り方
① a)のスパイスをフライパンで乾煎りして香りをたたせて、乳鉢やミルで擦り、赤唐辛子とシナモンと一緒に出汁パックなどに入れる。
フライパンで乾煎りする際は焦げないように弱火で。香りがたって、パチパチ音がすればOK。
② 新生姜は薄いスライスにして、黒砂糖と混ぜ合わせ30分置く。
ジワジワと生姜の水分が出てきます。もう美味しそう。
③ 小鍋に②と水、①のスパイスパックを加えて、中火にかける。煮立ったら弱火で10分程煮る。
煮ているとカレーの匂いがしてきます。
④ 火から下ろし、粗熱がとれたら、スパイスパックを取り出し、レモン汁を加えて生姜とシロップはブレンダーなどで撹拌してジンジャーエールシロップの完成! 炭酸水で割って召し上がれ!
飾りにレモンスライスや、ライムスライス、そして庭で蔓延るミントを豪快に飾れば、見た目にも爽やか! 今回はジンジャーエール発祥の地、イギリスのビクトリア朝時代のビールグラスで乾杯!
カクテルにもどうぞ。ウォッカと割ればモスコミュール改め、スパイスの風味がなんともおしゃれな「ボンベイミュール」になっちゃう優れもの。
お口の奥にふわーっと広がるスパイスのリズムが、フィール ソー グッド! 夏のバーベキューや、ガーデンピクニックにも♡
Credit
写真&文 / ルーシー恩田
ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。