夏野菜が収穫期を迎えたり、夏花が次々開花してガーデンの植物たちも旺盛に育つ季節。それと同時に虫たちも活発に活動する時期でもあります。昨年も大量発生して話題となったカメムシは、今年もすでに発生の報告が多く、また、ナメクジも梅雨に多く出現する傾向があります。この記事では、カメムシがなぜ大量発生しているのかの理由とナメクジによってどんな植物に被害を与えるのかなどとともに、生態と出現場所、効果的な対処法と予防法について、写真を交えて詳しく解説します。急に遭遇して驚く前に、予習してストレスなくガーデニングを楽しみましょう。

過去10年でも最高 2024年もカメムシが大量発生中!


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触るとイヤなニオイを出す虫として、みなさんもよくご存じのカメムシ。すでにカメムシを見かける機会が多いと感じている方もいるかもしれませんね。じつは、カメムシが大量発生し、SNSでも投稿が相次いだ2023年に続き、2024年も大量発生中。テレビや新聞のニュースでも取り上げられるなど話題になっています。農林水産省が都道府県と協力して発表している「病害虫発生予察情報」によると、カメムシ注意報が発令された地域は、2024年5月末現在で30都府県に上り、過去10年で最多という事態になっているのです。


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カメムシは害虫? カメムシの特徴とその被害


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カメムシはカメムシ亜目に属する昆虫の総称。カメムシ科には約3,000種が属し、日本にもクサギカメムシ、スコットカメムシ、マルカメムシなど、多数の種類が生息しています。その特徴は、なんといってもニオイです。敵に襲われるなど、外部の刺激に反応して悪臭を伴う液を分泌。この分泌液は、外敵から身を守るための反応だと考えられています。

すでにその大量発生がニュースになっているカメムシですが、じつは一年で一番大量発生しやすいのは、秋頃。越冬場所を求めて集団で飛来する時期です。通常は落ち葉や樹皮の下や壁の隙間などで越冬しますが、越冬場所を求めて室内に飛び込んでくることもあります。カメムシの寿命は1年半ほどで、前年に生まれて越冬した個体が4~5月に繁殖期を迎え、5月下旬~8月中旬に産卵します。種類にもよりますが、20~100個ほどの卵を産み、卵は1~2週間でふ化して1カ月ほどで大人になるという生育サイクルです。また、草木が茂っている場所に生息し、巣をつくることはありません。

カメムシによる被害


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ニオイがあることから、不快害虫として嫌われやすいカメムシですが、草食性の種類は農作物に被害を与える害虫の側面もあります。ストローのような形の口を果実や茎、新芽など、植物のあらゆるところに刺し、吸汁します。被害に遭った植物は生育が妨げられ、また果実が被害に遭うと、吸汁痕が腐ったり品質が大きく劣化したりして商品価値がなくなるため、特に農家にとって厄介な害虫の一つ。吸汁された果実や野菜は、独特のニオイがついてしまうこともあります。もちろん、家庭菜園やガーデニングでも被害が発生しやすい害虫で、楽しみに育てている花や野菜が被害にあったという嘆きの声が後を絶ちません。


稲を食害するカメムシも。Masaru Masuda/Shutterstock.com

ちなみに肉食性のカメムシもいて、こちらは害虫を食べるため益虫として扱われますが、時に人間を刺すことも。一説によると、刺されるとスズメバチよりも痛いそうなので注意しましょう!