「歯の健康」が健康的な長生きのために大切なのは、人間も動物も変わりません。犬は3歳以上の場合、80%が歯周病ともいわれていますが、歯周病は心臓疾患や認知症など他の病気のリスクにもつながるため、しっかりオーラルケアをしたいもの。自分で歯磨きやうがいのできない犬のオーラルケアには、積極的にハーブを利用するのもおすすめです。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、フェンネルをはじめとするオーラルケアに効果的なハーブと、オーラルケアに利用できるハーブチンキの作り方&使い方をご紹介します。
香りのよいハーブ フェンネル
初夏になり、庭でフェンネルが大きく成長しています。ぐんぐん茎が伸びて、もう1m以上になっているでしょうか。
フェンネルはセリ科のハーブで、古代エジプトや古代ローマでも栽培されていたという、とても古い歴史を持つ植物です。葉、茎、花、種子すべてが食用できます。特に種子のフェンネルシードは、芳香性健胃剤として位置付けられ、消化を促すとともに、腸内のガスの排出を促す駆風作用によって、鼓腸(胃や腸にガスが溜まる状態)や疝痛(せんつう)の対処に用いられるなど、薬用としても利用されてきました。精油も種子から抽出されます。
スパイスとして料理やお菓子作りに利用され、食後の口臭予防にもなるフェンネルシード。抗炎症作用などもあり、薬用にも利用されます。
フェンネルは、猫のしっぽのようなフワフワと柔らかい葉が特徴的で、食事に添えるハーブとしてはもちろん、フラワーアレンジのアクセントとして入れてもとても可愛らしいです。甘い香りも印象的です。6月後半頃からは黄色の花が咲き始めます。
株元が膨らむフローレンスフェンネル。
フェンネルの中でもフローレンスフェンネルという種類は、株元が玉ねぎのように膨らみ、野菜と同じようにスープやサラダに利用します。基本種のスイートフェンネルはハーブティーにしたり、料理に使ったり。特に、「魚のハーブ」と言われるように、サーモンや白身魚のマリネ、イワシのソテーなどに使うと、魚の臭みが取れて風味がよくなります。
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犬のオーラルケアにフェンネルを活用
フェンネルには抗炎症作用・殺菌作用があるので、オーラルケアに有用。犬・猫の口臭の原因となる歯周病対策に、ぜひ試してみたいハーブです。
口臭の原因は歯そのものではなく、歯ぐきに問題のあることが多いといわれています。そのため、歯周病対策は必須。歯周病の原因は口腔内の細菌で、歯垢や歯石の原因でもあります。歯肉炎をはじめとする歯周病は、心臓疾患、脳血管疾患、糖尿病など、いろいろな疾患につながることが分かってきています。また認知症にも関連していることが明らかになっています。健康に過ごすためには、歯ぐきの健康に気をつけなくてはいけませんね。
犬の場合、3歳以上の80%が歯周病ともいわれています。歯磨きやうがいのできない犬のオーラルケアには、ハーブも効果的に利用したいもの。ハーブの持つ殺菌作用が歯垢の原因菌に対して働き、歯垢や歯石の付着を防ぐのに役に立つのだそうです。