固定金利型と変動金利型、返済額の比較


コインとパーセント
【画像出典元】「stock.adobe.com/Nuthawut」

ここでは以下の条件で、変動金利型と固定金利型の比較をしてみましょう。あくまでも仮定になりますが、おおよそのイメージは掴めると思います。

【条件】
・当初借入金額:3500万円
・当初返済期間:35年
※借り入れてから5年間の返済が終わった時点での元金の残債で試算
・金利:固定金利型は1.9%、変動金利型は0.5%
・返済方法:元利均等型(毎月の返済額は同じだが、元金と利息の割合が変わる)
※なお頭金やボーナス時の加算はなしとする

※筆者作成

返済した期間は5年間ですが、短期間でかなりの違いが出ていることがわかります。
変動金利型の方が毎月の返済金額が少ないのですが、元金の残りは固定金利型よりも少なくなっています。

これは毎月の返済額の内訳を見るとわかるのですが、「元金返済に充当される金額が固定金利型よりも変動金利型の方が多い」こと、また「利息の返済に充当される金額に大きな差がある」ことが理由です。

今回は35年の返済期間の内、5年が経過したケースで比較してみましたが、Aさんのお宅ではいかがでしょうか?変動金利型は金融機関から半年ごとに返済額と金利の案内が郵送かWebで送られてくるので、ぜひ確認することをおすすめします。

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借り換えに必要な費用

借り換え時は手数料などが発生します。金融機関によって異なることもありますが、おおよその目安として残債の2~2.2%の事務手数料と司法書士費用として10万~20万円程度が必要です。ざっくりとした計算になりますが、残債3000万円を借り換えるとすると、およそ80万円の費用が必要です。この借り換え費用は手持ち資金から支払うこともできますが、一般的には借り換え費用も合算し、借り換え金額に含めることが多いようです。

まとめ

住宅ローンをこれから借りる人も、借り換えを検討している人も家計の状況は様々です。そのため単純に「変動金利と固定金利のどちらが良い」「今のうちに借り換えた方が良い」という答えは出てきません。

特に変動金利から固定金利に借り換えすると、借り換え当初の返済額は必ずアップします。この返済額の上昇について納得できるかが重要でしょう。また「金利が上昇すると思って固定金利型に借り換えたけど、結局は変動金利型の金利が上昇せず、結果として借り換え手数料や金利上昇分を余計に支払った」というケースも考えられます。

なお「変動金利で借りて、金利が上昇したら固定金利に切り替える」という声を聞きますが、変動金利型の金利が上昇するよりも前に固定金利型の金利は上昇していることが多いので、この点は注意しましょう。

Aさんについては変動金利型を継続で良いと思いますが、どうしても変動型の金利上昇時のリスクを避けたいということであれば借り換えても良いでしょう。ただし固定金利型に借り換えると、その段階から毎月の返済額が確実に高くなり、借り換え費用も必要になりますのでよく検討してください。

個人的には変動金利型のまま、「金利がアップして返済額もアップしたつもり」で住宅ローンの返済額の他に繰り上げ返済用のお金を貯めることをおすすめします。もし金利が上昇することがあれば、繰り上げ返済用に貯めたお金で一部繰り上げ返済し、金利上昇の負担を減らすという考え方です。ぜひ検討してみてください。

※記事内の見解は、執筆者の個人的見解です。最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。