認知症伴走型支援事業とは?求められる理由や拠点を解説

2025年には認知症高齢者数が高齢者人口の約20%になると言われており、認知症はどの家庭にも起こり得る問題として対処していく必要があります。

しかし、認知症に対応するためには専門的な知識が必要であったり、生活の中で今までになかった問題が生じるなど、家庭で行う介護の問題として大きな課題となっているのです。

そして、認知症について相談できる場所がなかったり、相談する必要がないと判断してしまう家庭が多いのも事実なのです。

このような状況から厚生労働省が行っているのが「認知症伴走型支援事業」となります。

本記事では、認知症伴走型支援事業について詳しく解説します。

認知症伴走型支援事業とは?

認知症伴走型支援事業は、認知症の本人とその家族に対して、認知症の進行に沿って生じる生活上の課題について、専門知識を持つ職員が継続的に相談支援を行う制度です。

高齢者の割合が多くなってきていることや、若年性認知症が広く知られている現代の日本において、認知症に関する支援を行う必要性が高いとして令和3年度から厚生労働省によって創設されました。

この制度は、地域包括支援センターや認知症疾患医療センターなどの関係機関と連携しながら、認知症の本人が住み慣れた地域で安心して生活できるように支援することや、介護者の負担を軽減するなど、認知症に関わる人たちが住みやすくすることを目的としています。

(参照:厚生労働省「伴走型相談支援マニュアル」)

認知症伴走型支援事業の費用は無料?

認知症伴走型支援事業は厚生労働省が中心となって行っている国の事業ですので、利用料金は原則無料です。

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認知症伴走型支援事業が求められる理由

認知症伴走型支援事業が求められる理由には、以下のようなものがあります。

初期段階の認知症は相談しにくいから
介護認定を受けていない認知症の方のサポートができるから

それぞれの理由について、以下で詳しく解説します。

1.初期段階の認知症は相談しにくいから

認知症の初期症状は「物忘れ」や「円滑なコミュニケーションが取りにくい」などの問題が代表的ですが、いずれの症状も”介護の問題”として介護者側が認識することは少なく、また軽度な症状のことも多いため、わざわざ相談する必要はないと考えてしまいます。

認知症の初期症状として多くみられるのは以下の症状です。

同じことを言ったり聞いたりする
物や人の名前が出にくくなった
興味のあったものの興味がなくなった
忘れ物が増えた
日課(習慣)をしなくなった
時間や場所の感覚が不確かになった

(参照:浜辺の診療所「どんな行動や言動があったら、認知症っぽいの?」)

このように、軽度な症状が多い認知症の初期症状ですが、症状が進行する頃には介護者側が疲弊してしまうことが大きな課題として挙げられています。

そのため、認知症伴走型支援事業を地域住民の身近な相談場所として位置付けることによって、いつでも気軽に認知症の専門家に相談できるようになるのです。

2.介護認定を受けていない認知症の方のサポートができるから

認知症によって介護認定を受けるためには、地域包括支援センターに相談して支援の必要性が認定される必要があります。

しかし、初期症状の段階から認知症に対応することで、認知症に関する課題の軽減や悪化防止などに効果があると言われています。

そのため、先ほどもお伝えしたとおり介護認定を受けていない認知症を介護する家族は気軽に相談することができないことが多いため、気軽に相談できる相談支援が必要なのです。

その一環として行われているのが認知症伴走型支援事業で、介護認定を受けておらず介護保険サービスなどの支援を利用する必要のない認知症の方とその家族についてもサポートすることが認知症が増加している日本においては重要となります。