料亭文化の根付く小松市の女将の情熱

先述の通り、産業都市ゆえに多くの人が行き交う都市である小松。現代においてはビジネス利用も多い。小松にはものづくりの文化が花開くと同時に、食文化も並行して発展していった。

そのため、小松市には多くの料亭文化が根強く残っている。その小松の料亭文化を広めようと、市内の料理店や旅館の女将たちが 2023 年に「こまつ女将 小珠(こたま)の和」を結成した。

結成の背景には「コロナ禍」。そう話すのは料亭「梶助」の女将で、女将の会代表の梶あい子さん(写真)。それまでは女将同士顔を合わせる機会もほとんどなかったという。この小松市を盛り上げようと、小松市の料亭の女将たちが2023年に立ち上がり、北陸新幹線小松駅開業を起爆剤とし、おもてなしの心で地域の魅力を発信していくことを目的に発足した。

グループ名はふるさと“小松”、きらきら輝く“珠玉”と、故事「“和”を以って貴しとなす」から一字ずつ取って名付けられている。

女将の中には元オリンピック選手や己書の師範など、さまざまな経歴や個性を持ったメンバーが集まっており、小松市の魅力を伝えようとその情熱の火を灯したばかりだ。そんな女将たちの情熱と手を組んだのが「ゴディバ ジャパン」だ。

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小松市と東京、そして世界を結ぶコラボレーション

日本橋にある「GODIVA café」にて記者発表会が開かれ、「ゴディバ」と連携して新商品開発に取り組むことが発表された。両者にどのような接点があったのであろうか? そのヒントに世界的建機メーカー「コマツ」の存在があった。1972年に「コマツ」の欧州拠点がベルギー・ビルボールド市に移転したことを契機に、1974 年に両市が姉妹友好都市の協定を締結。50 周年となる 2024 年、ベルギー発祥のゴディバは多彩な連携で両市の友好関係を祝福、応援するという形でこのようなコラボレーションが実現したのである。

先述の「こまつ女将 小珠の和」に参加する 9 つの料亭や旅館で GODIVA café と共同開発したオリジナルメニューを提供。写真は「和餐 伸」の鮎とチョコレートソースの共演だ。さらに首都圏で展開する GODIVA café では小松食材を取り入れ、九谷焼の器で提供する期間限定スイーツの販売も計画している(7/1から8/31までの期間限定)。この器を手掛けたのが、先ほど紹介した伝統工芸士・浅蔵一華さんだ。


完成した器

実際に訪れた際は器を作っている最中だった。ゴディバ監修のもと、器のサイズやデザインは協議を重ね、器を完成させた。これは伝統工芸と、今東京を沸かしているスイーツである「パフェ」との異文化交流だ。この器で食べる特別感は、彼女の工房へ直接赴いたからこそ感じるものがある。

また今回のモニターツアーでは料亭のコラボメニューの一部をいただくことができ、そして女将たちの本プロジェクトにおける熱い想いを聞くことができた。


「和餐 伸」の女将と大将

“まさかチョコレートを扱うとは思わなかった”そう話す女将と料亭の大将たち。チョコレートを扱うパティシエたちとは全く異なる、豊かなクリエイションを感じるチョコレート×料亭文化はとてつもなく新鮮なものであった。都内の星付きレストランでも、この感動は味わえないであろう。何が感動かというと、それはやはりこの小松市を盛り上げようとする職人たちの姿だった。