薬膳の知恵できれいに。今回はからだの内側から湿熱を取り、おなかをあたためてくれるレシピをご紹介。レシピは、春雨と冬瓜のスープ、鶏手羽先照り焼きです。




いよいよ夏本番。ゲリラ豪雨、猛暑など、気候変動により日本はどんどん亜熱帯化が進んでいるのを感じます。

中医学では、「湿」に影響を受けて、からだの中の部位に「水」が滞ったり、偏在したりすることでさまざまな症状を起こすことを「水毒」といいます。中医学では、「気」「血」「水」が滞りなくからだの中で流れている状態を健康と考えています。

*気=見えないエネルギー。元気、やる気など。
 血=赤い液体。 血液。
 水=その他の液体。リンパ液、汗、涙、鼻水、よだれなど。
日本は四方が海に囲まれているため、日本人は湿に弱い体質だといわれています。湿に影響をいちばん受ける臓器は「(ひ)」。中医学の「脾」は、脾臓ではなく消化器系、胃腸のことです。

日本人は「水毒」傾向の人が多く、特に湿の多い時期にはその症状が現れやすいのです。指輪が入らない、靴がきついなどのむくみ、重だるい、手足の冷えなどの症状は、どれも水毒が原因と考えられます。

この時期の養生は、水毒をからだから追い出し、水はけのよいからだをつくることが大切です。

いつも飲んでいる水やお茶を、この時期ハトムギ茶に代えることをおすすめします。ハトムギは、生薬である「薏苡仁」(ヨクイニン)です。薏苡仁は、イボや肌荒れに有効とされています。

利尿作用があるため、からだの不要な水分を排出し、水はけをよくしてくれます。ただし、からだを冷やす作用もあるため、飲み過ぎには注意です。

今回ご紹介するレシピは、春雨と冬瓜のスープと鶏手羽先の照り焼きです。

鶏手羽先でスープを取り、その後手羽先は照り焼きにするので、ひとつで二度おいしい。スープを取った手羽先は、中まで火が通っているので安心して短時間で調理できます。

今月のレシピ
春雨と冬瓜のスープ/鶏手羽先照り焼き


<材料>(2人分)
鶏手羽先……6本

水……1000ml
ねぎの青い部分、生姜の皮など……適量
冬瓜(とうがん)……1/6個
緑豆春雨(乾燥)……30g
ナンプラー……大さじ1〜
白こしょう……少々
青ねぎ小口切り……適量

●鶏手羽先照り焼きのタレ
砂糖……大さじ1
酒……大さじ1
しょうゆ……大さじ2
みりん……小さじ2
黒こしょう……適量

作り方
❶鶏手羽先の関節をハサミで切る。春雨を水で10分戻してから、水気を切り、長さ10cm程度に切る。冬瓜はワタを取り、3〜4cm角程度に切って薄く皮をむく。

❷ ❶の鶏肉、水、ねぎ、生姜の皮などを入れて中火にかける。沸騰したら弱火にし、途中アクを取りながら20分茹でる。鶏肉を取り出しておく。

❸ ❷のスープに❶の冬瓜を入れて蓋をし、中火にかける。沸騰したら弱火にし、冬瓜に竹串が通るまで煮る。

❹春雨を加えて、ナンプラー、こしょうで味を調え、器に盛り付け、青ねぎをのせる。

❺フライパンにごま油大さじ1(分量外)を中火にかけ、❷の鶏肉を入れて、薄い焼き色がつくまで両面を焼き、鶏手羽先照り焼きのタレの材料をすべて加えて、味をからめながら加熱する。器に盛り付け、黒こしょうをふる。

春雨が原料の緑豆、今が旬の冬瓜は、からだの内側から湿熱を取ってくれます。鶏肉はおなかをあたため、冷えすぎを抑制し、脾の気を補益します。



橋本加名子(はしもと かなこ)

料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1


文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC

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