『水ダウ』で話題。153センチ、41キロの“最弱”お笑い芸人「一日一食で十分」

人気バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、「タッグ相撲最強コンビ決定戦」という企画がある。エキシビションマッチで“最弱”の称号を手にしたのが、お笑いトリオ「にんげんっていいな」の星河(36歳)だ。相撲の弱さもさることながら、成人男性にしては小柄かつ超細身(153センチ、41キロ)の体型に驚いた視聴者は少なくないはずだ。かく言う筆者もどのような人生を歩み、どういった生活を送っているのか、非常に気になったうちの1人。本人の口から語ってもらおう。

◆「1日1食」で硬い食べ物は苦手

星河氏のシルエットで特徴的なのは、身長もさることながらその痩身。体重は41kgとのことで、11歳男性の平均である41.3kg(※国民健康・栄養調査14)とほぼ同じ。何より体を作る基礎となる食事はどうしているのか。

「1食の量は人並みですが、平均で1日1食なんです。お腹が減ったと感じることがあまりなくて。深夜遅い時間に『今日は何も食べてない』と気づいて、それから意図的に食べることも多いです」

なんと、三大欲求の一つである食欲がほぼないという。好き嫌いについても聞いてみた。

「柔らかいものが好きで、うどんはよく食べますね。苦手なものは、硬いお肉など、顎の力を必要とする食べ物ですね。給食のときには、硬いものを口に入れたままトイレに駆け込んで吐き出していました。当時は、昼休みになっても給食を食べ終わるまで遊びに出られないという風潮が残っていたので大変でした。食べきれないパンを机の中に隠して、何日もたってカピカピになっていたりしたことが、何度もありました」

幼少期から小食であることは間違いないようだ。

◆19歳のころ、今の体型になった

それでも、身長は小柄ながら学生時代まではやや肉付きは良かったと言う星河氏。そこから、現在のような超やせ型になったのには、きっかけがあったと言う。

「19歳くらいで、今の体型になりました。きっかけはアルバイトですね。某ファーストフードチェーンで働いていたのですが、油を見すぎて一日中胸焼けをするように……。ご飯を食べられなくなってしまい、みるみるうちに細くなりました」

なんと、フライドチキンの食べ過ぎなどではなく、油を「見すぎて」食欲を失ったとのこと。痩せる前と後で、大きな違いを感じたのはプールでのことだった。

「まだ肉のついていたころ、水泳を習っていまして。昔はクロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライと全種目できてたんですよ。でも、この体型になってからプールに行ったら、脂肪がなさすぎて沈んでしまうんです。通常の倍くらい動かないと水中で浮かずで、周囲から見たら溺れていると間違われました(笑)」

◆自分の容姿が特徴的だと思っていなかった

小・中学生時代はスポーツができる男性がクラスの人気者になることも多い。小さな体はコンプレックスではなかったのか。

「小学校から中学までサッカーをやっていたんですが、対戦相手と接触すると、引くぐらい吹っ飛んでしまうんです。ファールをもらいやすいという利点ではありましたが(笑)」

どうやら別の意味で活躍はできていた様子。思春期は見た目の比重が大きいものだが、その点について聞くと意外な答えが返ってきた。

「僕自身、顔と体型が特徴的だということに気づいてなかったんですよ。同級生たちも僕がこんな姿でも『いじってはダメなものかもしれない』と思ったのか、何かを言われることはなかったので、コンプレックスを持つこともありませんでしたね。しかも、高校の時は彼女もいたので、むしろ特殊な顔面だと思ってなくて。芸人になった時も、武器になるとは思っていませんでした(笑)。なので、キングコングさんみたいな正統派の漫才師になろうと思っていました。まさか、こんな感じになるとは(笑)」

◆「食べるのが遅い」ゆえの気苦労も

芸人になってからは、TikTokをはじめとしたSNSでも人気が上昇。さらには「水曜日のダウンタウン」への出演で知名度も一気に上がった。そんな彼の日常生活では、困ったことも起こる。

「とにかく食べるのが遅いんです。僕が食べ終わるのを待ってもらうわけにはいかないので、先輩とはあまりご飯に行けませんね。もし、誘ってもらって行ったとしても好きなものというより、早く食べ終われそうなものを選んで、しかも小盛りで注文します。それと、飲み会などで女の子から『体重何キロ?』と聞かれることも多いんですけど、正直に話したところで軽すぎて引かれるんですよ。『聞いてきたのに引くんかい』と思いますね(笑)」

服のサイズもSでも大きいため合うものが少なく、レディースやキッズの服を買うことも多いという困りごとも。一方で、ラッキーを得られるチャンスもあった。

「今もアルバイトしているんですが、重い荷物を運ぶ仕事がある時に、周囲の人が『あいつに運ばせるとかわいそう』とか『あいつに運ばせると落としそう』と思うらしくて、進んで運んでくれるんですよ(笑)」

◆勝手に「病気扱いする」コメントに怒り

アルバイト先で荷物を運ぶことさえ心配される肉体だが、実際に非力なのだろうか。

「腕立てや腹筋は1回もできません。それと、アルバイト先が健康診断をする施設なんですが、そこに握力計があって試しに測ってみたら、8kgでした」

握力8kgは、なんと6歳女子の平均値とほぼ同等(※令和4年度政府統計「体力・運動能力調査」)という驚きの結果。そうなるときになるのが健康面だ。

「『何かおかしいのかな』とは常々思うので、健康診断には半年に1回行っています。しかし、痩せすぎていること以外は、いつもいたって健康という結果が出ています。水曜日のダウンタウンに出た後、SNSで『この人、絶対●●って病気だよ』というコメントがたくさんありました。適当なこと言うなよと思いましたね」

将来的には「芸人の仕事だけで一生暮らしていきたい」と語る星河氏は、「まずは、もうすぐ予選がはじまるM-1やキングオブコントで、多くの人の目に止まるような成績を残すところからですね」と息巻いた。

若手芸人にありがちな「メシが食えない」悩みとは無縁である。だからこそ、食費を稼ぐためにバイトする時間を芸事に使えるのは、彼ならではの強みなのかもしれない。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】

Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。