マンションを購入した場合、戸建てではかかることのない管理費や修繕積立金といった費用の負担が発生します。
これらの維持費は、住宅ローンの返済後もマンションに住んでいる限り払い続けなくてはなりません。
そのため、マンションの購入を検討しているけれど、「将来払えなくなったらどうしよう」という不安を抱えている方もいるでしょう。
そこで今回は、マンション生活でかかる維持費の内訳や相場から、戸建てとの比較、管理費の支払いがきついと感じた時の対処法、さらに管理費を滞納した場合どうなるのかまで詳しく解説していきます。
マンション生活でかかる維持費について
マンションを購入して区分所有者になると、マンションを維持・管理していくための費用を支払う必要があります。
その費用にはどのようなものがあるのでしょうか?
まずは、マンション生活でかかる維持費の内訳と相場を解説していきます。
管理費
マンションの管理費とは、廊下やエレベーター、エントランス、駐車場といった共用部分の維持・管理にかかる費用をいいます。
その利用目的は、管理員の人件費や電球などの消耗品を購入する費用、照明器具・消防設備などの経常的な補修費、水道光熱費、火災保険・損害保険の保険料など多岐にわたります。
新しく建てられるマンションの管理費は、年々高くなってきており、現在の管理費の相場は月1.5万円~2万円程度です。
修繕積立金
修繕積立金とは、マンションの大規模な修繕が必要になった時のために、毎月積み立てておく費用のことをいいます。
主に、建物の改修や塗装工事、駐車場や駐輪場の補修・増設などに使用されます。
修繕積立金の相場は、月1万円~1.5万円程度ですが、築年数が経過すると共にその徴収金額は上がっていく傾向にあります。
駐車場・駐輪場代
駐輪場や駐輪場を借りる場合に、毎月かかる費用です。
駐車場代は、マンションやエリアによっても異なりますが、月5,000円~3万円程度が相場です。
ただし、高性能マンションや都心部などのエリアにあるマンションでは、月5万円~8万円ほどかかるケースもあります。
自転車や自動二輪車などを停める駐輪場代については、高くても1台につき月1,000円程度が相場です。
中には、1台までなら無料で借りられるマンションも存在します。
火災保険・地震保険などの保険料
マンションの専有部分で水漏れを起こした場合や、火災・地震などの天災に遭った場合に備えて火災保険や地震保険に加入する必要があります。
これらの保険料は、一括で長い年数分を支払うほど安くなるため、月払いではなく1~5年分をまとめて支払うことが一般的です。
共用部分の保険については、マンション全体で加入していることから、戸建てに比べて最小限の補償に抑えられるので、火災保険料も地震保険料もそれほど高くはなりません。
補償内容によっても異なりますが、10年払いの保険料の場合で5万円~10万円程度が相場です。
固定資産税及び都市計画税
マンションの所有者が支払わなければならない税金に、固定資産税と都市計画税があります。
どちらも、土地や建物などの固有資産に課税される地方税で、毎年各資産に応じて算定した金額が通知され、払込書や口座振替によって各自治体に納めます。
税金の金額は、所有する物件ごとの評価額に、固定資産税なら1.4%(標準税率)、都市計画税なら0.3%(上限)の税率をかけて算出します。
マンションの規模や地価、築年数によって評価額が異なるので、相場を算出することは難しいですが、東京都の新築マンションの固定資産税であれば、毎年10~15万円程度が目安です。
地価が安いエリアや築年数が長いマンションの場合は、固定資産の評価額が低くなるため、これよりも安くなることが多いです。
また、住宅にかかる固定資産税には様々な軽減措置が設けられています。
例えば、土地全体のうち200㎡までの部分については課税評価額が1/6に軽減される制度などがあります。
住宅ローン
マンションを現金一括で購入しない限りは、金融機関から融資を受けて住宅ローンを組むのが一般的です。
国土交通省が公表している「令和3年度住宅市場動向調査」によると、分譲マンションの住宅ローンの年間返済額は平均150万円程度となっており、月々に換算すると約12万円~13万円程度が相場であると予想されます。
ただし、中古マンションの場合はこれよりも安く抑えられるでしょう。
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戸建ての維持費と比較してみる
マンションを購入すると様々な維持費がかかるため、戸建てにするべきか悩む方もいるでしょう。
そこで、ここではマンションの維持費と戸建ての維持費を比較していきます。
戸建ての維持費の内訳
戸建てを購入した場合にかかる維持費は、主に次の4つです。
・固定資産税及び都市計画税
・火災保険や地震保険などの保険料
・修繕費
・住宅ローン
それぞれの詳しい内容と相場を見ていきましょう。
固定資産税及び都市計画税
戸建てを購入した場合も、固定資産税や都市計画税といった税金がかかります。
税金の算出方法は戸建てもマンションも同じのため、戸建てにかかる税金の相場は、マンションと同様に毎年10万円~15万円程度です。
・火災保険や地震保険などの保険料
火災保険や地震保険についてもマンションと同じく、火災や地震などの天災に備えて加入します。
しかし、保険料はマンションよりも戸建ての方がやや高くなる傾向にあります。
加入する保険の種類によっても異なりますが、相場は5年払いで15~20万円程度です。
また、戸建てを購入する場合はローンを組むと同時に、団体信用生命保険への加入を求められることも多いです。
これは住宅ローンの契約者が返済途中で死亡、または高度障害の状態になった時に残りのローンが支払われるものです。
新築時に10年分を一括で支払うケースや分割で支払うケースなど、様々な種類があります。
・修繕費
戸建ては、築10年が経過した頃から少しずつ修繕が必要な箇所が出てきます。
修繕費の中でも最も高いのが外壁塗装で、他にもトイレやキッチンなどの水回りのリフォーム費用、フローリングの張り替え費用などがかかります。
戸建ての修繕費用の相場は、所有期間によっても変わりますが、30年間所有した場合では600万円~800万円程度といわれています。
これを1カ月に換算すると、17,000~22,000円程度になります。
そのため、戸建ての購入を検討している方は毎月2万円程度を将来の修繕費として積み立てておくと良いでしょう。
・住宅ローン
新築の戸建てを購入するにあたっては、全体の7~8割の方が住宅ローンを利用しています。
返済期間の平均は32年~34年、さらに年間返済額の平均は133万円と言われています。
月々に換算すると約11万円となり、分譲マンションよりも比較的安い傾向にあります。
一方、中古の戸建てを購入する方で住宅ローンを利用しているのは約5割程度であり、住宅ローンを組む場合も月々の返済額は新築に比べて安いことが多いです。
ただし、その分修繕費が高くなる可能性が高いため注意が必要です。
マンションと戸建てで維持費が高いのは?
続いては、30年間住んだと仮定して、戸建てとマンションの維持費にどれくらいの差が出るのか比較してみます。
まず、マンションに30年間住んだ場合の維持費の総額は次のとおりです。
・管理費及び修繕積立金…900万円~1260万円
・駐車場代…0円~1,080万円
・税金…300万円~450万円
・保険料…15万円~30万円
・総額…1,215万円~1,820万円
次に、戸建てに30年間住んだ場合の維持費の総額です。
・修繕費…680万円~850万円
・税金…300万円~450万円
・保険料…30万円~45万円
・総額…1,000万円~1,350万円
上記の数字だけ見ると、戸建ての方が維持費は安いように見えますが、一般的には戸建てはマンションよりも物件自体の価格が高い傾向にあります。
そのため、必ずしも総支払額は戸建ての方が安いとは言い切れません。
また、戸建ての場合は管理費や修繕積立金が発生しない分、自分で計画的に積み立てておく必要があることに注意が必要です。