マンションの管理費とは?
マンションの管理費は、住宅にかかる維持費の中でもマンション特有のものです。
そこで、ここからはマンションの管理費とは何か、修繕積立金とどこが違うのかについて解説していきます。
マンションの管理費の利用目的
管理費とはマンションの共用部分に関する日常的な維持・管理の目的で使用されるお金です。
マンションの維持費の内訳でも説明しましたが、利用目的をさらに細かく挙げると次の通りとなります。
・管理員の人件費
・清掃費、ゴミ処理費
・共用設備のメンテナンス費
・消耗品費、通信費、その他の事務費
・共用部分に関する火災保険料や損害保険料
・共用部分の水道光熱費
・マンション敷地内の植木や植栽の管理費
マンションの維持・管理については、マンション管理組合が主体となって進めますが、実際の業務を管理組合だけで行うことは難しいため、管理会社や専門業者に委託しているのが一般的です。
そのため、管理費の多くは管理会社への委託費用に当てられています。
管理費の相場
管理費は各マンションの管理規約で定められていて、同一マンションであっても所有する部屋の面積に応じて負担額が異なり、面積が広いほど負担額が増加します。
また、コンシェルジュが常駐していたり、高機能設備が備わっていたりする高機能マンションでは、人件費や設備の維持費に一層お金がかかる分、一般的なマンションよりも管理費が高く設定されています。
一般的なマンションの管理費については、1戸あたり毎月16,000円程度が平均です。
しかし、マンションの規模によっても金額には幅があり、戸数が多く大規模なマンションほど割安になる傾向があります。
例えば、20戸以下のマンションでは1カ月の管理費が19,000程度であるのに対して、500戸以上のマンションでは15,000円程度となっています。
マンションの管理費は、補修費の増加や社会情勢の変化によって、経費が圧迫された場合、値上がりする可能性があることも頭に入れておきましょう。
修繕積立金との違い
マンションの維持費として区分所有者が毎月支払うものには、管理費の他に「修繕積立金」があります。
どちらも共用部分の維持・管理のためにかかる費用ですが、管理費が日常的な維持・管理のための費用であるのに対して、修繕積立金は大規模な修繕に備えて積み立てておく費用のことをいいます。
修繕積立金の利用目的として例えば、経年劣化による外壁の塗り替え工事やエレベーターの交換工事、ロビーやエントランスのリフォーム工事があります。
他にも、マンションのグレードアップを目的としたバリアフリー工事や、天災や事故による被害回復のための修復工事などが当てはまります。
修繕の必要が生じる度に、修繕積立金から取り崩して工事費用に当てられますが、その用途は国土交通省の標準管理規約によって次のケースに当てはまる場合のみと定められています。
・一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
・不測の事故その他の特別の事由により必要となる修繕
・敷地及び共用部分等の変更
・建物の建替え及びマンション敷地売却に係る合意形成に必要となる事項の調査
・その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
上記の他には、建替えに伴う経費やマンションの敷地売却などの目的で取り崩すことが可能です。
管理準備金と修繕積立基金について
新築マンションを購入する場合は、管理準備金と修繕積立金の支払いを求められることが一般的です。
そのため、新築マンションの購入を考えている方は、この2つの費用についても理解しておきましょう。
管理準備金
管理準備金とは、マンションの管理をスムーズにスタートさせることを目的に、契約時に一括で支払う費用のことをいいます。
新築マンションの場合は、備品の購入や保険への加入などを、マンションの引き渡しまでに進めておかなければなりません。
しかし、管理組合にはその資金がまだない状態なので、月々の管理費を徴収する前に管理準備金として、まとまった金額を集めておく必要があるのです。
修繕積立基金
修繕積立基金とは、修繕積立金に充当するために、契約時にまとめて支払う費用をいいます。
築10~15年経過した頃に行われる大規模な修繕工事に備えて、区分所有者は毎月修繕積立金を支払いますが、それだけでは費用が不足する可能性があるため、契約時にまとまったお金を徴収しておくのです。
また、大規模修繕以外で補修が必要となった時にも、修繕積立基金が当てられることがあります。
(広告の後にも続きます)
管理費が安ければいいというものではない!
「マンションの管理費が安い方が毎月の支払い額を抑えられる」そう思う方もいるかもしれません。
しかし、マンションの管理費は安ければいいというものではありません。
なぜ、「管理費=安い方がいい」という認識は間違っているのでしょうか?
その理由を2つ紹介します。
マンションの管理費が安いとその分マンションの管理が甘くなるから
管理費が安ければいいわけではない理由の1つ目は、マンションの管理費が安いとその分マンションの管理が甘くなるからです。
マンションの管理費は、主にマンションの設備や管理員を雇う人件費に使われます。
マンションの外壁や廊下に付いた汚れや傷などを直すためのメンテナンス費に使われることもあります。
もし管理費が安いマンションを選んだ場合、どのような事態に陥るでしょうか?
「管理費が安い」ということは、「マンションを管理(維持)するためのお金が少なくなる」ということです。
つまり、その分マンションの管理が甘くなってしまいます。
マンションの設備が劣化しても中々設備を更新してもらえない・管理員が常駐していないといった問題が発生します。
オートロックシステムやセキュリティのためのカメラが古い、そもそもセキュリティ自体が甘いといった可能性もあるでしょう。
また、マンション共用部のロビーや廊下などが掃除されてなかったり、ゴミの管理がされていなかったりといったことにもなりかねません。
管理費が安いと、管理に使えるお金も少なくなるので、人件費を削減したり管理の質が下がったりしてしまうのは当然のことではあります。
このように、管理員が不在になりがちで、メンテナンスが疎かなマンションの住み心地は快適とは言えません。
決して管理費が安ければいいというものではないのです。
管理費は、安心して快適にマンションに住むためには必要な出費であるということを覚えておきましょう。
マンションの管理費は、管理会社やそのマンションの築年数、管理状況、共用施設の有無によって上下します。
そのため、マンションの管理費が妥当かどうかは、管理の内容や近隣の同条件のマンションの管理費と比較してみると良いでしょう。
そうすることで、妥当な管理費を支払って適切なサービスを受けることができます。
メンテナンス不足のマンションは資産価値が下がりやすいから
管理費が安ければいいわけではない理由の2つ目は、メンテナンス不足のマンションは資産価値が下がりやすいからです。
管理費が安いということは、管理に使えるお金も少なくなります。
管理が行き届いているマンションと管理ができていないマンションでは、マンションの設備や共有スペースなどが劣化する速度も異なります。
劣化しやすいマンションということは、資産価値もその分下がりやすいということです。
投資家がマンションを購入する際に気を付けていることは、「マンションの管理」です。
投資家の間では有名な話ですが、「マンションは管理を買え」と言われているほど管理が重要視されています。
将来、「マンションを売りたい」と思ったとしても資産価値が下がったマンションを高値で売ることは難しいです。
資産価値が高いマンションなら、将来マンションを売るという選択肢もしやすくなります。
管理費が安いからという理由でマンションを選ぶと、こういったデメリットにもつながりやすいので注意しましょう。