子供の教育資金を貯める方法として活用される、学資保険を決める際に「返戻率」は大切な指標です。
返戻率が高いほどより効率よく貯蓄することができるため、その仕組みを理解しておくことが大切です。
そこでこの記事では、学資保険の返戻率の仕組みについて解説し、返戻率を高める方法や計算式を紹介します。
この記事でわかること
学資保険の返戻率とは?
学資保険の返戻率を高める4つの方法
学資保険の返戻率の推移
学資保険以外で子供の教育資金を準備する3つの方法
学資保険とは?いらない・おすすめしない理由やデメリット、必要性を解説
学資保険の返戻率とは?
学資保険の返戻率とは、「払い込んだ保険料の総額に対して、受け取れる保険金がいくらになるか」を表した割合のことです。
返戻率は、次の計算式で算出されます。
学資保険の返戻率
返戻率(%)= 学資保険から受け取れる保険金 ÷ 払い込んだ保険料の総額 ×100
仮に返戻率が100%の学資保険に加入した場合、将来的に受け取れる満期保険金やお祝い金は、払い込んだ保険料と同額です。
返戻率が100%以上の学資保険を選べば、払い込んだ保険料以上の保険金を受け取ることができ、逆に100%を下回る場合は、元本割れを起こすことになります。
そのため、学資保険を比較検討する際は、返戻率が100%を上回る保険商品の中から選ぶのが基本です。
返戻率の具体的な計算方法
学資保険の返戻率を計算する際は、受け取ることができる保険金の種類を把握することが大切です。
「満期保険金」として一括で受け取る場合は問題ありませんが、子供が一定の年齢に達するたびに受け取る「お祝い金」の場合は、受け取る金額を合計してから計算を行います。
たとえば、次の条件を例にして、学資保険の返戻率を具体的に計算してみましょう。
例① :学資保険の返戻率の計算方法
保険料総額:毎月15,000円=年間18万円×15年間=270万円
お祝い金:18歳からの4年間に渡って1年ごとに70万円=合計280万円
計算式:(お祝い金280万円÷保険料総額270万円)×100=103.7%
子供が18歳になってから4年間は毎年70万円が受け取れる学資保険がある場合、毎月15,000円の保険料を15年間に渡って支払い続けると、返戻率は約103.7%となります。
例② :学資保険の返戻率の計算方法
保険料総額:毎月16,000円=年間19.2万円×15年間=288万円
お祝い金:18歳からの4年間に渡って1年ごとに70万円=合計280万円
計算式:(お祝い金280万円÷保険料総額288万円)×100=97.2%
上記の例②のように、例①と同条件のお祝い金が受け取れる学資保険で毎月の保険料が1,000円高くなると、返戻率は97.2%と払い込んだ保険料の総額を下回ることになります。
学資保険は保険会社や保障内容、保険料の払込期間、保険料の支払い方法など、さまざまな要因で返戻率は大きく変動します。
貯蓄効率を重視して学資保険を選ぶ場合は、各保険会社のホームページやパンフレットに記載されている返戻率を確認しましょう。
学資保険に税金はかかる?学資金の受取人や受け取り方によって異なる税金の計算方法を解説
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学資保険の返戻率を高める5つの方法
ひとつの保険会社でも、次の5つを意識することで学資保険の返戻率は変動します。
学資保険の返戻率を高める5つの方法
早めに加入する
保険料の払込期間を短くする
満期保険金や祝い金の受け取り時期を遅らせる
不要な保障を付けない
返戻率の高い保険商品に加入する
1. 早めに加入する
学資保険の返戻率を高めるためには、契約者や子供の年齢がなるべく低いうちに加入することが大切です。
学資保険には、契約者に万一のことがあった場合、以降の保険料負担が免除される「保険料払込免除特約(特則)」が付いています。
保険料が免除された後でも契約は続き、お祝い金や満期保険金を受け取ることができます。
一般的な保険料払込免除の条件は死亡・高度障害ですが、商品によっては三大疾病の治療も条件に入っている場合があります。
そういった商品は、年齢が高くなると保険料払込免除特約の保険料も高くなり、結果として返戻率が低くなります。
子供が生まれる140日前から契約できるタイプの学資保険もあるので、そういった商品を検討しても良いでしょう。
2. 保険料の払込期間を短くする
学資保険の保険料には、大きく分けると3つの支払い方法があります。
学資保険の支払い方法
全期払い:保険金が支払われるまでの期間、保険料を払い込む方法。
短期払い:10年や15年など短期間で保険料を支払う方法。
一時払い(一括払い):保険料の全額を一括でまとめて払い込む方法
保険料の払込期間を短くすることで、毎月の保険料負担は大きくなりますが、学資保険の返戻率を高めることができます。
逆に、毎月の保険料負担を減らすために全期払いなどで支払うと、学資保険の返戻率が下がる要因になります。
学資保険の保険料は可能な限りまとめて払い込んだほうが、将来的に払い戻される金額が大きくなるので、家計の状況と相談しながら支払い方法を検討してみてください。
3. 満期保険金や祝い金の受け取り時期を遅らせる
学資保険の返戻率は、満期保険金やお祝い金の受け取り時期を遅らせることでも高められます。
一般的な学資保険は、一定期間ごとに支払われるお祝い金タイプより、一括で支払われる満期保険金タイプのほうが返戻率は高めです。
たとえば、学資保険に加入する目的が「子供の大学費用に備えるため」とするなら、子供の年齢が17歳や18歳になるまでお祝い金をなしにしたほうが返戻率は高くなります。
しかし、遅くすることで大学入学時に受け取れないケースも発生してしまうため注意が必要です。
4. 不要な保障を付けない
学資保険は教育資金を積み立てるだけでなく、入院給付金がもらえる医療保障や、万が一の場合に教育年金を受け取れる特約などがあります。
保障を付けると保険料が高くなりますが、受け取れる満期保険金が多くなるわけではないので、その分返戻率が低くなります。
返戻率を重視するなら、自分にとって不要な保障を付けすぎないのがポイントです。
5. 返戻率の高い保険商品に加入する
学資保険の返戻率は、保険商品や保障内容によっても大きく異なります。
特に、返戻率を下げる要因として、学資保険に付帯可能な特約が挙げられます。
たとえば、契約者に万一のことがあった場合に保険料の払込が免除される「保険料払込免除特約」や、子供に万一のことがあった場合の「医療特約」などがあります。
なるべくシンプルな保障内容に絞って、返戻率の高い保険商品に加入することを意識しましょう。