オカワカメの育て方のポイント


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用土

【地植え】

植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

市販の野菜の栽培用に配合された培養土を利用すると便利です。

水やり


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水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。

真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根づいた後は、下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥が続く場合は、水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さず、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

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肥料


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【地植え・鉢植えともに】

●元肥

植え付け前の土づくりの際に、緩効性化成肥料を少量混ぜておきます。

●追肥

5月〜9月中旬に、月に1回を目安に緩効性化成肥料を施しましょう。株の周囲にばらまき、軽く耕して土に馴染ませておきます。

注意する病害虫


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【病気】

オカワカメに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどで、多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

オカワカメに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方で、収穫の予定がない方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

オカワカメの詳しい育て方

植え付け


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オカワカメの植え付け適期は、5月上旬~中旬です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗よりもひと回り大きな穴を掘って植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。オカワカメはつるを伸ばしながら生育するので、フェンスやパーゴラ、オベリスクなど、つるを誘引するための資材が必要です。

【鉢植え】

鉢の大きさは、8〜10号鉢を準備しましょう。大型のプランターでもかまいません。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、軽く根鉢をくずして植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。大型プランターなどに複数の株を植える場合は、20cmほどの間隔を取ってください。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。オカワカメはつるを伸ばして生育するので、支柱やオベリスクなどを設置して誘引します。グリーンカーテンにするならネットを張ってつるを誘引しましょう。

日常のお手入れ


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【摘心】

オカワカメの植え付けからしばらくしてつるの長さが30cmほどに伸びたら、茎の先端を切り取る「摘心」をします。この作業をつるが伸びるたびに繰り返しておくと、下から脇芽が出て、つるの本数が多くなります。

【誘引】

オカワカメは旺盛につるを伸ばして生育します。はみ出すものや邪魔になるものがあれば切り取り、適度にフェンスやパーゴラなどの資材に絡ませながら管理しましょう。

【冬越し】

オカワカメは、耐寒温度が2℃ほどで寒さに弱い性質を持っています。温暖地では、地上部が枯れたら、株元にバークチップや敷きわらなどでマルチングをし、寒さ対策をしておきます。寒い地域では、地上部が枯れた頃に球根を掘り上げ、凍結しない冷暗所に置いて冬越しさせましょう。越年して生育期を迎える5月頃に、再び植え付けます。

収穫

オカワカメの葉の収穫適期は、6〜10月です。葉のサイズ7〜8cmを目安に、順次収穫します。むかごを収穫する際は、地上部が枯れる頃。葉のわきにできる、小さな塊を順次収穫します。むかごは食用にできるほか、保管して翌年初夏に植え付ければ、新芽を出して生育します。

増やし方

オカワカメは、挿し芽とむかごの植え付けによって増やすことができます。ここでは、それぞれの方法について解説します。

【挿し芽】

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、オカワカメは容易に挿し木で増やせます。

オカワカメの挿し芽の適期は、7〜9月です。新しく伸びた茎を切り口が斜めになるように10cmほど切り取り、下葉を取っておきます。採取した茎(挿し穂)は、水を入れた容器にしばらく入れて、水揚げしておきましょう。黒ポットに新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。株として十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【むかご】


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むかごは、葉のわきにつく塊です。葉が枯れてくるタイミングで、むかごを採取します。むかごの植え付け適期は、越年後に暖かくなって生育期を迎える頃なので、それまでは凍結しない暖かい暗所に保管しておきましょう。5月、3号鉢に培養土を入れてむかごを埋め、たっぷりと水やりをします。本葉が3〜5枚ほどに揃ったら、植えたい場所に定植しましょう。

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オカワカメの保存方法


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オカワカメは生育旺盛で多数の葉を茂らせるので、たくさん収穫できます。一度に食べきれない場合は、水分を含ませたキッチンペーパーに包んで保存袋に入れ、冷蔵庫へ。4〜5日はもちます。冷凍保存したい場合は、生のまま保存袋に入れて冷凍庫で保存し、3週間ほどで食べ切りましょう。茹でてから冷凍すると粘りがなくなります。また、茹でた後に水分を拭き取ってから直射日光下にさらすと、乾燥わかめのようになり、冷蔵庫で1年ほど保存することも可能です。

オカワカメに含まれる栄養


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オカワカメは栄養豊富で、葉酸、亜鉛、マグネシウム、ベータカロチンを多く含んでおり、スーパーフードとして注目されています。食材としてあまりスーパーマーケットや青果店に出回らないので、収穫を目的に育ててはいかがでしょうか。

オカワカメの食べ方


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オカワカメは、葉、茎、むかご、球根すべてを食べることが可能です。ここでは、食べ方について案内します。

葉・茎の美味しい食べ方

葉・茎は生で食べると青臭さや苦みがありますが、さっと茹でると臭みや苦みが消えて食べやすくなります。茹でた葉は、サラダやお浸し、天ぷら、酢の物、スープの具などに。

むかご・球根の美味しい食べ方

見た目も食感もヤマイモに似ており、同じような食べ方ができます。球根はすりおろしてとろろにしたり、薄く切ったりして、好みの調味料をかけていただきます。むかごは塩茹でや素揚げ、天ぷらなどにするのがおすすめです。

オカワカメを育てて食べてみよう


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つる植物のオカワカメは旺盛に茂り、たくさんの葉をつけます。葉は収穫して食用にでき、栄養豊富なスーパーフードとして注目されています。秋に白い花をダイナミックに咲かせる姿も素敵。ぜひ庭やベランダに取り入れてみてください。

Credit

文 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。