夏のシーズン、お菓子やアイスクリームコーナーで見かける「チョコミント」。2024年も6月頃から徐々に増え、7月現在、さまざまな商品で期間限定フレーバーとして登場している。また森永製菓の2020年の調査によれば、ミントチョコ市場は、2019年は前年比128%と大きく伸長し、20~30代の女性を中心に市場が拡大している。
そんな時期としてもブームとしても、盛り上がりを見せる「チョコミント」に注目したのが、今年創業40周年を迎えたハーゲンダッツ ジャパン株式会社だ。この夏、バーシリーズにて、チョコミントフレーバーの商品が新登場した。
そこで今回は、ハーゲンダッツ ジャパン株式会社マーケティング本部所属の太田香織さんに、開発経緯や商品の魅力について話を聞いた。
◆待望の新商品「チョコミントフレーバー」
この夏、ハーゲンダッツ ジャパン株式会社からハーゲンダッツ バー「ショコラミントクランチ」が新発売。7月9日より全国で発売を開始した。
ハーゲンダッツ ジャパンとしては、2014年、2015年、2017年にミニカップ「ショコラミント」、2020年にミニカップ「ホワイトミント&ショコラ」とこれまでに四度、チョコミントフレーバーの商品を販売してきた。その知見を活かし、今回新たに“バー”という形で、チョコミントフレーバーが帰ってきた。
では五度目となる今回、なぜチョコミントを選んだのだろうか。
「本商品の構想を始めたのは2022年の夏頃でした。ハーゲンダッツの商品開発は発売のおおよそ2年前から始まるんです。新作アイスクリームバーを企画するにあたって、まずは夏らしいフレーバーとは何かについて開発チームで考えました。再販を期待するお客さまの声や、私自身がチョコミントファンであることから、今回は夏にぴったりな爽やかなミントフレーバーで作ることに決めました」
◆“青緑色ではない” ミントのアイスクリーム
ハーゲンダッツのチョコミントには「色」に特徴がある。チョコミントというと、多くの人が想像するのは青緑色だろう。しかし同社は、これまで販売してきた全てにおいて、“白い”ミントアイスクリームだ。
「ハーゲンダッツには『キッチンフレンドリー』と呼ばれる、家庭のキッチンに置いてあるような誰でも知っている材料を使うといったポリシーがあります。そのため、基本的には合成着色料のようなものは使いません。チョコミントというと『青緑色』をイメージする方が多いと思いますが、私たちは着色料を使っていないため、白いミントアイスクリームなんです」
◆3つの“味のバランス”を追求
商品開発のプロセスでは、お客さまから届いた声を大きく反映した。なかでも“チョコミン党”の声には熱心に耳を傾け、「チョコレートの食感はパリパリがいい」「人工的なミントの風味はいやだ」といった一つひとつに、丁寧に向き合ったという。
「お客さまの声をもとに開発を進めて、一番こだわったのは“味のバランス”です。チョコミントファンに楽しんでいただくのを第一に、何度も調整を重ねました。チョコレートが強すぎてもダメ、かといってミント独特の爽やかさがなくなってしまうのもダメ。ちょうどいいバランスを模索した結果、ほろ苦いココアクッキーを入れた白いミントアイスクリームを、ビターチョコレートコーティングで包むことにしました」
スッキリとしたチョコレートと爽やかなミント、また同社がこだわりを持っている「ミルク」。その3つの味のバランスを追及し、最終的なアイスクリームの味を決定した。
「ハーゲンダッツのアイスクリームは『ミルクの濃厚さ』が特徴です。決してそのミルクのまろやかさを減らすことがないよう、ミントとチョコレートとミルク、三者のベストバランスを追求しました。その結果、繊細な甘さや上品さといった、従来のハーゲンダッツがつくるアイスクリームのイメージのまま、大人なチョコミントアイスクリームが誕生しました」
◆全てのチョコミン党に食べてもらいたい
また今回のバータイプでは、食感の楽しさとは他に、“夏らしさ”の演出にもこだわった。
「夏の新商品ということで、食べても重くならないアイスクリームを目指しました。外側のチョコレートコーティングの中には、フィアンティーヌという薄いクレープ生地を焼いたものを入れて、シャクシャクとした食感に。対してアイスクリームの中には、ココアクッキーを入れて少し食べ応えがある感じにしました。バーならではの食感の楽しさはありつつ、かじりついた瞬間の軽やかで心地よい歯触り感を意識しました」
出来上がったバーを見て、「チョコミン党のみなさんに、楽しんでいただけそうな商品ができました」と、笑顔で話す太田さん。チョコミン党である彼女自身が作ったからこそ、本商品のおいしさを確信しているようだ。
<取材・文/フジカワハルカ>
【フジカワハルカ】
広島生まれ、東京在住のライター。早稲田大学文化構想学部卒。趣味で不定期で活動するぜんざい屋を営んでいる。関心領域はビジネスと食、特に甘いものには目がない。X(旧Twitter):@fujikawaHaruka