こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
筆者はLINE公式サービスにて、年間約1000件のペースでチャット恋愛相談を受けています。また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがってきました。
さて、今回筆者にご相談いただいた山田直孝さん(仮名・32歳)は、同僚の恋路のために一肌脱いだつもりが、自分の意思の弱さから罪悪感にさいなまれる状況に陥ってしまった――というお悩みです。
※この記事は本人の許可を得て掲載しています。ただし、プライバシー保護のため実際のエピソードから一部変更しています。
◆始まりは、親友が彼女の浮気を疑っていたこと
某総合商社に勤める直孝さんは社内のジョギングサークルに入っているそう。所属する部署では出世争いや足の引っ張り合いが横行しているものの、サークル内にはそういった利害関係はなく、直孝さんにとって“安住の地”とも呼べるほど居心地のいいコミュニティになっていたんだとか。
「全体で40人ぐらいいる大きなサークルなんですけど、なかでも特に仲がいい20代後半から30代前半の男女6、7人のグループがあるんです。そのグループのなかで僕の同期で男友達の佐久間(仮名・32歳)が2年後輩の有希ちゃん(仮名・30歳)と付き合ってて、公認カップルになってるんですよ。
ただ、彼はその子との結婚も考えてるんですけど、真剣に将来を考えてるがゆえに、最近になって彼女の浮気を疑うようになってきて……。あまりに疑心暗鬼になってるんで、『じゃあ有希ちゃんが浮気してないかどうか確かめて来てやるよ』って約束しちゃったんです。今思えば、軽はずみにこんなこと言うんじゃなかったと後悔しっぱなしで……」
◆彼女の浮気調査…スマホ内に怪しいフォルダ
とある平日の仕事後に有希さんを呼び出した直孝さん。じっくり話を聞くためにカラオケボックスに入ったといいます。
「有希ちゃんには単刀直入に、『佐久間が浮気を疑ってるからスマホ見せて』と言ったんです。すると彼女は嫌がって拒否していたんですけど、『僕が調べて疑いを晴らしてあげるから』って伝えたら、渋々見せてくれて。で、LINEのやりとりやインスタのDMのやりとりとかをしっかりチェックしたんですけど、男との怪しいやりとりは一切なかったんですよね。
……でも、俺がスマホをいじってる間、有希ちゃんは明らかにソワソワして目が泳いでるんですよ。なにかあるなと思って調べていたら、スマホのホーム画面から右にスライドさせた2つめの画面に、『不要アプリ』って書かれたフォルダがあって。その中を見たらマッチングアプリが入ってたんです。
僕がアプリを見つけたときの有希ちゃんの挙動不審さったらなかったですね(苦笑)。これはビンゴだと思ってアプリを開いたら、何人もの男とやりとりしていて、なかには実際にもう何度も会った男もいて、ホテルにお泊りした後のメッセージなんかも出て来て。……オフホワイトどころじゃなく、真っ黒でした」
◆「同じことしてあげるね?」とラブホへ…
直孝さんが「なんて言って佐久間に報告しようか」と思案しているときでした。有希さんがふいに手を握って来て……。
「まず上目遣いで目をウルウルさせながら、『どうしたら黙っててくれます?』と。その日の有希ちゃんはぴったりニットのトップスを着てたんですけど、Gカップあるという噂のバストを僕の腕に押し付けてきたんです。それで僕が一瞬だけ鼻の下を伸ばすような表情をしたのを彼女は見逃さなかったみたいで。
彼女にさっきまでの動揺はなくなってて、小悪魔みたいに『アプリの人たちがすごく喜んでくれたことがあるんですよ。同じことしてあげるね?』って囁くんです。ひねりのない誘惑だなって思いつつも……ぜんっぜん抗えませんでしたね(苦笑)。そのままカラオケ屋の近くにあるラブホに入っちゃいました」
◆彼女はラブホでの一部始終を録音していた…!!
“ミイラ取りがミイラになる”とはまさにこのこと。
ただ翌日、冷静になった直孝さんは、自分がしでかしたことをひどく後悔。佐久間さんには有希さんとホテルに行ってしまったという愚かな罪も白状したうえで、彼女のアプリ絡みの男関係を全部報告しようかとかと考えていたそうです。
「ただ、そうすると不適切な関係だったとはいえ、有希ちゃんとの約束を反故することになります。それはそれで筋が通らないと思ったので、また有希ちゃんを呼び出して、『二人で全部正直に佐久間に白状しよう』って提案したんですよ。すると彼女はすごく残念そうな顔……というか、“使えない男だな”っていう見下したような表情をした後に、ニコッと微笑んでこう言うんです。
『アプリは削除したんで、証拠は全部消してあります。あと実は昨日のホテルに入ってからスマホでずっと録音してたんですよ。直孝さん、前からずっと有希のこと気になってたとか、有希とこういうことしたいって妄想してたとか、そういう言葉もたくさん浴びせてくれましたよね(笑)』……と」
◆親友の安堵した表情を見て胸が痛んだ
遠まわしに「言うなよ」と釘を刺されたことは明白。直孝さんは罪を償う覚悟があったとはいえ、さすがにそんな生々しい裏切りの会話や変態セリフを佐久間さんに聞かれるわけにはいかない――。
「終わった、と思いましたね……。しかも彼女のすごいところは、その日も僕をラブホに誘ってきて関係を持ったこと。佐久間に対しての『一度きりの過ちだった』というせめてものエクスキューズ(言い訳)も潰されたわけです。またしても誘惑に負けてしまった自分も自分ですが、二度も関係を持ってしまってはもう後戻りはできない。
僕は佐久間に『有希ちゃんのスマホ見せてもらってLINEもインスタのDMも全部調べたけど怪しいところなんて一切なかったよ』と報告。彼は『ありがとう、助かったよ。有希を疑った僕はどうかしてたな』なんて言って、安堵した表情を見せてくれて……、本当に胸が痛みましたね」
◆「小悪魔」どころじゃない「最強悪女」だった
有希さんは「小悪魔」どころか「最強悪女」だったのかもしれません。自業自得と言えばそれまでですが、悪女の共犯者になり親友を裏切った直孝さんは、いまも強烈な罪悪感にさいなまれているそうです。<文/堺屋大地>
【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi