人間は低い確率ほど「過大評価」する
――なるほど。実際の確率と、人間の肌感覚の確率にズレがあるということですか。
篠原拓也さん プロスペクト理論の例として、よく用いられるのが宝くじです。
宝くじで一等が当たる確率は数千万分の1と、冷静に計算すればゼロに近い数字なのに、「自分なら当たるかもしれない」と、非合理的な購買行動に走ります。つまり、確率が低い場合ほど「過大評価」してしまうのです。
宝くじの場合、頭では「確率は非常に低い」とわかっているのですが、「1%」の確率も「0.00001%」の確率も、肌感覚ではその差を実感できないので違いはありません。だから、「過大評価」して売り場に走ることになります。また、宝くじを売る側のビジネスも巧みですよね。
――どういうことでしょうか。
篠原拓也さん 売り場には、よく「この売り場から3億円出ました!」などと当せん実績が掲げてあります。それを見て、「あっちでも当たっている。こっちでも当たっている。よし、自分も!」という錯覚に陥る効果はとても大きいです。
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夢をどこに置くかで、ジャンボとミニの割合を配分
――さて、今回のサマージャンボ宝くじですが、ズバリ、こうすれば当たる可能性が高まるというおススメの買い方は何でしょうか。
篠原拓也さん こうすれば儲かりそうだという方法があれば、私も実践していますが、残念ながらそういう方法はありません。
ただ、こうすれば宝くじをよりドキドキ、ワクワク楽しめるという方法があります。
「7億円」の高みを目指して「億万長者」を目指すなら、10枚中7、8枚をジャンボにするとか、買う割合を増やしましょう。一方、もう少し額が低い、現実的に100万円以上~3000万円クラスを狙うなら、たとえば100万円が当たる確率はミニのほうがジャンボの2倍ですから、ミニの割合を7、8枚に増やすといいでしょう。
自分の夢をどこに置くかによって、ジャンボとミニの割合を7対3、6対4、4対6、3対7という風に配分するのです。
――株式購入のポートフォリオ(運用資産の構成内容)のような感じにするわけですか。
篠原拓也さん 考え方はそのとおりですが、もし宝くじが株ならとんでもないジャンキー株ということになってしまいますよ(笑)。あくまで儲けようとは思わず、抽せん日まで夢を楽しむ気持ちを持ち続けてください。どういう配分にするか、あれこれじっくり考える過程も夢を見る楽しみの1つです。