オシロイバナの育て方のポイント

用土


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【地植え】

丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり


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株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【地植え】

しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げ、多数のつぼみが上がってくるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。

肥料


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【地植え】

やせ地でもよく育つので、十分な土づくりをしていれば不要です。開花期に株の勢いがない場合には、液肥を与えて様子を見るとよいでしょう。チッ素成分を多く含んだ肥料を施すと、茎葉ばかりが茂ってあまりよい花が咲かなくなるので、開花を促す成分配合の液肥を選ぶようにします。

【鉢植え】

開花期を迎えた頃に、10日に1度を目安に液肥を与えます。チッ素成分を多く含んだ肥料を施すと、茎葉ばかりが茂ってあまりよい花が咲かなくなるので、開花を促す成分配合の液肥を選ぶようにします。

注意する病害虫


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【病気】

オシロイバナが病気を発症する心配はほとんどありませんが、まれにうどんこ病や灰色かび病にかかることがあります。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になります。対処せずにそのままにしておくとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまうため、注意が必要。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどで、多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合いすぎている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

オシロイバナに発生しやすい害虫は、ナメクジ、アブラムシなどです。

ナメクジは花やつぼみ、新芽、新葉、果実などを食害します。体長は40〜50㎜ほどで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の底などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に不快な粘液がついていたら、ナメクジの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。難しい場合は、ナメクジ用の駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4㎜程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

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オシロイバナの詳しい育て方

苗の選び方

葉が黄色いものや株元がぐらついたものは避け、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。

植え付け・植え替え


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オシロイバナの植え付けの適期は6〜8月です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に苗よりもひと回り大きな穴を掘って植え付けます。オシロイバナは移植を嫌う性質があるので、苗をポットから出したら根鉢を崩さずにそのまま植え付けるのがポイントです。複数の苗を植え付ける場合は、約50cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

越年できる環境の場合、地植えでは放任しても毎年咲くので、植えっぱなしでかまいません。

【鉢植え】

鉢の大きさは、5〜7号鉢を準備しましょう。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。オシロイバナの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。オシロイバナは移植を嫌う性質があるので、苗をポットから出したら根鉢を崩さずにそのまま植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取ってください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

越年できる環境の場合、3〜4年に1度は植え替えます。オシロイバナが休眠している時期が、植え替えの適期です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から球根を取り出し、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。根を傷めないように、丁寧に扱うことがポイントです。

日常のお手入れ


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【摘心】

しっかり根付いたら、茎の頂部を切り取りましょう。すると下からわき芽が伸び出すので、その作業を何度か繰り返すと、こんもりと茂るとともに花数も多くなります。

【花がら摘み】

オシロイバナは次から次へと花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【整枝】

8〜9月、旺盛に生育して株姿が乱れてきたら、適宜刈り込みます。

【冬越し】

暖地で冬越しできる場合は、11〜12月に、地際で切り取ります。さらにバークチップなどを敷き詰めてマルチングし、霜対策をしておきましょう。

寒い地域では、11月頃に球根を掘り上げて発泡スチロール製の箱などに入れて寒くない室内などで管理し、春に植え直します。

増やし方


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オシロイバナはこぼれ種でも増えるほど強健な性質で、ビギナーでも種まきから育てられます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。

オシロイバナの発芽適温は20〜25℃。種まきの適期は、十分に気温が上がった5月頃です。オシロイバナは直根性のため移植を嫌う性質があるので、育てたい場所に直まきするのがおすすめです。しかし、植える場所を決めていない場合は、黒ポットに種子を播いて育苗し、幼苗のうちに定植してもかまいません。

【直まき】

土づくりをしておいた場所、または培養土を入れた鉢に約50cmの間隔を取り、穴をあけて2〜3粒ずつまきます。1cmほど土をかぶせ、手のひらで抑えて最後にたっぷりと水を与えます。発芽して本葉が2〜3枚ついたら、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。

【ポットまき】

3号の黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央に穴をあけて種を2〜3粒ずつ播き、1cmほど土をかぶせましょう。最後にたっぷりと水を与え、日当たりのよい場所で管理します。発芽までは水を切らさないように管理しましょう。本葉が3枚ほどついた頃の幼苗のうちに、植えたい場所へ根鉢を崩さずに定植します。その際、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。

オシロイバナの受粉方法


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オシロイバナは他家受粉と自家受粉の両方を行う植物です。午後4時頃から開花し始め、6時頃になると花の中からおしべとめしべが伸びてきます。開花とともに漂わせる香りに誘われ、スズメガなどの夜行性昆虫が訪れて他家受粉し、夜8時頃にはおしべとめしべを丸めて花の中に収まります。他家受粉ができなかった場合は、この時に自家受粉するというメカニズムを持っています。

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オシロイバナに含まれる毒性成分


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オシロイバナは、全草にアルカロイドの一種のトリゴネリンが含まれています。特に塊根と種子に強い毒性があり、誤食すると嘔吐や腹痛、下痢を起こすことがあるので注意。特に幼児やペットがいる家庭では、誤食する事故が起きないように管理してください。触れる分には問題ありません。

オシロイバナの遊び方


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オシロイバナは昔から親しまれてきた植物で、古人たちはいろいろな遊び方を楽しんできました。ここでは、子どもが楽しめる遊び方をご紹介します。ただし、全草に毒を含むので、肌に触れても問題はないものの、口には入れないように十分注意してください。

おしろいとマニキュアでお化粧ごっこ

種から採れる白い粉を利用し、おしろいのように肌に塗って、お化粧ごっこができます。また、花びらを爪にこすりつけると、花色に爪が染まります。

色水作り

オシロイバナの花びらを水の中に入れてほぐすと、色が水に移ってきれいです。また、種子の中から出る白い粉は、水に溶かすと白い水になります。

パラシュート

萼片が緑色の状態であれば、花の管をすっと引っ張ると、花と種がめしべでつながります。これを高い位置から手を離すと、パラシュートになって風にふわりと乗ることがあります。

オシロイバナを育てて長く楽しもう


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初夏から秋にかけての長い期間にわたって、多数の花を咲かせ続けるオシロイバナ。夕方から翌日の午前にかけて咲き、芳香を持つので真夏の涼しい時間帯に愛でるのもいいですね。ぜひ庭やベランダで育ててみてください。

Credit

文 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。