2024年10月から児童手当が拡充されます
2024年10月以降、児童手当において、今まで中学校修了までだった支給対象年齢が、高校生(18歳になる年度の3月末まで)と支給期間も長くなり、所得制限もなくなります。
〈児童手当の支給額〉
筆者作成
※拡充は2024年10月分からとし、支給は2024年12月となる予定です。
Tさんのお子さまの誕生は10月以降ということなので、第1子として18歳までの児童手当の総額を計算すると、下記のようになります。
・0歳から3歳未満の受取総額 54万円
・3歳から高校生修了まで15年間の受取総額 180万円
・0歳から高校生修了までの受取総額 54万円+180万円=234万円
※子どもの生まれ月により受取総額には幅があり、最大245万円となる
子どもが生まれたらまず「学資保険」の検討を考える方もいらっしゃいますが、確かに予定利率の高い時は学資保険の貯蓄性は魅力でした。しかし現在は利率が低く、かつてのような貯蓄性は期待できません。
貯蓄性以外の学資保険の魅力としては、満期を迎える前に契約者(親など)が死亡した場合には、以後の保険料の払い込みが免除されるという点がありますが、親が死亡した時に支払われるものはありませんので注意が必要です。
学資保険以外にも貯蓄性のある保険やNISA制度を利用しての運用などもあわせて検討されることをお勧めします。
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子どもの賠償事故に対する補償
風船を持つ子どもたち
【画像出典元】「stock.adobe.com/Montri Thipsorn」
本人やその家族が、日常生活で誤って他人にケガをさせてしまったり、他人のモノを壊してしまったりして、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償する保険として「個人賠償責任保険」があります。
他人の「身体」や「モノ」に損害を与えた場合が対象となり、他人の名誉を傷つけたり、プライバシーを侵害したりしたといったケースは補償の対象外となります。具体的には下記のような例です。
1. お店で、代金を支払う前に商品を落とし、壊してしまった
2. 飼い犬を散歩中、飼い犬が他人を噛んでケガをさせてしまった
3. 野球のバットを振っていたら、そばにいた人にケガをさせてしまった
4. 誤ってベランダから鉢植えを落とし、駐車中の他人の車に傷をつけてしまった
5. 自転車に乗っていて、歩行者をはねてしまった
個人賠償責任保険は火災保険や、自動車保険の特約として加入するケースが多くなっています。2013年の神戸地裁の事例で、小学生の児童が前方不注意で女性に衝突し、女性に障害が残ったとして、加害児童の保護者に対し約9500万円の支払いが命じられました。高額な賠償を命じられるとその後の人生の中で賠償金を支払い続けなければいけなくなります。
個人賠償責任保険は、保険期間を1年、保険金額を1億円に設定して加入しても、年間保険料は数千円程度が多く、加入しやすいところも特徴です。
子どもが思わぬ事故を起こしてしまうこともあります。現在加入中の保険で、「個人賠償責任保険」が付帯されているものがないか確認をしておきましょう。補償の対象は「生計を共にする同居の親族」で世帯主(例:父親)が個人賠償責任保険に加入すれば、同居している子どもも補償の対象になります。
また、同居していない子どもでも、親から仕送りを受けていて、まだ結婚したことがない場合については補償の対象になります。なお、「生計を共にする同居の親族」に限定しないで、「同居の親族」であれば補償の対象になる保険商品もあります。補償内容を十分確認しておきましょう。
家計管理についてのアドバイス
Tさんは現在手取りの約23%を貯めています。今までは月10万円、年間120万円で貯金できていました。お子さんが生まれることで、今後どのように働いていきたいか、産休、育休などの制度をどのように使っていくかを検討してみましょう。
お子さんが生まれることでライフプランに変更が生じると思います。これからの「住まい」「教育」「生活」についてざっくりとしたイメージをご夫婦で話し合ってみることをお勧めします。
幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳児~5歳児クラスの子どもと、住民税非課税世帯の0歳児~2歳児クラスの子どもたちの保育利用料が無料になる公的な制度も準備されています。
参考:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要」
制度を理解して、今後の働き方を考えることが大切です。
子どもの誕生で受けられる公的な制度も広がってきています。今後も子どもが成長していく中で制度の変化も考えられます。公的な制度の変化にアンテナを立てておくことを忘れないようにしましょう。
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アドバイスを受けたTさん談
まだ妊娠がわかったばかりなのですが、これから生まれてくる子どものためにお金のことも今から夫婦で考えていきたいと思います。子どものために必要になるお金の全体像がつかめてよかったです。公的な保障がある程度、準備されていることがわかり少し安心しました。働き方についても、少し具体的に考えていきたいと思います。
家計簿診断を終えて
2023年12月にこども基本法に基づく「こども大綱」が策定されました。出産育児一時金の引き上げ、児童手当拡充、児童扶養手当拡充、住宅支援、医療費等負担軽減、大学等の授業料等減免支援拡大、授業料後払い制度など、子育てを支援する施策は多くあります。制度の見逃しは無いか、アンテナを立ててチェックしておきましょう。参考:家庭庁「こども未来戦略MAP」