“月収1000万円中学生”は20歳で借金1000万円の妻子持ちに。「生活も金銭感覚も同世代とズレちゃった」

 キメラゴン氏は中学3年生の頃に「普通の人生で終わりたくない」と一念発起し、Webライターや有料noteでネットビジネスを開始。そこから1年ほどで会社を起こし、当時の最高月収は1000万円を稼ぐなど、“超ビジネス系高校生”として話題となった。

 10代で大金を得たキメラゴン氏は今年ようやく20歳に。現在、彼はどのような暮らしを送っているのだろうか。本人を直撃した。

◆月収は50万円でも借金は1000万円

 やはり気になるのは現在の月収だ。複数のビジネスを成功させたのだからさぞかし稼いでいるかと思いきや……?

「去年自分で作った会社を辞めたので、今はほぼ無職になりました。月収は、バリバリ働いていた時に得た不労所得がありまして、諸々合わせて40~50万円ってところです。あとは月に4日程度、東京に来てコンテンツ制作の仕事をしています」

 月収1000万円には及ばないものの、それだけあれば生活には困らないだろうという予想に反して、現在は借金を抱えているという。

「総額1000万円くらいですかね。10代の頃からの知り合いに借りてます。もちろん貯金もないです。返す意思はあるんですけど、持っているお金は全部使っちゃうからなかなか返せなくて…」

 1000万円の借金を抱えると多少は落ち込んだりするような気もするが、彼からは微塵もそんな気配は感じられない。

「稼いでいた時期に手にした4000万円も気がついたら使い切ってましたし、僕の浪費癖は治りません(笑)。幸い、借りてる知り合いが優しいので催促されることもないですし。借金はあるけど、あんまりお金に囚われてないんですよね」

◆妻子持ちになり、東京から名古屋に移住


 昨年会社を辞める決断をし、仕事はセーブモード。最近は、プライベートでも大きな変化があったという。

「付き合っていた彼女が妊娠したので、19歳で結婚したんです。20歳になる前に子供が産まれました。彼女も同じく仕事を辞めた後だったので、夫婦がどちらも無職だったんですけどまあなんとかなるか!って。ちなみに今年の10月には2人目が生まれる予定です」

 妻子持ちでありながら、会社を辞めて収入は激減。焦る気持ちも湧いてきそうなものだが、やはり楽観的な姿勢は変わらない。

「仕事仲間と繋がりがあるおかげで、暮らしていける稼ぎはありますから。妻もけっこう稼いでくれてますし、困ったときは助け合える関係性です。家族との時間をしっかり取れるいまはとても充実しています」

 結婚と同じタイミングで、キメラゴン氏は出身地の東京から名古屋に移住している。

「旅行で訪れた熱田神宮がめちゃくちゃ気に入って、近くに住めば行きやすいなと思ってたんです。で、会社を辞めたのを機に名古屋に引っ越しました。妻の拠点も名古屋だったのでちょうどよかった。

 東京に住んでいる頃は利益ばかり追求する俗物的な人間になっていたような気がして、好きなことだけしようと思ったのも引っ越した理由です。がむしゃらに働かないなら東京じゃなくてもいいし、いまみたいに東京に来るのも新幹線ですぐですから」

◆「チャレンジは絶対に早い方がいい」と気づいた


 10代で起業して成功し、20歳になる前に結婚。そして東京から地方に引っ越して悠々自適な生活を送る姿は人生のイベントを何倍速かで先取りしているように見える。

「仕事を成功させてメディアに注目された16歳くらいの頃はタワーマンションの最上階に住むほどお金もあったし、女の子にもモテたし、天狗になっていました。別に急いでいたわけじゃないですが、学生生活だけでは絶対に経験できない広い世界を知ることができたのはよかったです。

 成功、失敗に関わらず、チャレンジは絶対に早いほうがいいと思っています。14歳から仕事を始めたなら、周りの人が大学を卒業する22歳まで8年ありますよね? 何でもそうですけど8年続ければベテランになれるし、軌道修正もしやすい」

◆良い関係性は“収入に関係なく”続いている

 得るものも多い反面、失うものもあったと話すキメラゴン氏。ただ、そこから学んだこともあるという。

「生活も金銭感覚も同世代とズレちゃって、強い孤独感を感じていた時期もありました。でも、残る友達は収入に関係なく残ったので、そういうものかなと。そこで繋がり続けている人がいまも仕事仲間だったり、お金を貸してくれたりもしているので、周りの人は大切にしたほうがいいと思います」

 最後に、今後の展望について聞いてみた。

「何も考えてません(笑)。というか、先のことを考えても結局わからないので考えても無駄じゃないですか。しいて言うなら仕事も生活も好きなことだけやって暮らしていければなと思っています」

 月収1000万円中学生として名を馳せたキメラゴン氏の現在は、お金に関係なくひたすら幸福度を追求する生活を送っていた。

【松嶋三郎】

浅く広くがモットーのフリーライター。紙・web問わず、ジャンルも問わず、記事のためならインタビュー・潜入・執筆・写真撮影・撮影モデル役など、できることは何でもやるタイプ。Twitter:@matsushima36