希少な宝石の数々、クリエイティビティー、そして緻密(ちみつ)な職人技――。ハイジュエリーの世界には各メゾンのあらゆる要素が凝縮している。パリで6月にハイジュエラーが発表した、豪華な新作コレクションの数々を現地からお届けする。
ディオールは、詩情豊かな動植物を印象的にあしらった新作ハイジュエリー「ディオラマ & ディオリガミ」コレクションを生み出した。クリエイティブ ディレクターのヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌが今回焦点を当てたのは、フランスの伝統モチーフ「トワル ドゥ ジュイ」だ。18世紀の田園風景や人物などをポエティックに描いた「トワル ドゥ ジュイ」は、ディオール最初のブティック「コリフィシェ」の内装に用いられ、その後もさまざまなアイテムのモチーフに取り入れられてきた。「ディオラマ & ディオリガミ」コレクションでは、おとぎ話のような「トワル ドゥ ジュイ」の世界を再解釈。色調とボリュームの巧妙な組み合わせの中に、植物や愛らしい動物が魅惑的に描き出され、ディオールが「昨日と今日の間に流れる繊細な間奏曲」と表現するように、幻想的な世界観を持つ作品がそろった。
ローズの茎をモチーフにしたネックレスには、ダイヤモンドやピンクサファイアで表現された花びらが咲き誇る。ダイヤモンドがパヴェセッティングされた茂みを散策するように、3羽の小さなゴールドのリスが潜んでいる。うち1羽はホワイトパールを手に持ち、愛らしい。中央にはルベライトをあしらった。シャープなフォルムとかれんな演出、鮮やかなレッドと優美な色合いと、対比的な要素が見事に調和している。
ネックレス(ピンクゴールド、ルベライト、ダイヤモンド、ピンクサファイア、ホワイトパール)
ブルーサファイアに縁どられた池には、6羽の白鳥が堂々たる姿を見せる。池辺の木々に配されたターコイズには神秘的な瑞々(みずみず)しさを感じる。非常に細かいが、ブルーサファイアを留める爪にはブラックラッカーが施され、貴石の美しさを際立たせるとともに、立体感をプラスしている。
ネックレス(イエローゴールド、ブルーサファイア、ターコイズ、ダイヤモンド、マザーオブパール、ブルー&ブラックラッカー)
繁茂する草木を青で表現したネックレスのところどころに、小さなキツネやリスが見え隠れする。さまざまな角度でセットされたブルーサファイアやダイヤモンドの葉には躍動感があり、生命力を感じる作品だ。
ネックレス(ピンクゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、サファイア、ブルー&ブラックラッカー)
text: Shunya Namba @Paris Office
photos: ©Dior
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