2018年に復活したギャル雑誌『egg』。人気ナンバーワンモデルだった「きぃぃりぷ」こと鈴木綺麗さん(22歳)は現在、同誌を『egg』卒業して、「渋谷から世界へ」というスローガンを掲げた高校・渋谷女子インターナショナルでメイク講師をしている。
前回の記事では、どうやって『egg』モデルの頂点から高校の先生になったかを聞いたが、今回は令和のギャルがどうなっているのか、詳しく話を聞いた。
◆授業人気は2年連続、堂々の1位
――今、学校ではどんなことを教えているんですか?
きぃぃりぷ:1学期は、スキンケアとか洗顔のやり方をガツンと教えてます。もっと早く教えてくれてればこんなシミができなかったのにといった基礎がたくさんあるので。ただ、教えるのは簡単なんですけど、準備が大変で、前日に2時間くらいかけてガッツリ準備してます。今は週2日で40分を2コマ、ピッタリ40分で終わるように教えています。
――実際に授業をしていてどうですか? 生徒たちには慕われてますか?
きぃぃりぷ:『egg』を見て育ってきた子たちだから、「綺麗ちゃんってこういう子だよね」って分かって入ってきてくれてるし、「言うこと聞いてよー」とかは全くないです。私が『egg』を卒業するイベントにも社会体験としてアルバイトに来てくれました。人間関係の不満は一切ない。私の授業は、2年連続人気1位です。
◆ギャルは今が全盛期かも
――それはすごい。自分より若い生徒のことをどう思っていますか?
きぃぃりぷ:うちらとは違って、デパコス(高級なデパートコスメ)を持ってたり、ディーゼルとかブランドものを多く持ってたりしますね。やる気がある子も、それがない子、渋谷に夢を追ってきた子や、「なんとなく入りました~」って子もいて、とにかく個性が強いですね。2年目だけど、去年と人数違うし、化粧品検定の資格も取るしで、なかなかルーティーンにはできないですね。毎回準備してます。
――みちょぱさん、ゆうちゃみさんなど、今またギャルたちがテレビにたくさん出ています。
きぃぃりぷ:みんなギャルが面白いって知ってるんじゃないですか? 今、また何回目かのギャルブームで全盛期かもです。もしかしたら、こっから下がっていくかもしんない、知らんけど。
◆ギャルマインドとは「ハングリー精神」
――ギャルはすごく強いなって思いますが、そのギャルマインドはどこか来てるんですか?
きぃぃりぷ:成り上がりなんで、ハングリー精神? 今の『egg』モデルたちは個性があって、「自分の好きを貫いているのがギャルだよね」って言われて育ってるんですよ。ていうか、ギャルって、悩んでいる自分が嫌だとか、男に悩まされるのが嫌だとか、こういう自分がイヤだっていう軸がちゃんとあるんですよ。自分の「これヤダ」がちゃんとわかってて、「私はこう」みたいな信念があるんですよ。
――好きなことを貫くって大事ですよね。落ち込むことなんてなさそうですよね?
きぃぃりぷ:いや、実はメンタル弱いんですよ。『egg』を卒業するときなんて、ずっとメンブレ(メンタルブレイク)してたし、いまだに引きずってるけど、周りのポジティブさに救われて、マインドを保ててるところはあります。
◆「今風・古風ギャル」の由来
――キャッチフレーズである「今風・古風ギャル」っていうのは、どこからきてるんですか?
きぃぃりぷ:もともと「懐かしいギャルだよね」って言われてたんですよ。“超令和”って感じ。懐かしいメイクというか。だから『egg』のモデルになった頃の自分のメイクを見たら、絶対昔っぽいと思います。ただ、そのときの肩書きが「昔っぽいギャル」だと守りに入ってる感じがするし、二面性が好きだから、今っぽいくて昔っぽいし意味で「今風古風ギャルじゃね?」って決まりました。
――古風なイメージっていうと、料理ができるとか、家庭的なイメージですか?
きぃぃりぷ:そういうんじゃなくて。ギャルって生きた化石だと思って、そういう意味で付けました。ブランディングは全部自分でやってますよ。
◆渋谷は第2の地元
――ギャルの象徴でもある渋谷の今をどう思いますか?
きぃぃりぷ:『egg』のときはコロナ禍の真っただ中だったんで、もっと上の世代の人から「渋谷には若い子がいっぱいいたんだよ」って言われても、知らないよって感じだったんです。でもようやく、渋谷に人が戻ってきて、「ああ、こういうことだったのか」って見え始めた。この景色を18歳の時に見たかったですね。当時『egg』のYouTubeチャンネルの企画でやった、街頭インタビューとか人がいなくて超大変だったけど、今だったら秒でつかまると思います(笑)。
――きぃぃりぷさんにとって、渋谷の街はどういう存在ですか?
きぃぃりぷ:渋谷は第2の地元。深夜とか歩いてても、私は怖くないですね。拠点にしてもう6年も通ってるんで、事務所の近くまで来たらモデル友達とも会えるし、「今からご飯行こうよ」っていう交流もできる。ほんと地元って感じっすね。逆に、新宿はちょっと怖いかも。
◆『志村どうぶつ園』に出たかった
――今後はどんな仕事をしていきたいと思ってますか?
きぃぃりぷ:動物が大好きなんで、ペット関係全般。あとつけま(つけまつ毛)関係、ムラシャン(紫シャンプー)プロデュースとか、やりたいことめっちゃあります。もっとモデルもしたいし、テレビにも出たい。『egg』にいちばん呼ばれるOGで、唯一無二の存在でいたいです。
――特に出たいテレビ番組とかはありますか?
きぃぃりぷ:テレビだったら『志村どうぶつ園』に出たかった~。動物は、ただの大好きじゃなくて、噛まれようが、引きちぎられようが大好き(笑)。今は一人暮らしだけど、私にしかなつかないワンちゃんがいるし、実家にはネコちゃんがいます。時間があったら1人で猫カフェも行きます。ネットだと「動物警察」から「その爪で触るな」「その持ち方はダメ」とか言われるんですが「うっせ~よ」みたいな。ちゃんと愛情を持って接してますから。
――SNSの声ってどのくらい気にしますか?
きぃぃりぷ:実際はそこまでひどいバッシングを受けたことはないです。でも悪口言われたときは、ブロックしてなかったことにします。
◆「はい、洗い流した~」除霊のYouTube
――私の周りの大人は、ネガティブですぐ落ち込んだりする大人が多いんですが、どうしたらいいと思いますか?
きぃぃりぷ:ギャル友作るしかないんじゃない?
――落ち込んでいる時に何かすることはありますか?
きぃぃりぷ:除霊のYouTubeとか見てますね。「最近いいことねえな」って思ったら、風呂場で清めようって塩ふって、除霊のYouTubeとか運気アップの音楽を流しながら入ります。「ハイ、洗い流した~」。これで大丈夫みたいな。もう悪い負のエネルギーはない感じです。
――「はい、洗い流した〜」っていいですね。真似させてもらいます。他に何かしていることはありますか?
きぃぃりぷ:やっぱ家が汚いと運気が溜まっていっちゃうので、水回りを掃除したり、換気したりとか、もらってきた花を飾ったりはします。完璧ではないけど、ちょっとした気分転換で、部屋の模様替えもします。料理とかはしないけどね。
◆ギャルにOLは絶対無理、なんかしらの事業主
――最近、何か新しく始めたこととかはありますか?
きぃぃりぷ:最近配信とかやってます。卒業したのに、「元『egg』なんで~」ってえらそうにするのは違うと思ったし、ガチでゼロからのスタートって切り替えてここからは頑張らないとって始めましたね。自分の看板でやっていかなきゃって思ってますけど、逆に、どこまで私を必要としてくれるのかも楽しみたい感じです。
――やっぱり必要とされる人間になれるようになりたいですか?
きぃぃりぷ:そうですね。マネージャーには「終わった〜」とかめっちゃ愚痴りますけど、反対にめっちゃ成功したらどうしようとも思ってます。『egg』を卒業してそれっきりの子もいますし、一般人に戻る子もいます。別に何かあって当たり前の世界じゃないので、ウチって運がいいなぁって感じます。ここの高校のメイク講師を誘ってくれた校長(元『egg』編集長の赤萩瞳氏)にはずっとついていくと思います。
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きぃぃりぷさん取材後にYouTubeの「eggチャンネル」を見始めたら止まらなくなってしまいました。ギャルの生態、前向きなギャルマインド、見習うことが多すぎて面白すぎます!
<取材・文/谷亜ヒロコ 撮影/星亘>
【鈴木綺麗(きぃぃりぷ)】
2001年8月7日生まれ。茨城県出身。2018年から復活したギャル雑誌『egg』で「今風古風ギャル」として専属モデルの中で人気ナンバーワンを誇る。2024年4月に同誌卒業。現在「渋谷女子インターナショナルスクール」にてメイク講師を務める。X(旧Twitter):@9_6_0807KiSu
【谷亜ヒロコ】
放送作家を経てフリーライター&作詞家として活動中。好きなテレビ番組は「ザ・ノンフィクション」、好きなラジオはTBSラジオ、得意料理は春巻き。得意領域はカルチャー、音楽、芸能、住宅、美容など。Twitter:@rokohiroko