その土地でしか味わえない食や、ものづくりに出合うことは、旅における大きな楽しみのひとつ。さらに、その町に暮らす人たちが織り成すカルチャーに触れられれば、より一層、旅の思い出が心に刻まれるもの。訪れたのは、3年に1度開催される現代アートの祭典『瀬戸内国際芸術祭』の入り口であり、瀬戸内海の島々へ渡るフェリーの発着場所でもある高松。晴れの日が多く、温暖な気候のため、旅をしやすい町だ。工芸や自然、アート、食……。見どころのスポットを『まちのシューレ963』の店長・谷真琴さんが教えてくれた。
Landscape_多層な歴史に魅了される、四国の玄関口。
武将・那須与一が扇の的に矢を放ったというエピソードが残る、源平合戦の舞台となった屋島は、高松のシンボル的存在。屋島山上は南北約5㎞にわたって平坦地が続き、四国霊場第84番札所『屋島寺』やイルカショーも行われる水族館『新屋島水族館』、複合施設『やしまーる』もある。また、源氏が勝どきとして陣笠を投げていたことを起源とする開運厄除のかわらけ投げもできる。その展望台からの眺めは左手に市街地、右手に瀬戸内海の風景が広がる。「ここからの眺めは本当に素晴らしい。多島美といわれる、瀬戸内海の美しさが凝縮されていると思います」と、谷真琴さん。左手前の島は女木島で、昔話の桃太郎に登場する鬼ヶ島だといわれている。
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Craftwork_文学賞やラジオ番組も主催、深夜まで営業する2つの『半空』。
『珈琲と本と音楽 半空』(高松市瓦町1−10−18 北原ビル2F)。コーヒーと音楽と本、そして対話を楽しむための場所。カウンター席の後ろの棚にはコラムニストでもあるオーナーの岡田陽介さん、店長の佐藤暖さんの所蔵本がびっしりと並ぶ。伊丹十三が愛したサラダ菜と苺ジャムのサンドウィッチ(¥600)や、チャールズ・ブコウスキーの愛したウォッカセブン(¥1,300)など文学にまつわるメニューがあり、コーヒーや紅茶の種類も豊富。
岡田さんがカウンターに立つ『茶論半空—SALON NAKAZORA』(丸の内6−28)。半空文学賞やYouTube番組、半空ラジオなどの活動も。ひとりでも、誰かを誘っても居心地のいい空間を提供。