セクシー女優というだけで“入居審査に落ちる”ことも。元セクシー女優が業界の「家賃事情」を暴露

 元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。

◆セクシー女優が住んでいる家の家賃相場は?

 住まいはその人の生活ぶりや収入事情を示すバロメーターといえる。「芸能人は目黒区や渋谷区、港区のマンションに住みがちだ」とか、「一般家庭で東京都心部に一軒家を立てるなんてスゴイ!」など、家賃、エリアで生活水準がだいたいわかってしまうし、何なら活動拠点まで絞れるもの。

 では、世間で高収入と思われているセクシー女優は、どんな家に住み、どのくらいの家賃を支払っているのか? 皆さんが気になる審査の問題や、“実家住み女優”の実態もあわせて解説していこう。

 まず最初にセクシー女優が住む地域について。多くの女優が東京都内に住み、売れっ子は高確率で都心部に家を借りている。撮影現場に行きやすく、利便性が高いことから中心地を選ぶ人が多い。都会への憧れや「すぐ繁華街へ遊びに行けるから」という理由だけで住まいを選ぶのではなく、みんな仕事優先で考えている。

 また、メーカーも事務所も「送迎が楽」という理由から、新宿区、渋谷区、世田谷区、港区あたりに住む女優をありがたく思っているようだ。予算が少ない製作会社は帰りのタクシー代さえも抑えたいので、終電が遅くまである人を中心にキャスティングすることもあるほど。現場から家が近いだけで仕事が決まるケースもなくはないのだ。

 オファーが来る可能性が広がり、自分自身も仕事や生活をしやすいとなれば多くの人が都心部を選ぶが……やっぱり東京は高い。ワンルームでもこだわればあっという間に金額が跳ね上がり、セクシー女優の大半が家賃に10万円以上を払っているのは確実である。爆発的な人気を誇る女優だと六本木や中目黒という憧れの詰まったエリアに住み、条件が良いマンションを選ぶが、そうなると家賃が20万円〜、あるいはそれ以上も当たり前となってしまうだろう。

◆高収入=都心部に住むは大きな間違い

 こう見るとTHE・高収入ドリームのように思えるが、もちろん全員に当てはまる話ではない。都心のゴミゴミしたあの感じが嫌いだとか、家賃にお金を使いたくないといった理由で、収入があっても敢えて中心部を外す女優もいる。筆者も現役時代、東京都郊外や下町、または千葉や埼玉の関東近郊を好む子たちに会ったことがあるので、稼いでいるからといって必ずしもキラキラな都会に住むとは限らないらしい。

 他にも、「同業者が多くてイヤ」という理由で都心部を避ける人も意外と多い。たしかに新宿、渋谷、六本木付近はセクシー女優だけではなく、裏方スタッフもうろつきがちで、下手すると同じマンションに同業者や知り合いが住むケースも珍しくはない。仕事とプライベートを切り離したいタイプだと、わざと遠い場所に住んでオンオフをきっちりするのもよくある話だ。

◆通りづらい審査をどう切り抜けるのか


 セクシー女優や水商売の人々は、とにかく審査が通りづらい。簡単に審査が通る職業ではないし、そもそも夜系の仕事に就く人間は前科(カード利用停止や強制退会になっているとか)を持つことも多いので、物件探しのハードルがより一層上がりやすいのである。

 女優の場合は成人向けの内容を取り扱うせいで、事務所の名前を使って審査を通すのも難しい。表向きは別の事業をしているとか、子会社があるとかで事務所を頼れることもあるけど、だいたいは困難を極めるだろう。

 事務所としても所属する女優の家がないのは大問題のため、水商売関係に強い不動産と提携している場合がほとんど。彼らは“ワケあり人間”には慣れているし、女優も安心して任せられることから、仕事が原因で家探しを断念するケースは稀だ。

◆“水商売マンション”と呼ばれているマンションも

 ただし、どんなに頑張っても審査が厳しい物件にはなかなか住めないのが現実。

 事務所に入っていないセクシー女優も、審査がユルく、同業者が利用するような物件を選ぶことが多い。ゆえに“水商売マンション”と呼ばれている某系列マンションがあるが、そこを渋々選ばざるを得なかった人たちがいるのも確かであるため、「強い希望でソコに住んでいるわけじゃない」「ここしかなかったのよ!」なんて嘆く人々が一定数いるとか……。

◆実家住まいの女優たちの割合は?


 実は、“実家住み女優”の割合が全体で2割程度いる。親公認セクシー女優や、親御さんがあまり詮索するタイプではなく、一緒に住んでいるけどほぼシェアハウス状態のような家庭だと、実家に住みながら女優業をこなせる。

 私が昔現場で会った女の子は、両親が「家賃さえ入れてくれたら何の仕事をしていても構わない」というタイプであり、彼女は女優とオトナのお風呂屋さんを掛け持ちしていた。仕事については言及されず、家に入れるお金は月5万円。あとは好きに使えるらしい。つまりガッポガポの丸儲け状態なので、「いくら貯金があるのかな?」ということをつい考えてしまった。

 彼女のように、交通の便がいい場所に実家があって、引っ越しや審査の手間を考えるならわざわざ1人暮らしをせずとも生活ができる。親御さんとのしがらみがなく、快適に今の状態で働き続けられるなら実家を出る必要性がないのだろう。18歳ですぐ家を出た私は当時、実家住まい女優さんの話を聞きながら「羨ましい」と素直に思ってしまうのだった。

◆ストーカー被害のリスクを考えると…

 一般の会社に勤めるサラリーマンたちとはワケが異なる、セクシー女優のおウチ事情。ストーカー被害のリスクなどを考慮するとセキュリティが甘い物件にも住みづらいので、都心部に住むならそれ相応の家賃を覚悟せねばならない。

 セクシー女優は、高収入なぶんデメリットやリスクが多く、必要経費と言わんばかりのお金は当たり前に飛んでいく。人より多いお金をもらえる仕事だが、こうした悩ましい問題は生活の部分にも出てくるから、セクシー女優はやっぱり大変な職業だ。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】

元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。