夫はいわゆる「田舎の長男」。同じ県内出身ということもあり、どのような地域なのか知っていたつもりではありました。夫も田舎ならではの古い考え方にしばられたくないタイプだったため、「田舎の長男に嫁ぐ」ということをあまり気にしていなかったのですが……。田舎独特の価値観でつまずいたマイホーム計画のエピソードをご紹介します。

「田舎」出身の夫と結婚

私は生まれてから大学進学まで地元を離れず、就職してからも実家暮らしでした。夫との出会いも私の地元。同じ職場で年が近く、趣味が合ったことで意気投合し交際。付き合う前から、夫がいわゆる「田舎の長男」であることは知っていました。しかし、すでに夫は私の地元で就職。夫本人からも「親は俺が地元に戻ることは諦めている」と聞いていたため、あまり気にしていませんでした。

また、付き合ってから結婚まで、夫の実家に2人で訪れることも多く、義家族との関係も良好でした。もともと自分の家族との連絡がマメではない夫に変わり、帰省のタイミングも毎回私から義母に連絡をするほど。さらに田舎ならではの文化や風習について「こんなの面倒くさいよね」「だから田舎は大変なんだよ」と義両親とおもしろおかしく会話することも。それもあり「田舎に住んではいるけれど、先進的な考えの家なんだな」と思い込んでいました。

付き合ってしばらくして結婚するときのこと。夫の地元では、大勢の親戚に加えて、隣近所まで招待した何百人規模の結婚式を開くという驚きの風習がありましたが、良くも悪くも新型コロナウイルスの影響があり、小規模な式に。それ以降もコロナ禍や妊娠・出産が相まって、法事など義家族の行事を手伝う機会はあまりありませんでした。

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結婚して数年後、マイホームを考え始めた矢先

結婚してすぐ子宝に恵まれ、仕事にも一層気合が入った夫。中小企業勤めに限界を感じてキャリアアップを決意し、転職活動後すぐに運よく大きな企業に入社することがかないました。

義家族との連絡を怠りがちな夫は、もちろん転職についても義家族に相談した様子はありません。何度かあった入社面接に合格するたび「私がお義母さんに報告しておこうか?」と聞いても、「ちゃんと合格してからでいいよ」「今度帰省するときでいいよ」とあしらわれる始末。そして、帰省後にやっと夫本人から義家族に転職報告が。もちろん義家族はビックリしていましたが、「大きい企業に入れてよかった!」と喜んでくれました。

大きな企業に転職して、わが家の家計も安泰に。新しい職場で働き始めて数年したころ、夫の前職では考えられなかった新築マイホームを検討し始めました。子どもも大きくなり、小学校入学のタイミングはもうすぐそこ。家を建てることを考えれば、できるだけ早く動き始めなくてはなりませんが、いつもギリギリになりがちな私たち夫婦……。「学区を考えなきゃいけないから、それまでにマイホームを!」と大急ぎで動き始めました。

そんなとき、私の実家で「そろそろ家を建てようと思っている」と話すと、母から「向こうのお義母さんお義父さんにも、ちゃんと家のことを前もって相談しないとだめだよ!」「あんたたちはいつも決まってから報告するんだから!」と釘を刺されてしまいました。夫にもすぐに共有しましたが、「帰省したときに話せばいいよ」といつもの調子。「次の帰省のときに絶対話してよ!」とお願いし、いよいよ帰省の日となりました。

私が席を外していたタイミングで新築の件を義母に伝えたようで、夫に首尾を伺うと「酔っていたから、冗談っぽく困る! ってビックリされたけど、多分大丈夫だよ」とのんきな回答。本当に大丈夫なのかふに落ちませんでしたが、「義家族のことに私が首を突っ込むのも違う」と思い、特に私から義母に連絡することもありませんでした。そして、心配しながらもマイホームの検討を進めようとしていた矢先、義父から夫へ呼び出しがあったのです。