銀座ホステスが伝授する「初対面の相手から嫌われない」会話術

 大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。怖いもの見たさからか(?)お店へ遊びに来てくださる勇敢な読者さんがちらほらいらっしゃいます。私のような偉そうなおばさんのためにありがたいことです。

 本日も、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信させていただきます。

◆第一印象の良し悪しがその後の関係を左右します

 

 夏真っただ中です。お盆休みのご予定はお決まりですか?パートナーを募集中のそこのあなた。帰省先で合コン、マッチングアプリで出会った異性と初デートなどなど、刺激的な夏の恋を思い切り楽しみたいですね。

 人間関係は第一印象の良し悪しで決まります。若くて可愛ければその場にいるだけで主役です。やはり20代の女の子は華やかで、瑞々しくて良いもんです。第一印象はバッチリ。ニコニコしているだけで圧勝です。私もかつては20代の女の子だったのでよく知っています。

 では、若くも可愛くもないおじさんおばさんには勝ち目がないのかと言われると……そりゃそうでしょと答えたいところなのですが、それでは身も蓋もない。

 そこで今回は、初対面の相手から嫌われず、良い印象を与える会話術について解説してみたいと思います。

 好印象を与えるコツを掴んで、恋愛市場で無双してください。若い子と張り合うとなると圧倒的に不利になりますが、同年代のライバルなら蹴落とせます。また、初対面時の印象さえうまくコントロールできれば、お仕事もよりスムーズに進められるはずです。

 

◆ホステスのお仕事は聞き役に徹することです

 ご存じの通り、ホステスのお仕事は聞き役に徹することです。お客様は同僚やご家族には話せない愚痴やご相談、またはガールフレンドとの馴れ初めなどを聞いて欲しくて私たちのところへいらっしゃいます。

 私たちはお客様が気持ちよくおしゃべりできるように、気持ちの良いタイミングで相槌を打ちます。「この子と話すのは気持ちいい」とお墨付きをいただき、繰り返し繰り返しお店へ足を運んでいただく。それが私たちのお仕事(の一部)です。

 聞き上手になることこそがモテへの近道です。「話しやすい」「もっとおしゃべりしたい」とお相手に好印象を与えることができれば、次回のデートの約束への誘導もスムーズでしょう。

「聞く8:話す2」の割合で、相槌には「さすがです!」「知らなかった!」「スゴイ!」と、お相手を肯定する言葉を添えてあげてください。

 人というのは、基本的には他人に興味がないものです。ご自身の前髪がちょっと寝癖気味だったり、靴の先が汚れていることには気が付くけれど、久しぶりに会う友人の顔のホクロが除去されていたとしても、なかなか気が付かなかったりするものです。なぜなら興味がないからです。

 だから会話は、「聞く8:話す2」の割合で。お相手は基本的にはあなたに興味がないのだ、という前提をお忘れなく。

 反対に自分の話ばかりしてしまうと印象は最悪です。初対面のお相手に対して、幼少期のトラウマや、聞いていてこちらまで辛くなるような不幸話をする方がいらっしゃいますよね。距離感がバグっているとしか思えません。そういう話はもう少し仲良くなってからしましょう。

◆自分の話にすり替えないこと


 お相手の話題を奪って、自分の話にすり替えてしまう方もいらっしゃいますね。例えば、お客様が「今週末はガールフレンドとマレーシアに行くんだ」と話していらっしゃるとします。そこで「私は今日、シンガポールから帰国したんです」と返してしまう女の子は、どんなに綺麗で可愛くてスタイル抜群でも残念ながら人気が出ません。

 先ほども申し上げた通り、人は他人に興味がありません。初対面ならなおさらです。シンガポールのことはいったん忘れて、ガールフレンドとマレーシアのお話をさせてあげてください。

 人は承認されたい生き物です。それを逆手に取って、お相手に気持ちよくおしゃべりさせてあげましょう。「良い子だな」「もっとよく知りたいな」と感じはじめたお相手が「キミは旅行は好きなの?」とお尋ねになったとします。そこでやっと自分語りが許されると思ってください。

 聞かれてもいないことをベラベラと話すのは得策ではありません。また、聞き役に徹することは、お相手の情報を収集する良い機会でもあります。好きなブランドや食事の好みなどを覚えておくと良いですよ。

◆お相手の言葉を否定しないこと

 

 嫌われる人の話し方の特徴のひとつに「いや、でも……」を多用することなどがあげられます。例えば「今日、会社で上司にひどく叱られてしまった」と、お相手が愚痴をこぼしたとします。そこで「いや、でもそれはお前が悪いよね」と、頭ごなしにお相手を否定してしまう男性は、どんなにイケメンでマッチョでもモテません。

 そこは「そうなんだ……それは大変だったね」と、お相手に寄り添いましょう。目の前でしょんぼりしているお相手をほったらかして、会ったこともないどうでもいい上司の肩を持つのは賢くありません。初対面ならなおさらです。

 まだあなたへの警戒心のあるお相手に対してファイティングポーズで挑めば嫌われるのは当然です。「いや、でもそれはお前が悪いよね」と、あえて言わなくてはならない場面もいずれあると思います。しかし、それは2人の関係がもっと成熟してからにしましょう。

◆否定を否定しない

 

 では、「いや、でもそれはあなたが悪いよね」と頭ごなしに否定された場合はどうするべきか。簡単です。「そうですよね……ボクが悪いですよね」と、お相手の言葉を全肯定してください。

 初手であなたを全否定するような、ヤバいやつと本気で戦う必要はありません。ヤバいやつのことは全力でスルーしましょう。それも大切なスキルです。

「そうですよね……ボクが悪いですよね」としょんぼりして見せたあなたに、さらに追い打ちをかけてくるマウンテンゴリラがいたら、X(旧Twitter)でネタにするか、キャバ嬢か占い師にでも話して忘れてください。同じ土俵にあがってはいけません。あなたの格が下がるだけです。

「そうですよね……ボクが悪いですよね」としょんぼりして見せ、気持ちよくマウントを取らせてあげましょう。お相手から「また会いませんか?」と、お誘いがあったらあなたの勝ちです。気持ちよくフってやりましょう。気持ちいいですよ。

◆手のひらで転がしてやりましょう

 今回は初対面の相手に良い印象を与える会話術について解説してみました。ホステスのお仕事をしていると、お客様から有益なお話を伺う機会がたくさんあります。聞き上手は得です。

 どんなに容姿端麗でスタイルが良くても、コミュニケーション能力が低いために損をしている方を多々目にします。反対に、容姿は平凡で中肉中背でも、コミュニケーション能力の高い方というのは、恋愛でもお仕事でも無双しているものです。

 まずは聞き役に徹しましょう。お相手から「また会いませんか」という言葉を引き出せたらあなたの勝ちです。とことん沼らせて、尽くしてもらいましょう。良い夏にしてくださいね。

<文/みずえちゃん>

【みずえちゃん】

1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989