海外でしっかり貯めて、日本でお金持ちになることはできる?
それでは「海外ではとにかく節約して暮らし、たくさんお金を貯めて、日本に帰ってから贅沢に暮らしたい」というのはどうでしょうか。
かつて日本に仕事をしにくる外国人たちの目的のひとつは「お金を貯めて、自国に帰る」ことでした。自分の国に帰ってそのお金で起業をしたり、家族を支えることが外国(彼らにとっての外国が日本)で働く原動力だったわけです。自分の国の通貨と日本の円との交換レートによっては、その送金や貯金は大きな力を持ちました。
同じことを、日本人が外国に行く時考えてみるとどうでしょうか。向こうでの生活は割高かもしれませんが、そこでうまく節約をしてお金を貯めておくことができれば、日本円に交換した時、ハイペースでの貯金になるかもしれません。
たとえば年収400万円の人が100万円の貯金をすることは25%の貯金になり容易ではありません。しかし、100万円相当(1ドル150円なら6666ドル)を外国で貯めるとして、アメリカで年収5万ドルの仕事をして同額を貯めるとすれば13.3%の割合ですから実現性はぐっと高まります。
ただし、こうした高年収はアルバイトでは難しく、外国でも正社員として採用され、日本で正社員として働くようにビジネススキルを発揮する必要があります。そうなると外国語を現地の人たちと同レベルで使いこなす必要もあるでしょう。
「海外の高い時給でバイトすれば、日本円では大きな財産」とは、簡単に考えない方がいいでしょう。なかなか、うまくはいかないのです。
(広告の後にも続きます)
年金制度は多くの国が通算協定を持つが高望みは禁物
こうしたグローバルな人の行き来やお金の流れを踏まえて、税金や社会保障制度はどうなるのでしょうか。税金および健康保険などは、その時点での年収からその時点での制度に基づいて負担し、また健康保険などは現地の病院などで医療サービスを受けることになります。ここはほとんどの場合、給与から引かれることになりますから、あまり心配することはありません。
負担と給付のタイミングがズレる制度としては年金があります。年金の保険料を負担するのは現役時代、もらうのは老後(しかも働くなってから)というタイムラグが生じる仕組みですが、現役時代は外国、老後は日本のように国をまたいだ時、年金を日本でもらうことができるのでしょうか。
年金制度については、多くの国が通算協定を日本と結んでいて、海外で納めた保険料について、日本の年金制度に反映させるような仕組みがあります。よって「外国で何十年も払った保険料は全部ムダになった」というような心配はあまりありません。
ただし、あまり高望みは禁物です。日本では厚生年金と国民年金の2階建てで合計16万円位をもらえますが、通算の対象が国民年金のみ、となると月6.8万円分だけに留まったりします。
詳しくは日本年金機構のホームページで解説されていますが、帰国時などは必ず問い合わせ、必要なら手続きをしておくようにしてください。