ネムノキの育て方のポイント
用土
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【地植え】
植え付けの2〜3週間前に直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
庭木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。
水やり
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水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。
真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。
【地植え】
植え付け後、株がまだ幼いうちはしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。
【鉢植え】
日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。
肥料
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植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。
越年後は、庭植えでは毎年1月頃に有機質肥料を、鉢植えでは毎年3月頃に緩効性肥料を株の周囲にまき、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。
注意する病害虫
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【病気】
ネムノキに発生しやすい病気は、すす病などです。
すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆っていき、見た目が悪くなるだけでなく、葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因ですす病が発生するので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込み合っている枝葉があれば剪定して、日当たり、風通しをよくして管理します。
【害虫】
ネムノキに発生しやすい害虫は、カイガラムシなどです。
カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。
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ネムノキの詳しい育て方
植え付け・植え替え
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ネムノキの植え付け・植え替え適期は、3月中旬〜4月中旬です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。根付いたら、支柱を取り外しても構いません。
地植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、10号以上の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。ねむの木の苗木を鉢に仮置きし、高さを決めます。このとき、水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内の隅々まで行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水やりをします。一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。根付いたら、支柱を取り外しても構いません。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。移植には弱いので、あまり根鉢を傷めないように注意してください。
日常のお手入れ
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【マルチング】
やや湿り気のある土壌を好むので、真夏など乾燥しやすい時期は、株元にバークチップなどを施してマルチングをしておくとよいでしょう。
剪定・切り戻し
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ネムノキの剪定適期は4月頃です。枝葉を旺盛に伸ばすタイプではなく、自然に樹形が整うので、込んでいる部分を間引く程度の剪定でかまいません。切る際は、枯れ枝、内向きに伸びている枝、下向きに伸びている枝、ほかの枝に絡んでいる枝など、邪魔になっているものを選びます。適当に枝の途中で切らずに、分岐部まで遡って切り取りましょう。太い枝を切った場合は、切り口に癒合剤を塗って保護しておきます。手元にない場合は、木工用接着剤を厚めに塗ることでも代用可能です。
増やし方
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ネムノキは、根伏せ、種まきで増やすことが可能です。ここでは、それぞれの方法についてか解説します。
【根伏せ】
根伏せの適期は、4月頃です。
まず、3〜4号鉢に市販の草花用培養土を入れて、十分に湿らせておきましょう。ネムノキの株の周囲を掘り、指の太さくらいの根を10〜15cmくらい採取します。鉢に根を平らに置き、2cmほどの厚みで土をかぶせておきます。水切れしないように管理すると芽を出し、新しい個体として生育し始めます。しばらく育苗し、ポットに十分に根が回った頃に、植えたい場所に植え付けます。根伏せのメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。ただし、接木苗を育てている場合は、台木の種類を増やしてしまうことになるので、根伏せで増やすのはやめたほうがよいでしょう。
種まき
ネムノキの実がついたら種を採取し、その種をまいて増やすことができます。秋に熟した果実から種を取り出して流水でよく洗い、密閉容器に入れて保管しておきましよう。越年したのち、3月下旬頃からが種まき適期です。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。ネムノキの種を播き、薄く土をかけて明るい日陰で管理。発芽後、本葉が3〜4枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。根が回るくらいに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。種まきから育てると、開花までは10年はかかるとされていますが、花が咲いた時の感激はひとしおです。
ネムノキが詠まれている俳句
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ネムノキは「万葉集」にも記述があることから、いにしえの時代から人々の琴線に触れる木であったことがわかりますね。「ねむの木の花」は夏の季語で、ほかに「ねぶの花」「ねむり木」「花合歓」「合昏」「絨花樹」などがあります。ネムノキを詠んだ俳句はたくさんあるので、ここでいくつかご紹介しましょう。
象潟や雨に西施がねぶの花 松尾芭蕉
奥の細道
雨の日やまだきにくれてねむの花 与謝野蕪村
新吾子稿
合歓咲くや河水を汲む桔槹(はねつるべ) 河東碧梧桐
三千里
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ネムノキとねぶた祭の関係
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ネムノキの別名にはネブタノキやネブノキなどがあり、「ねぶた祭り」とよく似ています。
七夕の行事として、「眠り流し」は各地で行われた風習でした。「ねぶた祭り」の起源としては、精霊流しや盆灯篭などの習わしが発展し、地域ごとに特徴のある大灯篭になったという説が一般的。地方によってその習わしはさまざまですが、主に眠気の邪気を祓うためにネムノキを灯篭や笹舟に乗せて川や海に流すなどしたようです。ねぶたの起源には諸説ありますが、この説を採れば、「ねぶた祭り」とネムノキには深く関係していることになります。
ネムノキの愛らしい花と葉を楽しもう
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初夏にふわふわとしたピンクの花を咲かせるネムノキ。夕方に葉を閉じて朝には開く性質から、植物の「眠りと目覚め」の生命感を実感でき、愛着も増す庭木の一つです。樹形が自然に整い、葉姿も美しいのでシンボルツリーに迎えてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。