日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。
毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。
2023年12月22日から二十四節気は冬至に
冬至(とうじ)とは、北半球では一年で最も昼が短く、夜が長い日。
次の日からだんだん日が長くなるため、冬至は世界各地でも特別な暦のひとつです。
日本での冬至といえば、かぼちゃを食べて柚子湯に浸かり静かに過ごすイメージですが、スウェーデンの知人は「北欧では冬至のお祭りのユールとクリスマスがミックスされて、太陽の誕生日の冬至を華やかにお祝いするんだ!」と言っていて、冬至の過ごし方も色々あるなと感じます。
そんな冬至に選んだ花は「クリスマスローズ」
うつむきがちに控えめに咲きながらも、凛とした華やかさがある冬の貴婦人、クリスマスローズをいけてみようと思います。
冬の庭を切り取ったような風景を表現
「冬の庭の女王」とも呼ばれるクリスマスローズ。
庭に咲いているようにナチュラルに、ざっくりといけて冬の庭の風景を表現してみました。
今回選んだクリスマスローズはシンプルな一重と、花びらが重なり合う八重の白い花の品種です。白い花といっても花びらに見える部分は実は「ガク」で、めしべの周りについている「蜜腺」と呼ばれる部分が本来の花びらが退化したものという不思議な花です。
そしてクリスマスローズはとても繊細。水は常に深めで、風の当たらない、なるべく涼しい場所で楽しみましょう。
花と茎と葉のバランスが絶妙で、花瓶に投げ入れただけでも素敵にまとまってしまうクリスマスローズ。
ざっくりといけたら少し離れた場所から見てみましょう。
花が葉に埋もれていることがありますので、葉をよけるなどして花の表情をきれいに見せてあげてください。最後に余分な葉を取り除いて全体のバランスを整えましょう。
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一輪の美しさを際立たせる
本数を減らしてすっきりといけてみました。
一輪一輪の花がより際立つ、凛として美しい花あしらいです。
白いガラスと透明な花瓶のコントラストと花の高さを調整して、バランスを見ながら美しく整えていきましょう。
クリスマスローズはうつむきながら咲く姿が美しいのですが、あまりにも下を向いているとせっかくの花の顔が見えません。そんな時は花瓶のヘリを上手に使ってクリスマスローズの花を支えて、顔の向きを調整してあげましょう。