卵巣ヒーリングとは? 夏の疲れを癒す“内臓ケア”体験記

「ハリ」「ツヤ」「バイタリティ」。40代に差し掛かるにつれて徐々に失われていくものかもしれない。ただ、その要となる女性ホルモンのバランスがととのっていたら、事情は少し変わってくる。そこで卵巣機能のアップを狙いに鍼灸(しんきゅう)&マッサージをライターMが体験してきた。


美容賢者からの支持も厚く「臓活」というワードを普及させた老舗サロン。オリジナルの薬膳茶も販売している。

「卵巣ヒーリング」。ささいなことで落ち込んだり、眠りが浅くなったりするなど、月経前のゆらぎに振り回されるようになってきた筆者の目に飛び込んできたワードだ。癒やされたい……! その一心でサロンの扉を開けた。


尹生花氏。著書も多数で最新刊は『臓活習慣 ー こころとからだを巡らせる! ー』(ワニブックス)。

中医学博士の尹生花氏が主宰する「BHY」ではホリスティック医学に基づき、五臓の力を引き出す施術を行う。エイジングケアの一環である「卵巣ヒーリング」(初回お試しコース60分 ¥16,500)は、PMS(月経前症候群)をはじめ生理痛や更年期障害といった女性ホルモンバランスの乱れから起こるトラブルの緩和に働きかける。「BHY」のなかでも20年超の歴史を誇る名物コースだ。まずはカラダにまつわる悩みの聞き取りから始まる。「クーラーによる冷えがつらいです」と猛暑ならではの不調を申告した。


施術を行うベッド。カバー付きのため保温効果も抜群だ。

カウンセリングを終えると着替えをし、ベッドへ。横たわるとさっそく脈診が始まる。「睡眠の質が低下していますね。それから月経も塊が出るんじゃない?」と尹先生。「五臓は肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)に分類されます。脈を診た限り心(しん)と脾(ひ)が弱っていますね。脳の使い過ぎで心(しん)への負担が大きいようです。そして、それを支える脾(ひ)に影響を及ぼしています。ちなみに脾(ひ)がダメージを受けると、胃腸の調子を崩します。朝ごはんは何を食べましたか?」との質問に「焼き魚とごはん&みそ汁です」と答えた。すると「食生活に気を配っていても、胃腸が機能していないので栄養が満足に吸収できていないかもしれないですね。それを整えていきましょう。ではうつ伏せになって」と、いよいよ本番へ。


脈診に加えて舌診も行う。


調子を崩しているツボを狙って刺す。

背中を向けると温もりで包まれた。薬草を詰めたパットを当てて冷えを緩和していく。そして、肩甲骨周辺に鍼(はり)を刺すと、ずしんとした痛みが。

「いま、痛いと感じているのは不調の証拠です。卵巣機能の強化は五臓全体のバランスが重要になります。まずは心(しん)と脾(ひ)のダメージを改善し、そうして生殖機能と連動する腎(じん)をととのえていきます」。


鍼の次は背中の滞りを解消するマッサージ。赤みを帯びつつも痛みはない。

鍼でツボを刺激したらスティックと手で「気」を流していく。カラダの奥を削られているような感覚から心地よさを味わえるようになったら、巡り始めた証拠になるそうだ。

「弱っているツボは特に反応が強く、赤くなったり、黒みを帯びたりすることも」。内臓のダメージを“見える化”してくれるそうだ。


薬草を詰めた臓活パットで開いた毛穴にアプローチ。

「気」を巡らすと同時に毛穴も開く。その瞬間を狙って冷えを緩和する薬草のパワーを注入。カラダの中からぽかぽかとしてきた。


おへその上にポットを乗せてジワりと温める。

私が弱っていた心(しん)と脾(ひ)をととのえたら、本丸へ。仰向けになるとおなかを温めながら鍼を刺していくのだが、これがまた痛い!

「内臓の冷えと婦人科の不調による痛みです。肝(かん)が弱っているので血流の滞りが起こっています。生理の時に塊が出るのはその証し。これまで徹夜など生活リズムが崩れることが多くなかったですか?」と、たずねられたので「あります。でも、それは10年以上前の話です」と答えた。

すると「そのダメージを引きずっています。無理をしたことはいつか跳ね返ってくるものなんです」。若さで乗り切れたと思っていたのはメンタルだけで、カラダは疲労を蓄積していた。


芯から温まったカラダを冷やさない工夫が凝らされている。

鍼が終了したらヘッドマッサージ。重かった目が開かれていく実感が。そうして60分はあっという間に終了。ベッドから起き上がった瞬間からカラダが軽い! また肌もワントーン明るくなり、さらには肩のハリが取れてウエスト周りもすっきりしている気も。

「卵巣機能の向上は月経トラブルや更年期障害の緩和にとどまりません。肌のハリや髪のツヤといった外見にも表れます」(尹先生)。施術を受けた後は疲れにくくなり、継続的な施術で月経前の症状も軽減も期待できるそうだ。内臓をととのえる真髄を目の当たりにした。

photo: Hiromi Kurokawa, text&edit: Mako Matsuoka

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